ITEM in JRC 2010

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3T MRI,ADCT,循環器X線システムなど実機をそろえて新たなチャレンジをアピール

  東芝メディカルシステムズの今年の展示テーマは「Viewing More is Doing Better―もっと診えれば,もっと変わる」。東芝ブースでは,低侵襲,治療支援,医療効率の向上の視点で機器・システムを展示した。なんといっても待望の国産3T MRIが登場したこと,また,昨年とは異なり多くの実機が展示されたこともあって,ステージでのデモンストレーションなどを含めて活気あるブースとなっていた。(4月9日取材)

  MRI,CTといった主力のラインナップに新製品が登場して活気にあふれていた
MRI,CTといった主力のラインナップに新製品が登場して活気にあふれていた

● 満を持して発売する国産初の3T MRI「Vantage Titan 3T」

  今回の展示の目玉として注目を集めたのが,国産メーカー初の3T MRI「Vantage Titan 3T(以下Titan 3T)」だ。Titan 3Tは,先行する3T MRIのユーザーの声を聞き,「日々の検査に安心して使える3T MRIとは」を追求して開発を進めたという。開発のポイントは「躯幹部の画質の向上」「快適な検査環境の提供」の2点。

  「躯幹部の画質の向上」としては,1.5Tに比べた画質の問題が指摘される3Tの腹部領域について,「Multi-Phase Transmission」を搭載し均一なRF送信を行うことで,高磁場でもムラのない高画質な腹部画像の撮像を実現した。また,同社のMRIの特長のひとつである非造影MRA(Time-SLIP法)を3Tで実現するため,人体の形状に合わせて磁場領域を最適化する「comform」技術,3Tに最適化したRFコイル「Atlas SPEEDER」などを新たに開発した。

  「快適な検査環境の提供」では,検査時の圧迫感を解消するため開口径71cmを実現。開口径を広げながら静磁場均一性を保つため,マグネット本体ではなく内側のグラディエントコイルをスリム化した「Super Slim Gradient」を搭載した。また,3Tでさらに増した検査時の騒音対策として,1.5Tで定評のある静音化機構「pianissimo」を搭載して,ノイズを10分の1まで低減している。

  展示では,3Tとしてはコンパクトで開口径の大きい本体のデザインが注目され,実際にベッドに載ってガントリ内での広い空間を体験する姿が見られた。

 

3T MRI「Vantage Titan 3T」。ガントリ内に入って検査空間の広さをアピール
3T MRI「Vantage Titan 3T」。
ガントリ内に入って検査空間の広さをアピール

71pのオープンボア。テーブルの位置がさらに低くなっているため,検査時の開放感が大きい
71pのオープンボア。テーブルの位置がさらに低くなっているため,検査時の開放感が大きい


● 160列でのヘリカルスキャン「Volume Helical Scan」と多彩なアプリケーションを搭載

  Area Detector CT「Aquilion ONE Volume Evolution Edition」は,160列のヘリカルスキャンやボリュームスキャンの特長を生かした多彩なアプリケーションを搭載するAquilion ONEの新バージョンである。

  従来のAquilion ONEでは,320列はコンベンショナルスキャンであり最大のヘリカルスキャンは64列だったが,Volume Evolution Editionでは160列でのVolume Helical Scanを実現し,体幹部の60pを3.8秒でスキャンできる。同社によれば,技術的には320列のヘリカルスキャンも実現できたが,テーブル移動速度が速すぎ安全性が確保できないため160列でのスキャンにしたとのことで,実際のテーブル移動速度をステージで再現していた。

  アプリケーションとしては,「心筋パーフュージョン」「ボディパーフュージョン」「Dual Energy」などのアプリケーションを搭載する。心筋パーフュージョンは,心臓をワンショットで撮影できるAquilion ONEの特長を生かし,薬剤負荷による心筋の血流を画像化する。現在,世界的な多施設合同臨床試験である“CORE320”で,心筋SPECTとの比較検討による有用性の検証が行われている。ボディパーフュージョンは,ボリュームデータから解析された各臓器の灌流情報をカラーマップで表示する。ボリュームデータのため,MPRや3Dでの観察が行える。Dual Energyは,CTの新しい撮影法として各社が取り組んでいるが,東芝の方法は高電圧と低電圧を高速に切り替えて異なるエネルギーのボリュームデータを連続収集してサブトラクションを行うもの。管電圧の違いによって得られたCT値の差を解析して,尿管結石などの物質の性状を判断することができる。

