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ITEM2015 富士フイルム ブースレポート創立50周年を迎え画像処理技術を核としたDRやITソリューションの新製品でアピール

2015-4-30

富士フイルムメディカルブース

富士フイルムメディカルブース

富士フイルムメディカルは,今年,創立50周年にあたることから,『医療のいちばん近くから,次代を見つめる』のコピーとともにブース内に50周年記念のロゴを配置した。ブースのテーマは,昨年のITEM2014に続き「Value from Innovation」として,DRを中心とするモダリティソリューションと,SYNAPSEを中心とするITソリューションの2つのゾーンで,革新的な技術や製品で新たな価値を創造していくことをアピールした。
モダリティゾーンでは,2014年12月に発売したDR方式カセッテサイズデジタルX線装置である「CALNEO Smart」シリーズを大きくアピール。新たにラインナップに加わった四切サイズ(10×12インチ)の「CALNEO Smart C12」を含めて,軽量で高画質撮影を可能にするカセッテDRの運用を紹介した。そのほか,17×49インチのロングサイズのパネルで長尺撮影を可能にする「FUJIFILM DR CALNEO GL」,トモシンセシス機能など画像処理技術を利用可能な一体型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR BENEO- Fx」などを展示,散乱線推定技術を用いてグリッドレス撮影を可能にする“Virtual Grid”などの先進の画像処理技術を紹介した。富士フイルムメディカルでは,DRソリューションのテーマとして,“LOW-DOSE SOLUTIONS”を掲げ,FPD技術,画像処理技術,トータルサポートで低線量撮影を支援することをアピールした。また,ITソリューションでは,統合診療支援プラットフォーム「CITA Clinical Finder」を展示した。(4月18日取材)

創立50周年のロゴをブース内にも掲示

創立50周年のロゴをブース内にも掲示

DRのテーマとして“LOW-DOSE SOLUTIONS”をアピール

DRのテーマとして“LOW-DOSE SOLUTIONS”を
アピール

 

●軽量で高画質を実現するカセッテタイプDR「CALNEO Smart」,長尺撮影に対応する「CALNEO GL」などを展示

モダリティゾーンの展示の中心となったのが,2014年12月に発売されたカセッテタイプDR(FPD)の「FUJIFILM DR CALNEO Smart」シリーズである。CALNEO Smartは,独自のノイズ低減回路とISS方式の間接変換方式FPDを搭載して高画質を実現。さらに,本体には軽量で強度性能の高いマグネシウム合金を採用し,独自のフレーム加工処理と併せて全面耐荷重310kgの高い堅牢性を備えている。また,富士フイルムが開発した抗菌コート技術である“Hydro Ag”でカセッテ全面をコーティングすることで高い抗菌性能を実現している。Hydro Agは,超親水性の樹脂を使うことで従来の抗菌コートに比べて約100倍の抗菌性能を発揮する。CALNEO Smartには,パネルの蛍光体として,環境変化に強いGOS(ガドリニウムオキサイドサルファ)と,X線変換効率に優れたCsI(ヨウ化セシウム)の2種類があり,パネルサイズは14インチ×17インチ,17インチ×17インチがラインナップされていたが,今回新たに四切サイズ(10インチ×12インチ)の「FUJIFILM DR CALNEO Smart C12」が加わった。C12は蛍光体にはCsIを採用して低線量で高画質の撮影を可能にし,小児や新生児の撮影,四肢など整形領域で威力を発揮する。重量は1.6kgで,四切サイズのバッテリー交換方式では世界最軽量となっている。CALNEO Smartでは,充電機能を備えたドッキングスタンドにパネルを差し込むことで,通信のリンク先を変更する“無線ブリッジ機能”を搭載しており,複数の撮影室や回診撮影と兼用する場合でもスムーズな運用が可能になる。また,CALNEO Smartは,国際的なプロダクトデザイン賞である「レッドドット・デザイン賞2015」の最高賞である“Best of the Best賞”を受賞した。

軽量で高画質のカセッテタイプDRの「CALNEO Smart」を大きくアピール

軽量で高画質のカセッテタイプDRの
「CALNEO Smart」を大きくアピール

四切サイズの「FUJIFILM DR CALNEO Smart C12」が新登場

四切サイズの「FUJIFILM DR CALNEO Smart C12」が新登場

 

