ITEM in JRC 2010

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ブースリポート
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株式会社日立メディコ
東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX
TEL 03-3526-8320 FAX 03-3526-8321

“やさしさ”を実現する64列CT,高磁場MRIの最新アプリケーションなどを中心に展示

  日立メディコは,「やさしさは,見える。Caring with High-Definition」をテーマに展示を行った。ブース全体がコーポレートカラーの「スマイルイエロー」を取り入れた明るくオープンなデザインに統一されたほか,各モダリティについてもスマイルイエローを配したデザインが採用されつつあり,日立メディコ全体として“やさしさ”を追求する姿勢が明らかになっている。機器の開発のコンセプトも,医療現場でのさまざまなシーンで必要とされる“やさしさ”を実現できる機能やアプリケーションを重点的に搭載しており,診断から治療まであらゆる領域で,質の高い製品・サービスが提供できることをアピールしていた。(4月9日取材)

ドリンクコーナーもスマイルイエロー
ドリンクコーナーもスマイルイエロー

  スマイルイエローを基調にした明るくオープンなイメージでブースを構成
スマイルイエローを基調にした明るくオープンなイメージでブースを構成

● オープンデザインと高速・高画質スキャンの64列CT「SCENARIA(シナリア)」

  CTコーナーでは,昨年発表された64列マルチスライスCT「SCENARIA(シナリア)」を展示した。SCENARIAは,日立初めての64列のマルチスライスCTということで,同社ならではの機能やアプリケーションの開発を進めており今夏の発売を予定している。特長のひとつは,パールホワイトとシルバーリングでの明るい概観とコンパクトなデザインだ。64列では最大の75pの開口径と47.5pの天板幅など開放感や安心感をもたらすオープンデザインで,安心で患者にやさしい検査を提供する。また,ガントリの正面中央に設けられたTouch Vision(多目的モニタ)は,10か国語による検査ガイダンスなどの機能のほか,小児用のアニマル表示や検査の際の患者確認のための患者情報の表示を可能にした。さらに,コンソールも24型ワイドモニタの1モニタで検査スタートボタンなどを統合した一体型キーボードでコンパクトになっている。

  SCENARIAでは,1回転0.35秒で撮影するためビューレートが高く,心臓だけでなく全身を高速スキャンが可能で,広範囲で高精細な画像を得られる。体幹部で65pの範囲を約8秒で撮影できる。その他,二次元散乱コリメータ(2D-ASC)やCORE法(三次元画像再構成)などによる高い検査能力を提供する。また,同社がCTで開発してきたfatPointerやriskPointerなどの解析ソフトウェアにCT ColonoscopyやwallPointer(胸膜厚さ解析)などを新たに加えて充実を図っている。

  同社では,心臓を特別な検査と位置づけるのではなく頭部,腹部などを含めた全身の高速で高画質の検査が可能な64列CTと位置づけて販売を展開していくという。

スタートボタンなどを一体化した操作卓のキーボード。コンパクトな検査空間を提供する
スタートボタンなどを一体化した操作卓のキーボード。コンパクトな検査空間を提供する

 

64列のマルチスライスCT「SCENARIA」。75pの開口径,47.5p幅のテーブルなどが特長
64列のマルチスライスCT「SCENARIA」。
75pの開口径,47.5p幅のテーブルなどが特長

ガントリ正面の「Touch Vision」では,10か国語対応の検査サポート機能や小児向けのキャラクターなどが表示できる
ガントリ正面の「Touch Vision」では,10か国語対応の検査サポート機能や小児向けのキャラクターなどが表示できる


● RADAR,VASC-ASLなど1.5TのECHELON Vegaのアプリケーションを中心に紹介

  MRIでは,今回,実機展示はなかったが,1.5TのECHELON Vegaに搭載したRADAR(Radial acquisition regime)やVASC-ASLなどの血管系のアプリケーションをメインに紹介した。RADARは体動のアーチファクトに強い撮像技術だが,日立のRADARの特長としてシーケンスや部位を選ばずに撮像でき画質がよいことで,ルーチン検査で使用できる。また,RADARを使った超短TEシーケンスである「μTE」による整形領域における関節軟骨・腱などの画像を紹介した。

  非造影MRAでは,頭部の血流画像の撮像は従来から行われてきたが,腹部や下腿部の血管を広範囲に撮像するVACS-ASLや脳出血の早期診断に可能なVACS-EPIなどの撮像法とその臨床画像を紹介していた。RADARや非造影の撮像法も,息止めや静止が難しい患者でもアーチファクトを低減でき,造影剤を使わない血管撮影法など,患者に“やさしい”検査を提供するアプリケーションをそろえてきたことをアピールした。

 

MRコーナーでは,RADARや非造影MRAなどアプリケーションを中心に紹介
MRコーナーでは,RADARや非造影MRAなどアプリケーションを中心に紹介

  また,超伝導のオープンMRI「OASIS」は,テーブルがガントリ内で横移動でき,広い空間で撮像できる。ECHELON Vegaで開発したRADARなどの高磁場のアプリケーションはすべて搭載している。特に,整形領域でリング型のソレノイドコイルを使う検査では高画質の画像が得られている。受信コイルは各メーカーがマルチチャンネル化を図っているが,ソレノイドコイルは単体でマルチチャンネル以上のパフォーマンスがあり,均一度が高く感度が高いという。膝や関節などの動態検査やFluoroscopyなども可能で,治療などへの活用が期待される。