  その他,被ばく低減機構として逐次近似再構成法の原理を応用したAiDR(Adaptive Iterative Dose Reduction)による低線量での撮影や,3D解析などのコンソールの機能をリモートで利用できるシュア・エクステンション機能など,新たな機能をプレゼンテーションした。

 

160列のヘリカルスキャンが可能なArea Detector CT「Aquilion ONE Volume Evolution Edition」
160列のヘリカルスキャンが可能なArea Detector CT
「Aquilion ONE Volume Evolution Edition」

「シュアエクステンション」をはじめ「心筋パーフュージョン」などの多彩なアプリケーションを紹介
「シュアエクステンション」をはじめ「心筋パーフュージョン」などの多彩なアプリケーションを紹介


● ハイブリッド手術に対応したX線循環器診断システム「Infinix Celeve-i INFX-8000V」

  先日発表されたハイブリッド手術が可能なX線循環器診断システム「Infinix Celeve-i INFX-8000V」を展示。

  INFX-8000Vは,マルチアクセス型のCアーム(シングルプレーン,バイプレーン)に,手術にも対応できる起倒機能を搭載したカテーテル寝台を組み合わせた。カテーテル寝台(CAT-880B)は,上下左右方向へ各16°の傾斜(チルト)が可能になっているほか,手術時の各種器具の装着を考慮して250sまでの荷重に耐えられる。同社のハイブリッド手術対応のX線システムのラインナップとしては,ほかに手術専用寝台(Maquet製)との組み合わせによるINFX-8000Hがあり,カテ中心(8000V)と手術室での外科的処置が中心(8000H)とユーザーのニーズによって選択できる。

  手術への対応には,術者や器具を設置するスペースの確保や,術式にあわせたベッドの可動性などが要求されるが,INFX-8000Vでは,マルチアクセスのCアームによって頭部から下肢までの撮影ができるほか,患者の頭部側にフリースペースを生み出すことができ,手術時の術者や機材の容易な取り回しを可能にする。また,独自の画像処理コンセプト「PureBrain」は,ノイズや残像が少ないクリアな透視画像が得られ,海外での評価も高いとのことだ。

 

ハイブリッド手術に対応する「Infinix Celeve-i INFX-8000V」。傾斜(チルト)が可能なカテーテル用寝台が特長
ハイブリッド手術に対応する「Infinix Celeve-i INFX-8000V」。傾斜(チルト)が可能なカテーテル用寝台が特長


● 最高機種の機能をコンパクトなボディに集約した「Aplio MX」

  同社の超音波診断装置のフラッグシップ機であるAplio XGの機能をコンパクト化した「Aplio MX」を展示。MXは,Bモード画像を高画質化するPrecision Imaging,Differential-THIや,ApliPureなどの最新の画像技術を搭載し,乳腺の石灰化を検出するMicroPureやエラストグラフィなどの機能をあわせて高度な検査が行える。本体の容積サイズを50%にしており,乳腺クリニックなどスペースのない施設でも最新の検査環境を構築できる。

 

ユーザーのニーズから生まれた超音波診断装置「Aplio MX」。高機能をコンパクトにというのが大きなポイント
ユーザーのニーズから生まれた超音波診断装置「Aplio MX」。高機能をコンパクトにというのが大きなポイント


● 画像を知りつくしたモダリティメーカーが提案するPACS「RapideyeCore」

  ヘルスケアITソリューションとして,RISの「RapideyeAgent」,PACSの「RapideyeCore」,循環器動画像ネットワークの「CardioAgent」などを展示した。モダリティメーカーならではの機能と使い勝手を追求したPACS「RapideyeCore」の新機能などが紹介されていた。

  RapideyeCoreは,Aquilion ONEに代表されるような大容量データの画像読影に対応するために,画像の高速転送と表示,複数検査の連動機能,レポートとビューワの連動,使いやすい検査リストなどを実現した。MIP,MRPの作成などにも対応して読影での使い勝手を向上した。さらに,新しい機能として,読影中の画面レイアウトを保存できる一時保存機能,必要な画面のレイアウトを保存できるマイレイアウト,患者ごとの検査や所見の有無を一覧できるペイシャント・ポータルなどを搭載している。

 

PACS「RapideyeCore」。モダリティメーカーが作ったPACSとしてユーザーの使い勝手を追求した新機能を搭載している
PACS「RapideyeCore」。モダリティメーカーが作ったPACSとしてユーザーの使い勝手を追求した新機能を搭載した


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