ドッキングスタンドを利用して撮影室と回診撮影を効率よく運用可能

ドッキングスタンドを利用して撮影室と回診撮影を効率よく運用可能

 

また,17インチ×49インチのロングサイズパネルを世界で初めて採用し,長尺撮影に対応するデジタルX線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO GL」を展示した。全脊椎や全下肢領域をカバーする長尺撮影は,従来17インチサイズのパネルで複数回の撮影を行って画像を連結する必要があり,撮影時の患者への負担や撮影処理にも手間がかかっていた。CALNEO GLでは,従来の約3倍の大きさの1枚のFPDで広範囲を1回の撮影でカバーし,撮影時間の短縮や撮影効率の向上が期待できる。CALNEO GLのFPDには,CALNEO Smartシリーズと同様の画像読取方式のISS 方式とGOSシンチレータを採用し,ノイズ低減回路の搭載することで低濃度領域においてノイズを抑えて鮮明に描出することができる。

17インチ×49インチのロングパネルで長尺撮影に対応する「FUJIFILM DR CALNEO GL」

17インチ×49インチのロングパネルで長尺撮影に対応する「FUJIFILM DR CALNEO GL」

 

 

●トモシンセシス機能を搭載したデジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR BENEO-Fx」

X線撮影装置とFPDを組み合わせた一体型の「FUJIFILM DR BENEO- Fx」は,FPDに「FUJIFILM DR CALNEO HC SQ」を搭載し,富士フイルムが持つエネルギーサブトラクション,独自のトモシンセシス撮影など画像処理技術と併せて提供する。トモシンセシス機能では,立位または臥位撮影で1検査あたり最大60枚の撮影画像から再構成して断層画像を生成し,CTでは描出が難しい,骨折や人工骨頭の経過観察などへの適応が期待される。BENEO-Fxのトモシンセシス機能では,金属の影響を抑制する“金属アーチファクト抑制処理”が可能で,インプラントを埋め込んだ骨領域の診断をサポートする。また,BENEO-Fxでは,撮影操作,撮影後の画像確認,トモシンセシスなどの画像処理をすべて1台のコンソールで行うことができ,撮影時のオートポジショニング機能などと合わせて一体型による操作性を生かして効率のよいワークフローを提供する。

トモシンセシス機能を搭載したデジタルX線画像診断システム「FUJIFILM DR BENEO- Fx」

トモシンセシス機能を搭載したデジタルX線画像診断
システム「FUJIFILM DR BENEO- Fx」

BENEO- Fxでは一体型コンソールで撮影から画像処理まで対応

BENEO- Fxでは一体型コンソールで
撮影から画像処理まで対応

   
一般撮影のトモシンセシスは骨折や人工関節の経過観察などに有用

一般撮影のトモシンセシスは骨折や
人工関節の経過観察などに有用

 

 

●グリッドレスで高画質,低線量の撮影を可能にする「VirtualGrid」の適応領域を拡大

富士フイルムが開発した“散乱線推定技術”によってグリッドレスの撮影を可能にする「Virtual Grid」は,昨年のITEM2014で初めて披露されたが,その後,ノイズ抑制処理による線量低減と画質の向上に関する検証を進め,2014年9月からCALNEOシリーズへの搭載が開始されている。Virtual Gridでは,撮影条件や撮影部位,被検者の体格などの要因から発生する散乱線成分を推測し,原画像から差分することで画像のコントラストを上げ,さらに粒状性成分を抑える画像処理技術によって,画質の向上と線量低減を可能にしている。胸部,腹部領域から提供を開始したが,ポータブル撮影の多い救命救急部門では頸部から胸部,腹部,骨盤部までをセットで撮影することが多く,新たに頸部,骨盤部領域への対応を予定している。これによって,救急撮影では領域ごとにグリッドを交換することなく連続撮影が可能になり,撮影のワークフローの向上が期待される。
また,ブースではX線撮影用の管球とDRパネル,小型の超音波診断装置「FC1」などをパッケージした在宅医療や災害医療に利用できるポータブル撮影用のセットを紹介し,Virtual Gridでのグリッドレスによるポータブル撮影でのメリットをアピールした。

胸部,腹部に加えて,頸部,骨盤部に対応した「Virtual Grid」

胸部,腹部に加えて,頸部,骨盤部に対応した「Virtual Grid」。グリッドなし(左)とVirtual Grid適応後(右)

