三菱重工業が産業分野の機械メーカーとして培ってきた技術とノウハウを駆使したイメージガイド下放射線治療装置「MHI-TM2000」が発表され,注目を集めた。MHI-TM2000は2007年8月に米国FDAの認可を受け,今年1月に国内薬事承認されたもの。三菱重工業が京都大学,先端医療センターとの共同研究により開発した待望の国産放射線治療装置である。
リング型ガントリーに加速器ヘッドはもとより,2対のkV X線イメージングシステム,FPD検出器によるコーンビームCT(CBCT),ポータルイメージャー(EPID)をすべて内蔵したオールインワンシステムが特徴だ。治療前に,さまざまな角度からの直行2方向同時撮影によるX線画像や,200度回転による400枚の画像データから短時間に再構成されるCBCT画像で照射位置の確認を行い,事前の治療計画との位置ズレなどを正確に算出し,位置補正を行うことができる。さらに,位置決め後の患者の移動を最小限にするため,カウチではなくガントリーが旋回するスイングガントリーシステムを採用。治療中の画像を保存し,照射野などの確認を行えるEPIDは精度管理に有用である。また,kV X線撮影では照射中の患者監視も行える。術前治療計画にはブレインラボ社製iPLANを標準装備。定位放射線治療や強度変調放射線治療(IMRT)など,正確で効率的な治療を実現している。放射線治療ががんの治療法としての地位を確立しつつあるいま,国産装置の誕生がどのようなインパクトをもたらすかが注目される。
(販売元 MHIメディカルシステムズ株式会社,販売代理店 コニカミノルタヘルスケア株式会社)
MHI-TM2000 |
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