2016-4-28
キヤノンマーケティングジャパン/
キヤノンライフケアソリューションズ/
AZE ブース
キヤノンマーケティングジャパン/キヤノンライフケアソリューションズ/AZEは,ホールD入り口すぐにブースを構え,来場者を迎えた。今回はブーステーマに“Connect imaging on Cloud”を掲げ,2014年からキヤノンマーケティングジャパンが開始した医用画像クラウドサービス基盤「Medical Image Place」を中心に,医用画像運用を支援する一連の製品・サービスを来場者に紹介した。
2014年に3D医用画像解析技術に強みを持つAZE社をグループに迎えたことで,パイオニアとして長年の蓄積があるデジタルラジオグラフィから画像解析,読影・診断,3Dプリントに至るまでを支援する製品・サービスを提供できる体制が整えられた。
ブースでは,「デジタルラジオグラフィCXDI」と関連ソリューションを紹介する撮影エリアを中心に,受付,操作,画像管理,読影,症例検討,術前検討と,院内のシーン別に製品を展示。一部をAZEエリアとするとともに,コンセプトルーム「Executive Reading Room」を設けて読影の効率と質を向上させる“未来の読影室”を提案した。
今回は,Medical Image Placeの新サービス「医用画像システムサービス」や,DRの“ワンショット長尺撮影”,検診バス医用画像転送ソリューションなどの新製品・新ソリューションがアピールされ,医用画像領域を広くカバーするキヤノンマーケティングジャパングループの提案力を示す展示となった。(4月16日取材)
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●医用画像クラウドサービスMedical Image Placeに新サービス「医用画像システムサービス」が登場
キヤノンマーケティングジャパンが運営するクラウドサービス基盤を活用した医用画像クラウドサービス基盤「Medical Image Place」のサービスが開始されたのは2014年10月。読影サービス事業者とその契約施設向けに提供される「遠隔読影インフラサービス」に始まり,2015年4月には院内PACSなどの医用画像のバックアップデータをクラウド上で預かる「医用画像外部保管サービス」がスタートするなど,ラインナップを拡充してきた。そして,この4月に新しく始まったのが「医用画像システムサービス」である。
医用画像システムサービスは,診療所〜中小規模病院を対象としたクラウドPACS。キヤノンの統合医療画像管理システム機能を搭載しており,モダリティから発生した医用画像データだけでなく,文書などのスキャンデータ,デジタルカメラで撮影したデータなどを一括管理することができる。院内に設置した一次キャッシュストレージであるゲートウエイ端末とMedical Image PlaceをVPNでつなぎ,ゲートウエイ端末に集約したデータをクラウドに転送して保管する。保管したデータは,院内端末やモバイル端末からゲートウエイ端末を介してクラウドにアクセスする形で閲覧できる。データ閲覧においては,メイン画面で患者ごとのデータが時系列・データ種別にマトリックス表示され,データのサムネイルをクリックするとブラウザの別ウインドウに参照画像が表示される。
DICOM画像に限らず,患者の患部をデジタルカメラやiPhone・iPadで撮影した写真や,問診票・紹介状なども一括管理でき,ストレスフリーなデータの管理・運用を実現する。なお,モバイル端末からの参照は,専用アプリからクラウド上のデータにアクセスする方式のため,データが端末に残ることはなく,セキュアに運用することができる。また,データがクラウド上に保管されることで,地域連携・病診連携にも利用でき,病院で撮影した画像と読影レポートを診療所側から即座に閲覧できるような運用も可能となる。地域包括ケアシステムの推進により,今後ますます必要性が高まる病診連携や在宅診療にも有効活用できるシステムと言えるだろう。
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●ワンショット長尺撮影など新しいソリューションをアピールしたデジタルラジオグラフィCXDI
