CTCトレーニングコースが今年も,パシフィコ横浜アネックスホールで16日14時から2時間半にわたって開催された。この画像ワークステーションを用いたハンズオンは今回で3回目となり,いまやJRC恒例となった感がある。注腸]線検査や内視鏡検査に代わりうる新しい検査法としてのCTCの認知度は高まりつつあり,実際の診療や検診でCTCを実施する施設,または検討する施設が出始めてきたところだ。今回も事前に50名の参加申し込みがあり,関心は高い。欧米での臨床応用が先行したCTCが,ようやく日本でも普及へのスタートラインに立ったと言えるかもしれない。今回,使用する画像ワークステーションは,メディックサイト社のMedicRead 15台,アミン社のZio Station 15台,計30台。司会進行は例年通り,今井 裕氏(東海大学)と飯沼 元氏(国立がんセンター中央病院)が務めた。
まず最初に,森山紀之氏(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)から,CTCが内視鏡医にも認められるようになってきたこと,今年からがんセンターでCTCによる大腸スクリーニングを開始することなど,開会の挨拶があった。続いて,第一部「欧米・わが国におけるCTCの最新情報」で飯沼氏が,「国立がんセンターにおけるCTCの開発状況〜海外での普及状況と今後の展望を含めて〜」と題して講演した。飯沼氏は,大腸コンピュータ支援診断(CAD)と大腸デジタル前処置(タギング,エレクトリック・クレンジング)を中心にこれまでの国立がんセンター(NCC)における取り組みと開発中の技術などについて解説した。CADについては,2007年から英国メディックサイト社と共同研究を開始し,早期大腸がんに対する検出率は80%を超えているが,隆起のない表面型,平坦陥凹型の検出が課題という。現在,sm浸潤癌の新しい検出アルゴリズムを開発中で,Wall Thickness Index(WTI)を用いて偽陽性を少なくするCADであるVer.5.0が今年前半にも発表されると述べた。一方,CTCの前処置には,欧米で普及している自動炭酸ガス注入機が有効で,現在はEZEM社の注入機を使用しているが,日本人に適した腸管拡張に向けて,メディックサイト社やアミン社も開発を進めているという。また,タギング用には,経口ガストログラフインかバリウムが使用されるが,NCCではバリウムですでに1500例以上の経験を積んできた。それに基づき,CTC用経口造影剤を伏見製薬と共同開発中で,治験も計画しているとのこと。検査前処置の簡略化により,被検者の負担軽減を図りたいと述べた。海外では日本に先行してCTCが一般臨床で行われているが,日本の優れた大腸診断学への関心は高く,平坦陥凹型がどこまで検出できるかについての検討が進められている。NCCでは今後も,上記各社との共同研究・開発を進めるとともに,トレーニングにも力を入れて,CTCの実臨床での実施をめざしていくと述べた。
第二部では,メディックサイト社とアミン社による画像ワークステーションによるデモンストレーションが行われた後,参加者のハンズオントレーニングが実施され,症例問題の提示と出題の回答,質疑応答などが行われた。 |