ITEM2015 フィリップスエレクトロニクスジャパン ブースレポート
「患者を中心に考えたケア」を大きなテーマとし,MRソリューション「In-bore Experience」など最新技術・製品をアピール
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2015-4-22
フィリップスエレクトロニクスジャパンブース
フィリップスエレクトロニクスジャパンは,フィリップスのブランドライン「Innovation and you.」の下,患者を中心とした,患者のためのケアをコンセプトにブースを構成した。iXRコーナーの正面には,フィリップスが1955年に発売し,世界に2台しか現存しないI.I.搭載外科用Cアーム「BV20」を展示。画像を撮影して診断するだけだった当時から,治療にも活用され,さまざまな医療機器が患者ケアに用いられるようになった現在までのイノベーションを来場者に感じてもらうことを一つのブースコンセプトとしている。17日に行われたメディア向けブースツアーでダニー・リスバーグ代表取締役社長は,「今回は,“患者中心のケア”が大きなテーマとなっている。それを形にしたのが,日本初展示のMRソリューション『In-bore Experience』。MRI検査は,閉所恐怖症の患者さんや子どもにとっては怖い体験であるが,In-bore Experienceにより恐怖感が軽減され,リラックスして,心拍数を上げずに検査できるものと考えている。フィリップスは,ライティング事業など多様な事業を行い,さまざまな技術を持っていることから,他分野の技術を患者さんのために応用することもヘルスケア事業のポイントとなる」と述べ,In-bore Experienceについては,ぜひ体験してほしいとアピールした。
ブースでは,In-bore Experienceのほか,ITEM初展示となるFPD搭載モバイルCアームシステム「Veradius Unity」や移動型デジタルX線撮影装置「MobileDiagnost wDR」,超音波診断装置「Affiniti」など新製品を中心に来場者に紹介した。(4月17日取材)
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●MRI:映像と音楽で被検者がリラックスできる検査空間を提供する「In-bore Experience」
MRIの展示テーマは,「MRIが魅せる新しい世界」。フィリップスが日本国内でMRIの販売を開始してから35年が経ち,現在,フラッグシップモデル「Ingeniaシリーズ」の国内稼働は200台を超える。1800を超えるMR関係の特許を保有し,コンパクトマグネットや高速撮像シーケンスなど,さまざまな技術革新を行ってきた。そのフィリップスが今回,これまでにないまったく新しい考え方で開発・上市したのが,国内初展示となったMRIソリューション「In-bore Experience」である。映像と音楽,オートガイダンス,サイレントスキャンの3つが大きな柱であるIn-bore Experienceは,被検者がリラックスしてMRI検査を受けられることをめざして開発された。被検者は,ヘッドコイルに取り付けられた鏡で壁面に映し出される映像を見ながら,また,ヘッドホンで音楽を聴きながらMRI検査を受けることができる。オートガイダンス機能“AutoVoice”は,息止め指示や検査の残り時間などが自動でアナウンスされ,確かな検査と被検者の不安軽減に貢献する。さらに,サイレントスキャン“ComforTone”は,最大80%のノイズを低減しつつ,通常の撮像と変わらない撮像時間で同等の画像を得ることができる。映像は環境映像やアニメーションなど被検者自身がコンテンツを選ぶことができ,最も恐怖を感じやすいガントリへの進入時から映像が目の前に広がるため,恐怖感を軽減し,検査の体感時間も短縮されることが期待される。
アプリケーションを紹介するコーナーでは,ルーチン検査の画質を向上させる“Premium IQ”と,より高度な機能やオプション検査を追究した“Advanced MR”を紹介し,画質や診断能の向上にフォーカスした展示を行った。Premium IQは,日常の検査におけるニーズに応えるアプリケーションをそろえており,従来からあった高速撮像法“dS SENSE”に加え,動き補正の“MultiVane XD”,脂肪抑制“mDIXON XD”,金属アーチファクト抑制“O-MAR”を新しく紹介した(いずれもオプション)。これらは組み合わせて使用できることも大きな特長で,適応領域の拡大や診断能向上に貢献する。なかでもmDIXON XDは,心電図同期との併用が可能になったことで非造影心臓MRIを実現。特許技術を用いた短時間撮像・高分解能の両立と正確な水・脂肪分離により,mDIXON XDはグラディエントエコー系,スピンエコー系のどちらの撮像も可能となり適応領域を大きく広げた。O-MARは,従来の金属アーチファクトの低減がスライス面内に限られていたのに対し,体軸方向の金属アーチファクトも抑えられるようになった。