今回,デジタルラジオグラフィCXDIの展示では,病院向けにリリースしたワンショットでの長尺撮影を可能にするシステムと,検診施設向けの検診バス医用画像転送ソリューションの2つを新しく紹介した。
“CXDIワンショット長尺”は,デジタルラジオグラフィCXDIのコントロールソフトウエア“CXDIコントロールソフトウエアNE”のオプション機能で,2015年7月に「CXDI長尺用立位架台AS-S03」とともに発売された。これまでCXDIでの長尺撮影は,複数回照射して収集した画像を貼り合わせて再構成する方法で行われていたが,CXDIワンショット長尺により1回の照射で長尺撮影を行うことができる。これにより,撮影時間が短縮して患者の負担を軽減するとともに,分割撮影では画像が切り替わる部分で重複して被ばくしていたが,それがなくなり被ばく低減にもつながる。撮影後は自動で長尺画像が表示され,1回照射のため体動による歪みがない画像を得ることができる。
長尺撮影に対応するFPDは,フルサイズ(17インチ×17インチ)の「CXDI-401C Wireless」と「CXDI-401G Wireless」の2機種で,CslとGOSのシンチレータのどちらも使用できる(混用は不可)。
専用の長尺撮影架台として,立位架台と臥位架台(「CXDI長尺用臥位架台AS-ML01」)が展示された。立位架台には,最大3枚(2枚での長尺撮影も可)のFPDをセットでき,撮影可能最大範囲は1170mmである。架台は電動で昇降し,床から60〜1995mmの範囲で撮影が可能で,下げた際に足を挟まないように“被検者足挟み防止センサ”が付いている。フォトタイマの装着も可能で一般撮影の立位架台としても使用でき,グリッドの着脱も容易なことから,胸部撮影や小児撮影にも活用できる。
3月から発売されている臥位架台は,低床テーブルとFPDを入れるケースキャリアがセットとなっている。テーブルの高さを150mmと低くすることで,3mの天井高で約2mの撮影距離を取ることができ,臥位での長尺撮影を可能にした。撮影可能最大範囲は1170mm,ケースキャリアの長手ストロークは320mmで,最大3枚のFPDセット,着脱容易なグリッドは立位架台と同様である。
検診施設向けの検診バス医用画像転送ソリューション「J-Transmit」は,検診バスで撮影された画像を,VPNを介して即時に検診施設へ転送するソリューション。今春から提供が始まっており,会場では「CXDI車載用人体上下架台CXFP-G3W」とともに展示された。従来,検診バスでは撮影画像をDVDやUSBメモリに転送し,検診バスが施設に戻ってから院内PACSにデータを格納していたが,J-Transmitにより撮影後すぐに施設のPACSに転送されるため,撮影から読影までの時間を短縮できる。また,DVDなどのように紛失のリスクがなく,セキュアな運用が可能となっている。大容量データのアップロード専用に開発したLTE回線を使用し,使用容量の上限がない定額プランで提供している。
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●3Dプリントのデータ作成から造形まで,手術を支援するソリューションを紹介
3Dプリント技術は,2008年の診療報酬改定で手術検討に利用される実物大臓器立体モデル作成が保険適用されて以降,医療分野においても年々関心が高まっている。2016年度の改定では骨切り術における四肢骨モデルが追加適用となり,今後ますます臨床応用が広がることが考えられる。
ブースには,術前検討に関連するソリューションを紹介するコーナーが設けられ,3Dプリンタ用のSTL形式のデータを作成する3Dワークステーション「AZE VirtualPlace」(AZE社)や,骨モデルを制作する石膏積層造形3Dプリンタ「Projet 460Plus」(3Dシステムズ社)の実機が,実際の3Dモデルとともに展示された。
また今回,AZE VirtualPlace で作成したSTLデータを,さらに高度に編集したいという要望に応え,STL編集ソフトウエア「Materialise 3-matic」(マテリアライズ社)の販売を4月から開始することが紹介された。Materialise 3-maticでは,骨が脆くなっている高齢者の骨モデリングで生じる小さな穴などを,周囲の生体カーブを読み取って立体的に埋めたデータを作成したり,血管造影画像を基に血管モデルのデータを作成することができ,手術支援や教育に有用な3Dモデルを作成することができる。
