2015-3-26
富士フイルム(株)は,全下肢領域や全脊椎領域などの広範囲をワンショットで撮影できる,世界初※1のロングサイズ(17×49インチ)DR※2方式・デジタルX線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO GL(カルネオ ジーエル)」を,平成27年4月1日より富士フイルムメディカル(株)を通じて発売する。
近年,高齢化社会を背景に,一般的に50代以降の方が発症しやすいといわれる膝関節疾患の患者が増えており,これに伴って全下肢領域のデジタルX線撮影件数も増加している。全下肢領域は撮影範囲が広く,一般的に17×17インチサイズのX線画像診断装置を使って,2~3回に分割して撮影する。この間,患者は膝関節の痛みに耐えながら,撮影画像がぶれないよう直立不動を維持しなければならない。自分で直立できない場合は,体をバンドで固定して撮影するなど,大きな身体的負担が伴う。また,若年者に発生する脊椎側弯症においても,全脊椎領域を撮影することが多く,広範囲のX線撮影のニーズは増えている。
今回発売する「カルネオ ジーエル」は,全下肢領域や全脊椎領域など広範囲を一度に撮影できる,世界初のロングサイズ(17×49 インチ)DR方式・デジタルX線画像診断装置。長辺が従来の約3倍の49インチあるため,ワンショットで広範囲の撮影が可能です。従来のようなX線発生部とDRパネルをずらしながらの分割撮影や,撮り終えた複数の画像を1枚に合成するなどの煩雑な作業がなくなるため,撮影効率が大幅に向上する。また,撮影の所要時間も短縮され,患者の身体的負担が大幅に軽減される。
本製品には,X線変換効率を大幅に向上させ,少ないX線量で鮮明な画像を得ることができる独自画像読取方式のISS方式※3を採用。さらに,同社独自のノイズ低減回路※4を搭載したことにより,透過時にX線が吸収されやすく,撮影画像のコントラストが低下する心臓や縦隔部※5,骨盤などの低濃度部領域のノイズを大幅に抑制し,鮮明に描出することができる。
※1 :平成27年3月25日現在。同社調べ
※2 :Digital Radiographyの略。X線エネルギーを電気信号に変換し,X線透過画像として再構成する方法。
※3 :Irradiation Side Samplingの略。従来型のFPDと反対側のX線照射面側にセンサーを配置し,X線の照射面側よりX 線から変換された光信号を読み取る同社独自方式。
※4 :X線情報をセンシングする性能を高め,かつX線を低ノイズで検出することを可能とした電気回路。
※5 :左右の肺,胸椎,胸骨に囲まれた部分。
●主な特長
(1) 世界初のDR方式・ロングパネル(17×49インチ)による広範囲撮影
DRパネルのサイズの制約により,複数回に分けて撮影しなければならなかった全下肢領域や全脊椎領域のX線撮影が1回で完了する。これにより,従来の煩雑な分割撮影の作業が不要となり,撮影効率は大幅に向上する。また,撮影の所要時間も短縮され,患者の身体的負担が大幅に軽減される。
(2) 高感度・高画質を実現する独自設計のGOSシンチレータ
独自の画像読取方式のISS 方式を採用。センサーに到達するまでの光信号の距離を短縮し,光信号の拡散・減衰を抑えることで,X線変換効率は大幅に向上する。また,大小の蛍光体粒子を最適なブレンド比とした独自設計のGOS(ガリドニウムオキサイドサルファ)シンチレータにより,X線の吸収量を向上させることで,高感度・高鮮鋭度な画像を提供する。さらに,透過時にX線が吸収されやすく撮影画像のコントラストが低下する心臓や縦隔部,骨盤などの低濃度部領域は,独自に開発したノイズ低減回路の搭載で,大幅にノイズを抑制し,画像の粒状性を飛躍的に向上する。
(3)「SmartSwitch」標準搭載
フラットパネルセンサ自体がX線の照射を自動で検出する「SmartSwitch」を標準で搭載。
X線発生装置とのケーブル接続が不要なため,既存のX線発生装置と自由に組み合せて使用できる。
「SmartSwitch」には,独自技術を駆使したX線信号と外乱ノイズを判別する高性能な判定アルゴリズムを搭載し,確実なX線信号の検知が可能。フラットパネルセンサへの衝撃による誤検出や低出力なX線発生装置に依存することがなく,安心で快適な撮影を提供する。
●標準ユーザー渡し価格
4942万5千円(標準構成,税別)
●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株)
マーケティング部
TEL 03-6419-8033
http://fms.fujifilm.co.jp/