4月11日(日)10:00〜11:45,JSRT シンポジウム3「心臓CTにおける知識と技術」が開催された。現在,各社CT装置の最新技術の心臓・大血管領域における有用性の高さが注目を浴びているが,それを表すかのように聴講者は後方,両脇の壁にも隙間なく立ち見ができるほどであった。
同シンポジウムは,駿河日本大学病院の石井 勉氏と東邦大学医療センターの新木 操氏が座長を努め,5人の演者が登壇した。まず,1人目の(株)根本杏林堂の弓場孝治氏が,冠動脈CT造影法の定量化について,体重を指標とした造影剤の注入条件や,造影剤の使用量の減量を目的としたテストインジェクション法による撮影を提案した。また,monochromatic imagingや低電圧撮影によるコントラストの増強効果など,新技術が造影法のさらなる定量化を実現するであろうと期待を寄せた。
続いて,日本大学医学部附属板橋病院の君島正一氏が東芝社製「Aquilion ONE」,慶應義塾大学病院の杉澤浩一氏がGE社製「Discovery CT750 HD」,東京慈恵会医科大学附属病院の庄司友和氏がシーメス社製「SOMATOM Definition Flash」の性能評価および使用経験について報告をした。各社とも64列マルチスライスCT以降の新しいCT装置では,独自の方向性を示しハード,ソフトの両面で開発を行ってきたが,各演者の発表からは,“低被ばく化かつ高画質”をキーワードとした逐次近似再構成法(ASiRやADIR),デュアルエナジー撮影,低電圧撮影などの最新技術が出そろい,今後はそれらの技術をより洗練していく段階に移っていくのだろうという感じを受けた。
最後に,東京大学医学部附属病院の長谷川浩章氏が,心臓CT画像処理における診療放射線技師に必要なスキルについて講演を行った。長谷川氏は,スキルを構成する要素として,経験,技術,コンピテンスを挙げ,撮影のみならず画像処理技術に関する知識・技術の修得から,現在の画像診断には切って離せなくなってきたワークステーションの効率的な運営方法などについても学ばなければならないとした。 |