長年,日本大学の救急救命センターで活躍してこられた林氏は,脳低温療法という画期的な治療法を考案して,素晴らしい救命成績を上げてきた。脳低温療法は日本発の新しい治療法として,国際的にも高く評価されている。
最近では,救急医療で培った脳科学理論をスポーツ界にも生かして,競泳の北島康介選手を金メダルに導く大きな要因になったことはよく知られている。今日の講演でも,才能を発揮する勝負脳になる方法について,脳科学の側面から解説した。
人間の脳には限界はなく,自分へのごほうびが成功を決めるという(自己報酬神経群)。この自己報酬神経群を刺激するには,いかに良い習慣を身につけるかだとし,小さい時からやめてほしい10の習慣を挙げた。例えば,否定語を使わない,途中で違うことを考えない,話を聞き流さない,人を尊敬・感謝しない,等々,誰でも思い当たるものばかり。
そして,アスリートを勝利に導くための本能を克服する勝負脳とは,ライバルは自分を高めるツールと考える,チーム・勝負を好きになる,勝ち負けより勝ち方に勝負をかける,損得抜きに全力投球する習慣を育むことだと述べ,医療人にも応用できる考え方だとした。 |