Advanced MRでは,Spine,骨盤部,ブレストにも対応した3D撮像の“3D VIEW”や,初展示となるRFパルスを矩形にしてFOVを絞ることで折り返しアーチファクトを低減する“ENCASE”,また心筋機能の定量評価に有用なT2マップ,T2*マップを得られる“Star Quant”や“T1マッピング”をアピールした(いずれもオプション)。
また,1回の撮像でさまざなシーケンスの画像を合成する“SyntheticMR”(医薬品医療機器等法未承認品)を開発中で,モニタを使って開発状況が来場者に説明された。現在のところ,フィリップスではこの技術をPACSに実装することを検討している。検査の時間短縮という観点では,MRI装置の性能向上により,例えば救急の頭部検査ではDWI,T2,T1,T2*,FLAIR,MRAの一連の検査が合計5分ほどで撮像可能になっていることから,SyntheticMRは,解析,読影において医師が活用し,定量性や診断能の向上に寄与することをイメージしているという。
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●血管撮影装置:モバイルCアーム新製品の展示を中心に,アプリケーションの価値を最大化させるためのレクチャーも実施
血管撮影装置(iXR)のコーナーでは,フィリップスのインターベンションの原点である外科用Cアーム「BV20」と,インターベンションの最新技術・装置を併せて展示することで,イノベーションを感じられる空間を演出した。製品としてはモバイルCアームシステム2製品を展示。新製品である上位機種のFPD搭載モバイルCアームシステム「Veradius Unity」は,術者と操作者の意思疎通をサポートし,より正確なポジショニングを支援する“ClearGuideテクノロジー”を実装している。術中に大きな課題となるのが,装置の操作を指示する術者と実際に操作する操作者のミスコミュニケーションであり,術者が思うようなアングルを再現できないことが,手技の妨げとなり,またストレスとなっていた。そこで,ポジショニングメモリ機能の搭載し,角度を数値で確認できることで再現性を高めた。また,ディテクタに12時,3時,6時,9時の方向を記し,術者が見るモニタ画像とリンクさせることで,操作方向の意思疎通を確実に図れるようにした。モジュールにはタッチパネルを採用し,人体を模したイラスト上の部位を選ぶだけで,部位に適した撮影条件が設定されるようになっている。
I.I.搭載の「BV Endura」は,フィリップスで最も多く導入されているモバイルCアームシステムで,高コントラストな画像を得られることが特長である。
アンギオシステムのエリアでは,タッチスクリーンモニタを使ってClarityIQテクノロジーにより低線量,高画質を両立した血管撮影装置「AlluraClarity」シリーズに提供される各種アプリケーションを紹介するとともに,ワークステーションを6台設置したスペースを設け,手技を支援するイメージガイドツールを臨床で最大限活用するためのレクチャーを行った。チャンピオン画像を示して有用性をアピールするだけでなく,原理を理解してもらい,最高の画像をどうすれば日常診療で得ることができるのか,また,どのような症例で有用なのかといったことを発信し,ユーザーと対話することを目的に設けられた。
塞栓療法において腫瘍の栄養血管候補を自動で抽出するツール“EmboGuide”には,マルチプルなルート検出機能や,マージンを確保するためのターゲット修正機能などを新たに追加し,根治治療を支援する。また,腹部大血管のステントグラフト術の際に,血管の3Dイメージをリアルタムに透視画像に重ね合わせられる国内初展示の“VasselNavigator”も紹介された。
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●X線撮影装置:一般撮影装置と同等の性能を持つ移動型デジタルX線撮影装置「MobileDiagnost wDR」を紹介
移動型デジタルX線撮影装置は,2014年11月に発売した「MobileDiagnost wDR」を展示。フィリップスは,これまで日本国内では移動型デジタルX線撮影装置を販売していなかったため,本装置が初展開となる。搭載される電力発生器は40kW仕様と20kW仕様から選択でき,一般撮影装置と同等の40kW仕様は“動く一般撮影装置“として,災害時や救急なども含めさまざまなシーンで使用できる。コンソールも一般撮影系と同じ「Elevaワークスポット」を搭載。管球は,回転315°,高さ方向550〜2020mmまで可動し,広い領域に対応する。軽量・小型のカセッテ型FPD「SkyPlate」と,グリッドレス撮影が可能なノイズ抑制処理技術「SkyFlow」をオプションで搭載可能。
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●超音波診断装置:ハイエンドの技術を受け継いだ新製品「Affiniti」を初展示