ブースでは,これらを組み合わせた医療機関向け3Dプリントソリューションと,施設のニーズに応じた3Dプリントの方法を提案するコンサルテーションのサービスを紹介し,来場者の関心を集めた。
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●より効率的で質の高い診断を支援する“未来の読影室”をコンセプト展示
ブースの一角に設けられたコンセプトルーム「Executive Reading Room」では,キヤノンが提供する製品・システム,サービスを活用して読影の質と効率を向上させる“未来型読影室”を提案した。この未来型読影室は,読影業務のベースとなるMedical Image Placeの遠隔読影インフラサービスや医用画像システムサービス中心に,Web会議システムや顔認証システムなどで構築された。
この読影室に入室すると,まずネットワークカメラを通じて入室者の顔が顔認証システム「KAOATO」(NECソリューションイノベータ)で認証され,登録されている医師であるかが確認される。将来的に,このシステムと読影端末などほかのシステムが連携すれば,IDとパスワード以外に顔認証もシステムへのアクセス方法として追加でき,よりセキュアに利用することができる。また,Web会議システム「IC3(アイシーキューブ)」(キヤノンITソリューションズ)を活用し,「顔の見える遠隔撮影指示」と「顔の見える読影」のデモンストレーションを行った。読影室と検査室,また,読影室と依頼医など別の医師をネットワークカメラでつなぐことで,音声だけでは伝わりにくい撮影指示や意見交換を映像も含めて双方向に行うことができる。このような「顔が見える」読影環境を構築することで,コミュニケーションをよりスムーズに,活発に行うことが可能となり,読影の質と効率が向上することが期待される。
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●CT,MR画像のノイズを低減できるノイズリダクションシステム(W.I.P.)を参考展示
ブースの一部は,AZEの製品・ソリューションを紹介するエリアとなっており,3Dワークステーション「AZE VirtualPlace」シリーズの実機での紹介に加え,現在開発中の「線量情報管理システム」(W.I.P.)や「ノイズリダクションシステム」(W.I.P.)を参考展示した。
このうち,ノイズリダクションシステムは,CTとMRIのthin sliceボリュームデータの画像ノイズを低減する専用システムとして,臨床使用に向けた開発が進められている。ノイズ低減処理の手法としては,元画像からノイズだけを抽出したノイズ画像を作成し,これを元画像から差分する方法で行われる。このシステムの大きな特長は,画像を取得した装置のベンダーや機種の新旧を問わず,また過去に検査を行った画像に対してもノイズ低減処理をできることである。そのため,過去画像や他装置間での比較読影も,撮影装置に大きく依存することなく,同等の画質で比較することが可能となる。また,CTにおいては近年,逐次近似再構成(iterative reconstruction:IR)法の臨床応用が広まり,ノイズを低減した画像が得られるようになっているが,このIR画像に対してもさらなるノイズ低減処理を行うことができる。
ノイズ低減ができることにより,単純に読影に有用な低ノイズ画像を得るということ以外にも,CTであればノイズが多くなってしまう低線量撮影やthin slice読影,高分解能CTなどにおいて,MRIであれば高分解能化や撮像時間の短縮において恩恵を得ることができ,臨床に大きな価値をもたらすと期待される。
現在,診療放射線技師や医師が手を掛けずに日常的に低ノイズ画像を得られるように,モダリティから取得した画像に対して自動的にノイズ低減処理を行い,PACSで参照できるシステムとするところまで開発が進んでおり,今後のリリースが待たれる。
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●お問い合わせ先
キヤノンライフケアソリューションズ株式会社
住所:東京都文京区湯島2-17-4
TEL:03-3814-4956
URL:http://www.canon-lcs.co.jp/