ITEM2015 東芝メディカルシステムズ ブースレポート
第三世代ADCTをはじめ数多くの新製品を発表し,東芝ヘルスケア事業100周年にふさわしい展示を披露
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2015-4-22
東芝メディカルシステムズブース
東芝メディカルシステムズは,「360 Degrees of Safety—目を引く技術,心に残る信頼」を展示テーマに掲げて,昨年と同じ場所に広大なブースを構えた。その壁面には,東芝ヘルスケア事業100年の歩みを示す年表が描かれていた。
東芝は,1914年にX線管の開発に着手し,翌1915年には「ギバX線管球」を発表した。以来100年に及ぶヘルスケア事業の中で,世界をリードする数々の製品を世に送り出してきた。なかでもCTについては,1990年に世界初のヘリカルスキャンCTを発表し,2007年にそれまでになかったArea Detector CT(ADCT)を開発。「Aquilion ONE」として発表した。
画像診断装置の歴史を塗り替えるイノベーションを生み出してきた同社のCTの系譜に新たな装置が今回加わった。それが新しい逐次近似画像再構成法“FIRST(Forward projected model-based Iterative Reconstruction SoluTion)”を搭載した第三世代のADCT「Aquilion ONE/ViSION FIRST Edition」である。ブースでは,このほかにも16列/32スライスCTの「Aquilion Lightning」,80列/160スライスCT「Aquilion PRIME」が新たなラインアップとして紹介された。また,新型Cアームを搭載した血管撮影装置「Infinix Celeve-iシリーズが披露されたほか,血管撮影装置に組み合わされるワークステーションに搭載される新しい画像表示法“CCC(Color Coded Circulation)”,コンパクトで取り回しの良い移動型X線撮影装置「Mobirex」,マルチモダリティ対応になったワークステーションの新バージョン「Vitrea V7」など,ヘルスケア事業100周年にふさわしい展示となった。
ITEM2015初日の4月17日(金)には記者発表会を開催し,瀧口登志夫代表取締役社長が,CTの世界シェア1位になって,被ばく低減への取り組み,オンコロジー領域における治療ソリューションの拡大などにより,画像診断機器市場で世界のトップ3に入ることをめざすと述べた。(4月18日取材)
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●CT:FIRSTなど最先端技術が惜しみなく投入された第三世代ADCTのAquilion ONE/ViSION FIRST Edition
Aquilion ONE/ViSION FIRST Editionに搭載されたFIRSTは,順投影適用モデルベース逐次近似画像再構成法である。再構成関数を用いないため,オブジェクト辺縁部のアンダーシュート,オーバーシュートを抑え,FBP法に比べて空間分解能と密度分解能が向上している。これにより,低線量撮影でも高画質を得ることができ,ファントム実験ではFBP法と比べ最大で80%の被ばく低減を実現した。また,FIRSTのようなIR法は再構成処理に時間を要するが,FIRST専用再構成システムでの高速処理により短時間で画像を得られる。実際の検査では,従来の“AIDR 3D Enhanced”と並列処理が可能なため,検査後まずはAIDR 3D Enhancedの処理画像を確認した後で,FIRSTの処理画像で詳細に観察するといった運用も可能である。
このFIRSTを可能にした技術として,Aquilion ONE/ViSION FIRST Editionには新開発の検出器“PUREViSION Detector”が採用されている。昨年の第100回北米放射線学会(RSNA 2014)直前に発表されたPUREViSION Detectorは,検出器素材の改良や東芝独自の切断技術といった高精度の製造技術により検出器の性能を大幅に引き上げた。これによりシンチレータの光出力が40%向上し,DASの電気ノイズを28%低減させている。
17日の記者発表会では,共同研究施設である広島大学の粟井和夫氏(同大学大学院医歯薬保健学研究院放射線診断学教授)が初期臨床経験について,腹部CTにおいて劇的なコントラスト分解能の向上が得られたと症例画像示しながら説明した。
また,Aquilion ONE/ViSION FIRST Editionとともに発表されたAquilion Lightningは,PUREViSION Detectorを採用した780mmの大開口径ガントリのCT。同社CTのラインアップ中最も設置スペースの小さい9.8m2の最小設置面積を実現している。コンパクト設計でありながら機能は妥協しておらず,金属アーチファクトを抑えるアプリケーション“SEMAR”が利用できる。
同じくPUREViSION Detectorが搭載されたAquilion PRIMEも展示された。AIDR 3D EnhancedとSEMARが採用されて,従来よりも被ばく低減,高画質化が図られている。また,さらなる設置スペースの削減を図るために,コンソールシステムも見直し,卓上に設置できるようユニットを小型化している。
このほか,ブース内では,国立がん研究センターなどと共同で開発を進めてきた「QDCT(Quarter-pixel Detector CT)」(医薬品医療機器等法未承認品)も参考出品された。症例画像を交えて紹介が行われ,来場者の関心を集めていた。
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●X線:新型Cアーム採用の「Infinix Celeve-i」や血管造影画像の新しい表示法などをPR
