4月10日(土)の午前10:00から「放射線診療におけるCADの未来」が開催された。このワークショップでは,CADを活用した放射線診療に積極的に取り組まれている5名の演者により,脳MRA,マンモグラフィ,胸部単純撮影,胸部CT,CT colonographyといった様々な分野から,なぜCADが必要か,CADの導入によって得られた利点,現在のCADの限界や将来展望が報告された。CADはまだ途上の事業との意見も一部であるが,演者等の発表では,CADの出力結果の参照によって放射線科医の診断能が向上しており,CADの有用性が示されていた。
CADは通常computer-aided detection (CADe),あるいはcomputer-aided diagnosis (CADx) の略とされているが,最近の傾向としてcomputer-aided volumetry (CADv) という新しい考え方が広がりつつある。CADvは人体の解剖構造や病変のサイズを計測する意味で使用される。CADeやCADxはいずれも診断の補助であり,コンピュータが放射線科医の能力を上回ることはない。一方で,コンピュータは客観的 (定量的) な計測が得意であり,CADvではコンピュータは放射線科医の能力を上回る可能性を秘めている。よって,CADvはマーケット等も含めて,注目度が急速に高まってきている。
各演者の発表が終わると,司会者と演者によるディスカッションが行われ,CADの有用性や問題提起などが議論された。最後に,司会者が「CADは有用で是非開発を継続していただきたい」とコメントされ,会場から大きな拍手が寄せられて大盛況のうちにワークショップは終了した。
司会 |
森山紀之,上甲 剛 |
演者 |
興梠征典「脳MRAにおけるCAD」
遠藤登喜子 「マンモグラフィにおけるCAD」
坂井修二 「胸部単純撮影におけるCAD」
大野良治 「胸部CTにおけるCADの現状と将来展望」
飯沼 元「CT colonographyにおけるCAD」 |
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(敬称略) |
インナビネット記者 林 達郎(岐阜大学) |