超音波診断装置は,最上位機種「EPIQ」の最新バージョンと,EPIQの機能を移植し,小型・シンプル化した「Affiniti」を紹介した。EPIQは,ビームフォーミング技術や画像処理技術を一新したことにより,高感度と高分解能の両立を実現し,心臓や腹部などさまざまな領域で使用できる装置。肝がん治療などへの超音波装置の活用という最近の臨床ニーズを受け,今回新しく,CTなどの他モダリティ画像と超音波画像を融合させる“3Dフュージョン”機能などを実装した。3Dフュージョン機能は,3Dデータで画像の位置合わせを行うため,ズレの少ない画像を提供することができる。9000以上の素子を配置した腹部用3Dプローブにより実現した機能であり,このプローブ1本でルーチン検査から3Dなどの高度な検査まで対応する。2000素子を配列した心臓用プローブもあり,フィリップスが強みとする心臓から腹部,表在,血管などあらゆる領域に,高いパフォーマンスを提供する。
また新製品のAffinitiは,“Mini EPIQ”をコンセプトに,EPIQからビームフォーミングや画像処理技術を受け継ぎつつ,機能を絞ったコンパクトでシンプルな装置。EPIQで使える心臓や腹部の3D(4D)機能は搭載されていないが,婦人科用のライブ3D(4D)や肝臓用のShear Wave Elastographyなどに対応する。重量約80kg,バッテリー搭載のためスリープモードで移動でき迅速に起動することから,場所を選ばず,日常診療に柔軟に対応する。
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●CT:逐次近似再構成技術“IMR Platinum”の国内導入状況や,開発中の2層検出器技術を紹介
CTコーナーは今回,モックアップの展示はなかったが,現在国内16施設に導入され稼働を始めている,システムモデルベースの逐次近似再構成技術“IMR Platinum”について臨床画像を提示した。IMR Platinumは,FBP法に比べノイズを最大90%低減し,低コントラスト検出能を向上させる。再構成は3分以内に完了することから,日常で使用できる手法であり,導入施設で撮影された臨床画像を提示して臨床価値をアピールした。金属アーチファクトを低減する“O-MAR”の併用や,心電図同期への対応も可能なため,頭部,心臓など全身どの領域にも適用することができる。
また,コーナーの一角に「CT Innovations Area」を設け,米国では2014年末にFDAを取得した二層検出器技術によるSpectralイメージングを紹介した。120kVの通常撮影を1回することで,2層になった検出器で,低エネルギーと高エネルギーに分けてデータを取得し,レトロスペクティブにSpectral解析を行うことができる。撮影は通常と変わらないため,心電図同期やAECを使用でき,被ばく線量も変わらずルーチンでDual Energy撮影が行える。また,低エネルギー画像・高エネルギー画像の位置ズレ,時相ズレがないことも大きな特長である。オーダ時にDual Energy撮影をすべきかを判断する必要がなく,通常撮影後に必要になったとしても,再撮影が不要である。CT Innovations Areaでは,二層検出器技術により得たデータから合成したSpectralイメージや,エネルギー帯の異なる仮想単色X線画像などを示して技術解説を行った。プレゼンテーション後に来場者に行ったアンケートからは,多くの人が二層検出器技術に期待していることがうかがえた。
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●ヘルスケアIT:画像の臨床的価値を高めるクリニカルアプリケーションをPR
ヘルスケアITでは,サーバ型マルチモダリティ解析ワークステーション「IntelliSpace Portal」のクリニカルアプリケーションを中心に展示。「IDS7 PACS」とインテグレーションした形で,「医師が画像診断や解析を行う際に使いやすいソリューション」という切り口で,TAVIやCOPDをはじめとした70にも及ぶクリニカルアプリケーションを紹介した。IDS7 PACSの新機能としては,自動で解剖学的に位置合わせを行う“anatomical linking”機能や,経時的に変化する腫瘍を自動で検出し,計測する“tumor tracking”を展示した。また,IDS7 PACSのオプション機能として“Webコラボレーション”を実演展示。これは,モバイルでPACSの画像を閲覧できるとともに,モバイル側に権限を与えることで,画像をめくる,アノテーションを付ける,文字を書き込むといった操作をモバイルでも可能にし,バーチャルカンファレンスなどに活用できる。
ヘルスケアITコーナーでも,“SyntheticMR”(医薬品医療機器等法未承認品)を紹介しており,IntelliSpace Portalのクリニカルアプリケーションなどをあわせて,解析や診断に貢献する一連のソリューションをアピールした。
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●お問い合わせ先
株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン
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