TAVIなどのハイブリッド手術に対応した血管撮影装置のニーズが高くなっているが,同社では「Infinix Celeve-i INFX-8000C/INFX-8000H」に組み合わせる新型Cアーム「CAS-930A」を開発。ハイブリッド手術に対する臨床家からの要望に応えた。ハイブリッド手術では寝台の頭部側に手術器具や各種装置を配置するため,CAS-930Aは,患者側面からCアームを挿入できるようにした。Cアームは患者の左右両側から挿入可能である。また,最速で80°/秒,約3秒という高速3D撮影,最速5秒のコーンビームCT撮影が可能である。さらに,同社の被ばく低減への取り組みである“DoseRite”のアプリケーションである“DoseRite DTS”“DoseRite SpotFluoro”などが利用可能。術者と被検者の被ばく低減を図れる。
また,血管撮影装置用のアンギオワークステーションに搭載されている“Parametric Imaging”に新しい表示法が追加されたこともPRされた。従来のParametric Imagingでは,血管造影画像を基に造影剤到達時間をカラー表示していたが,静止画像のため造影剤の流れる方向を把握するのは困難であった。そこで,新たな画像表示法としてCCCが開発された。CCCは,造影剤の流れる方向を動画像で表示し,直感的に把握できるようにした。これによりシャントポイントの同定などが容易になる。同社では,このCCCに加えて造影剤到達時間(TTA),平均通過時間(MTT)を表示できるアンギオワークステーションを,新バージョン“V6.1”として展開していく。
移動型X線撮影装置も新型が発表された。「Mobirex」と名づけられたこの装置は,新たにデザインされたもので,テレスコピック方式の支柱や独自のオフセット構造,本体幅56cmなどコンパクトな筐体を特長とする。大容量バッテリーの採用により,電動走行に加え,電源ケーブルなしで撮影が行えるほか,照射野ランプをLEDにするなど,省電力設計であることも導入施設にとって大きなメリットとなる。また,可動絞り部での本体前後操作,X線管後方ハンドルによる支柱操作など優れた操作性を有する。本体には,タブレットやノートPCを設置するスペースが用意されている。これは,現状,将来的にデジタル対応することを意味しており,すでに同社は,ワイヤレスFPDの開発をすませ,医療機器の認証を受けている。ブースでは,10×12インチ,14×17インチ,17×17インチのワイヤレスFPDが展示されており,今後の製品発表が予想される。
デジタルマンモグラフィ「MAMMOREX Pe・ru・ru DIGITAL」もブラッシュアップが図られた。FPDの処理速度を高速化したことで,装置の起動時間を従来の約半分に短縮。撮影時間も約3割短くできる。このほか照射野ランプをLEDに変え,フットスイッチの幅も広げた。
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●ヘルスケアIT:マルチモダリティ対応のVitrea V7は,線量マネジメントも可能に
ワークステーションのVitreaが大きな進化をしたことも,今回のITEMではトピックとなった。新バージョンVitrea V7は,マルチモダリティ対応となり,CT,MRI,SPECT,PET/CTなどの画像解析処理を行うことができる。また,5台までクライアントを接続でき,3ユーザーが同時に使用できる。旧バージョンのCT専用ワークステーションであったときから,心機能解析,ステントプランニングなどアプリケーションが高い評価を得ていたが,Vitrea V7では各モダリティの画像解析処理に加え,他社のアプリケーションを組み込んでおり,幅広い用途に対応する。
さらに,画像解析処理に加えて,放射線部門の管理業務を支援するマネジメント機能も充実させている。撮影プロトコールや線量の情報を管理できるほか,装置の稼働状況をモニタリングするソフトウエアも搭載。病院経営にも結びつく被ばく管理や装置の運用管理に効果を発揮する。
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●MRI:「Vantage Titan 3T」の画質を向上する「Saturn Gradient」
MRIでは,ハイエンド装置のVantage Titan 3T,「きれい,簡単,コンパクト」が特長の1.5T MRI「Vantage Elan」が展示された。
Vantage Titan 3Tは,新しいオプションとしてRSNA 2014で発表されたSaturn Gradientの技術がその臨床画像とともに紹介された。最新ソフトウエアバージョンの“M-Power V2.5”を搭載したSaturn Gradientがもたらすメリットは,“BOOST Quality”“BOOST Speed”“BOOST Flexibility”という3つのキーワードから説明できる。BOOST Qualityとしては,冷却性能の強化やローレンツ力の抑制により発熱と振動を抑え,高分解能撮像でも安定した高画質を得られるようにした。また,BOOST Speedとして,プレスキャンの大幅な削減や再構成時間を1/10にするなど検査時間の短縮化を図った。BOOST Flexibilityとしては,ユーザーインターフェイスの設計を見直したほか,パラメータ変更の自由度を高めている。
このほか,新開発のコイル「16ch フレキシブル SPEEDER」も展示された。柔軟性があるため整形外科領域などで撮像部位に密着できるため,SNRの高い画像を得られるようになる。
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●お問い合わせ先
東芝メディカルシステムズ株式会社
住所:栃木県大田原市下石上1385番地
TEL:0287-26-5100
URL:http://www.toshiba-medical.co.jp/
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