ITEM2013 富士フイルムメディカル ブースレポート
先進の画像技術を生かしたマンモグラフィソリューションから診療をサポートするITソリューションまで多彩な製品を展示
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2013-4-18
富士フイルムメディカルブース
富士フイルムメディカルは,ブーステーマを昨年と同様の「先進の画像技術で,あらゆる診療シーンに付加価値を」として,モダリティソリューション(マンモグラフィ,DR)とITソリューションで構成した。モダリティコーナーでは,ITEM直前に発表されたデジタルマンモグラフィの新製品「AMULET Innovality(イノバリティ)」や,AMULET向けの痛くない圧迫板「FS(Fit Sweet)圧迫板」,マンモ専用画像診断ワークステーション「AMULET Bellus」など,マンモグラフィの製品ラインナップが充実し展示の大きなウェイトを占めて,来場者の注目を集めていた。また,同社のワイヤレスタイプのFPD(DR)である「FUJIFILM DR CALNEO C」シリーズに,17×17インチの「FUJIFILM DR CALNEO C 1717 Wireless SQ」などが加わって7種類のパネルラインナップとなり,さまざまなニーズに対応できることをアピールした。
ITソリューションでは,SYNAPSEシリーズの新製品であるシンクライアントビューワシステム「SYNAPSE ZERO」,技術展示として病院内のさまざまな検査情報を統合管理,参照を可能にする診療支援ビューワ「Clinical Advanced Viewer」などを出展。類似症例検索表示システムの「SYNAPSE Case Match」などとあわせて,医師の診断や治療方針の決定などに寄与するソリューションの提案を行った。そのほか,モバイル端末を活用して救急医療をサポートする「SYNAPSE ERm」やクラウドサービス「ASSISTA Portal」など幅広いソリューションを訴求した。(4月13日取材)
●トモシンセシス機能を搭載した新しいデジタルマンモグラフィ「AMULET Innovality」
モダリティコーナーでは,大きなスペースがマンモグラフィソリューションに当てられており,多くの来場者を集めていた。同社では,乳房検査のためのさまざまな新製品を発表しておりラインナップの充実を感じさせた。
ITEM直前に発表されたデジタルX線撮影装置「AMULET Innovality」は,“HCP(Hexagonal Close Pattern)”構造のTFTパネルを採用した直接変換型FPDを搭載し,従来のAMULETシリーズよりも低線量で高画質の撮影が可能になる。AMULET Innovalityでは,異なる角度で複数枚撮影したデータから断層像を再構成するトモシンセシス機能に対応する。同社のリアル3Dマンモグラフィも可能で,用途に応じたさまざまな検査に対応する。AMULET Innovalityの登場で,検診から精密検査までの撮影に対応するAMULETシリーズのラインナップがそろったことになる。
AMULET Innovalityに搭載されるトモシンセシス機能は,撮影角度を最小に抑えて高速撮影を実現するST(standard)-modeと,振り角を大きくして深さ方向の分解能を向上したHR(High Resolution)-modeの2モードの撮影が可能になっている。
また,展示ではこちらも4月に発表されたばかりの“痛くない”検査をめざした新しい乳房検査用の圧迫板である「FS(Fit Sweet)圧迫板」も紹介された。FS圧迫板は,マンモグラフィ検査時の圧迫板による痛みを軽減することを目的に開発されたもので,圧迫板の材質は変えずに,傾斜をつけることと圧迫板にスリットを入れることで圧力を分散して,これに対応した。会場では,実際に手を圧迫して従来の圧迫板との違いを実感する来場者の姿が見られた。
さらに,3月に発売されたマンモグラフィ専用画像診断ワークステーション「AMULET Bellus(ベラス)」が出展された。2012年のRSNAで発表されたAMULET Bellusは,マンモ画像の高速表示,高速切替表示機能による読影支援,サムネイルアイコンやシェーマの自動作成機能などによる使い勝手の向上などを特長とする。AMULET Bellusには,角度の違う2方向から撮影した画像から乳房の構造を立体的に観察できる「リアル3Dマンモグラフィ」に対応した3D版もラインナップされており,ブースではリアル3Dの専用モニタとあわせて展示されていた。
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●ミニサイズから17インチまで7種類のパネルをそろえた「FUJIFILM DR CALNEO C」シリーズ