VirtualGridを搭載したDR装置や携帯型超音波をセットにした在宅医療キットを展示

VirtualGridを搭載したDR装置や携帯型超音波を
セットにした在宅医療キットを展示

 

●「AMULET Innovality」のトモシンセシス画像でバイオプシーをサポート

マンモグラフィコーナーでは,直接変換型FPDを搭載した乳がん検査用デジタルX線画像診断装置「AMULET Innovality」用のソフトウエアとして新たに追加された,“トモシンセシスバイオプシーソフト”を使ったバイオプシー手技を紹介した。バイオプシーソフトでは,撮影されたトモシンセシス画像を使用して,バイオプシーのターゲティングが可能で,3Dデータであるトモシンセシス画像を使うことで,1点の指定で三次元座標が算出され位置を特定することができ,検査時間の短縮や患者の身体的負担を軽減することが期待される。

トモシンセシス撮影のデータによるバイオプシーで正確で短時間の手技をサポート

トモシンセシス撮影のデータによるバイオプシーで
正確で短時間の手技をサポート

 

 

●院内のあらゆる診療データの集約と参照を可能にする「CITA Clinical Finder」

ITソリューションでは,院内で発生する診療データを1つのプラットフォームで集約して表示できる診療支援プラットフォーム「CITA Clinical Finder」を大きく展示した。CITA Clinical Finderは,2014年の国際モダンホスピタルショウの際に“CISワークステーション”としてプレリリースされたが,ITEM2015に合わせて正式な発売がリリースされた。
CITA Clinical Finderでは,院内のさまざまな診療システムで管理されているデータを集約して,診療の場面や目的に応じて必要な情報を簡単に表示できる環境を提供できることが特長の1つだ。その1つが“クリニカルフロー”機能で,入院予約患者や手術予定患者などのテーマごとに“患者群”として対象患者を絞り込み,横軸に検査や手術予定など各患者ごとの診療プロセスが表示される。検査や手術などのプロセスは1個1個のセルになっており,クリックすることで直接必要なタスクの画面に移動することができるほか,実施・未実施などを色分けで表示することで進捗状況の把握が容易になる。このクリニカルフロー画面を中心にスケジュールなどのグループウエアの画面を組み合わせたホーム画面を構成することで,診療の起点として全体像を把握した対応が可能になる。
さらに,集約されたさまざまな診療データを,パーツとして画面上に自由に配置できる“メディカル・ガジェット”の機能によって,診療の目的や業務内容に応じて必要なガジェットを画面上に配置することができる。メディカル・ガジェットでは,患者リスト・メール・カレンダーなどの業務系機能,画像・レポート・波形データ・3D画像・動画などの患者データの参照系機能を配置することが可能だ。
CITA Clinical Finderでは,富士フイルムのSYNAPSや生体情報システム「Prescient」,3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」などはもちろん,他社製のシステムとの接続も可能になっている。また,基幹系の医事会計や看護支援システムとは電子カルテシステムやオーダリングシステムとの“統合インターフェイス”を介して接続を可能にする。富士フイルムでは,これまでSYNAPSEの導入などで培ってきたシステム連携の技術やノウハウがあり,CITA Clinical Finderでは標準規格を含めてこの統合インターフェイス・テクノロジーでシステム間の連携を一元化を実現する。

院内の診療データを統合的に管理できる「CITA Clinical Finder」

院内の診療データを統合的に管理できる
「CITA Clinical Finder」

CITA Clinical Finderではクリニカルフロー表示で診療プロセスの全体像を把握可能

CITA Clinical Finderではクリニカルフロー表示で
診療プロセスの全体像を把握可能

   
さまざまな情報を自由にレイアウトできるメディカル・ガジェット

さまざまな情報を自由にレイアウトできる
メディカル・ガジェット

メディカル・ガジェットでは診療科や部署によって必要なデータを選択して表示できる。

メディカル・ガジェットでは診療科や部署によって
必要なデータを選択して表示できる。

 

●お問い合わせ先
富士フイルムメディカル株式会社
住所:東京都港区西麻布2-26-30
TEL:03-6419-8033
FAX:03-5469-2922
URL:http://fms.fujifilm.co.jp/

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