4月10日(土)の10:00から核医学検査 SPECT 臨床一般(CyPos)の研究発表を拝聴した。
このセクションでは,骨シンチグラフィー検査におけるカウント値の正規化と経時差分処理の検討,センチネルリンパ節検査におけるFusion画像を作成するためのランドマーク設定法の検討と99mTcの下限投与量の検討,制動放射イメージングと骨シンチグラフィーの画像比較の検討,ゼヴァリンの調剤時の被ばく防護になどについて報告が行われ,大変興味深い報告ばかりであった。
骨シンチグラフィーの画像において正常な腰椎のカウント値を利用し,患者ごとにカウント値の正規化を行い,集積の程度の定量評価が行われていた.また,経過観察するために撮像された骨シンチグラフィーの画像に対して,正規化を行ったあとに経時差分処理を行い集積の程度の経時変化を定量評価できる可能性について報告されていた。
センチネルリンパ節検査において,SPECT画像とCT,MRIのFusion画像を作成するために,胸骨から腋窩にかけてランドマークの設定する手法が提案されていた。この手法を用いることで,再現性のあるランドマークの設定することができ,Fusion画像を作成するときに,SPECT画像とCT,MRI画像を容易に位置合わせできるようになったとのことであった。また,センチネルリンパ節検査のときに術者と被験者の被ばく線量を低減させるために,下限投与量の検討についても報告されていた。
有痛性骨転移患者の疼痛緩和治療で用いられる89Sr-chorideから放出されるβ線の制動放射線イメージングでは,制動放射イメージングの画像と骨シンチグラフィーの画像のカウント値を比較することで集積の一致・乖離の評価することができる可能性について検討が行われていた。
放射線免疫療法で用いられるセヴァリン90Yから放出されるβ線の線量をGMサーベイメータとシンチレーションサーベイメータで線量の評価を行い,ゼヴァリンを調剤するときの被ばく防護について検討が行われていた。今回の報告では,調剤時にアクリルシールドと含鉛アクリルを合わせた遮蔽が効果的であるとのことであった。
インナビネット記者 小林龍徳(岐阜大学) |