2013年は,富士フイルムが1983年に世界で初めてX線をデジタル化したFuji Computed Radiography(FCR)を発売して30周年にあたる。ブースでは,“FCR30th”のロゴが掲げられていたが,キャッチは「さらなる挑戦 FUJIFILM」。その言葉が示すようにデジタルX線のメインラインナップはDR(ワイヤレスタイプFPD)に移っている。3月に17×17インチのワイヤレスDRである「FUJIFILM DR CALNEO C 1717 Wireless SQ」が発売され,ISS方式でGOSタイプの3製品と,Cslシンチレータを搭載し高画質を実現したSQシリーズ4製品の計7種類のパネルがそろったことになる。ブースでは,これらのパネルをディスプレイして,さまざまな組み合わせで臨床ニーズに対応することをアピールした。
そのほか,X線の照射を自動検出するSmartSwitch搭載したDRとデータ読み取り装置,操作用のノートPCで構成された「CALNEO flex」を搭載した移動型X線撮影装置を展示。F-RISと連携した撮影ワークフローやスマートフォンを使ったソリューションなどを紹介したほか,DR一体型の移動型X線撮影装置「CALNEO Go」も展示された。
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●タブレット端末で院外でも画像閲覧が可能な「SYNAPSE ZERO」などを展示
ITソリューションでは,医療情報を統合的に運用し診療支援を可能にする「SYNAPSE」の豊富なラインナップを中心に展示を構成した。SYNAPSEは,フィルムレスの運用型PACSからスタートして,3D解析,内視鏡・超音波画像管理,遠隔読影,地域医療連携からクラウドまで発展している。ブースでは,ITEM直前に発表された新製品,新技術を含めて紹介した。
新製品として展示された「SYNAPSE ZERO」は,スマートフォンやタブレットPCでPACSに保管された画像を閲覧できるシンクライアントビューワシステムである。各端末のブラウザからログインすることで,病院内のSYNAPSEに保存されたX線画像やCTやMR,超音波などの医用画像を閲覧できる。端末には患者情報や画像を保存しない“ゼロフットプリント”の仕組みを採用するほか,患者一覧表示の際に匿名化する機能など,院外での利用を想定したセキュリティ機能を搭載する。SYNAPSE ZEROのサーバを設置し,院内では無線LANで,院外からはIPSec-VPNでアクセスする。iOS,Android,PC(Win/Mac)で利用可能だ。
診療支援ビューワ「Clinical Advanced Viewer(CA-V)」は,ITEM直前に新しく開発中のシステムとしてアナウンスされ,ブースでは技術展示として紹介された。医師の診断や治療方針の決定には,検査結果や画像情報など膨大な診療データが必要だが,現在の電子カルテシステムは必ずしもそのための機能が充実しているとはいえないのが現状だ。CA-Vでは,院内のデジタル化された診療情報を患者別や疾患別に収集し,時系列表示(タイムラインビュー)など視覚的に表示する機能を備えて,医師の意思決定を支援するビューワとなっている。現在,虎の門病院呼吸器センターと共同研究を進めており,さまざまな疾患や治療の場面で,どういった情報が必要か,提供方法を含めて開発を進めている。同社では,2012年のITEMで発表された類似症例検索表示システム「SYNAPSE Case Match」などともあわせて,医師の診断支援のためのソリューションをトータルで提供していくとのことだ。
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●スマートフォンで救急医療を支援する「SYNAPSE ERm」
2012年11月に発売された遠隔画像診断治療補助システム「SYNAPSE ERm」も,ITEMでは初展示となった。2011年に発売された脳卒中の救急医療をサポートする「i-Stroke」から発展したSYNAPSE ERmでは,心電図などの生体情報モニタの情報などを院外の専門医が持つスマートフォンなどで閲覧を可能にした。展示では,生体情報モニタからMFERで心電図情報を転送し,iPadから心電図の必要な部分や波形情報を任意に拡大するなどのデモが行われた。そのほか,SYNAPSE ERmでは緊急コール機能やタイムライン表示などi-Strokeからの機能はそのまま利用でき,より広い領域での救急医療をサポートできるシステムとなっている。
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