  また,日立メディコは,4月11日に高磁場オープンMRI「OASIS」をテーマにしたランチョンセミナー「高磁場オープンMRI『OASIS』の有用性と可能性」を開催した。藤井正彦氏(神戸大学大学院医学研究科准教授)を座長にして,日本サッカー協会(JFA)メディカルセンター副センター長の土肥美智子氏が,日本での第1号機が導入されたJFAメディカルセンターでのOASISの使用経験について,整形外科領域での高磁場オープンMRIの可能性を中心に講演を行った。

 

会場風景
会場風景

土肥美智子氏(JFAメディカルセンター副センター長)
土肥美智子氏
(JFAメディカルセンター副センター長)


● 高機能と高いデザイン性をコンパクトに集約した「HI VISION Avius」

  超音波コーナーでは,高機能をユーザーの検査環境に配慮したコンセプトでデザインして,高い評価を受け2009年のグッドデザイン賞金賞をはじめ数々の賞を受賞した「HI VISION Preirus(プレイラス)」と,その高画質技術とコンセプトをさらにコンパクトにパッケージした「HI VISION Avius(ハイビジョン アビアス)」を展示した。

  アビアスは,プレイラスのコンセプトを受け継ぎ,高感度で広帯域の探触子とUltra BE(Ultrasound broadband Engine)で高画質を実現し,ブロードバンド技術でハーモニック信号を広帯域化したHdTHIやHI Compoundなどを搭載するなど高画質化技術を実現している。本体を幅45p奥行き70pとコンパクト化し,操作パネルやプローブホルダの位置などプレイラスで高い評価を受けたユーザービリティを踏襲したデザインとなっている。さらに,アプリケーションとしてReal-time Tissue Elastographyを搭載し,乳腺をはじめ各領域に広がりつつあるエラストグラフィ検査ができる。

  ブースでは,アビアス,プレイラスを並べて展示して,両方の機器のコンセプトの共通性とアビアスのコンパクトさをアピールしていた。


日立の超音波診断装置のツートップ。「HI VISION Preirus」(右)と「HI VISION Avius」(左)
日立の超音波診断装置のツートップ。「HI VISION Preirus」(右)と「HI VISION Avius」(左)
高画質技術をコンパクトに集約したHI VISION Avius
高画質技術をコンパクトに集約したHI VISION Avius

● FPD搭載透視装置「CUREVISTA」からマンモCADまで多彩なラインナップを展示

  X線診断装置では,FPD搭載の透視装置「CUREVISTA」の実機展示のほか,I.I.DRの透視装置「POPULUS」シリーズに新しく搭載されたVISTA desk(多機能コンソール)などが展示された。CUREVISTAは,透視撮影から治療への対応をコンセプトに開発しデザインや操作性を含めて大きな反響を呼び,ITEMでは今回で4回目の展示となる。ツーウェイアーム,オフセットオープンスタイルという検査や処置をサポートする機能を実機で解説した。コンソール「VISTA desk」では,透視撮影装置のコンソールにCTやMRIのDICOM画像を直接転送し,透視画像と並列表示して検査が行えるマルチモダリティ表示機能や撮影画像と同等の画質で透視画像が得られる詳細透視モードなどを利用できる。今回,I.I./CCD-DRの透視撮影装置である「POPULUS Ti」「POPULUS So」のコンソールにVISTA deskを採用して,FPD-DRと同等の操作環境とコンパクト化を実現した。ブースでは,VISTA desk搭載のコンソールを展示して,透視画像の検査や治療での使い勝手をアピールした。

  また,マンモグラフィでは,読影医の診断支援を行う「CenovaCAD」を展示,医師の指示であらかじめ設定した感度に基づいて石灰化などの病態の識別を行いマーキングして読影医の判断や評価を支援する。その他,FPDとCRの両方に対応した回診車(StarMobile)やFPD搭載の一般撮影装置(Radnextシリーズ)などを紹介していた。


治療への対応をコンセプトに設計されたFPD搭載透視装置「CUREVISTA」
治療への対応をコンセプトに設計されたFPD搭載透視装置「CUREVISTA」
  I.I./CCD-DRにも採用された多機能コンソール「VISTA desk」
I.I./CCD-DRにも採用された多機能コンソール「VISTA desk」

● 病院からクリニックまで診療ニーズにあったソリューションを提案

  メディカルITでは,病院向けのWeb型電子カルテシステム「Open-Karte」やHi-SEED(日立メディカルコンピュータのクリニック向け電子カルテ)とNV-Light(画像参照ビューワ)を連携したクリニック向けソリューションなどが紹介された。

  Open-Karteは,Webベースシステムでサーバ1台で運用でき施設にあわせた柔軟な構成が可能なほか,医事・オーダ・電子カルテ・看護支援システムをパッケージにしたオールインワンシステムを提供する。また,同社のWeb型PACS「WeVIEW」などとの連携で画像参照システムの構築も行える。MWM通信を装備内蔵しており,RISがなくてもモダリティとの患者基本情報のやりとりが可能だ。

  クリニック向けソリューションは,診療所向け電子カルテシステムHi-SEEDと,クリニック向けの画像参照ビューワであるNV-Lightを組み合わせて展示。電子カルテと連動した画像参照が可能で,サーバからクライアントのHi-SEEDにソフトウェアを配信(FTP)するため診察室の増加などにも柔軟に対応できる仕組みになっている。

  放射線情報システム「OPEN-RIS」は,タッチパネルを採用して,タッチ入力に最適化したインターフェース,画面デザインを採用した。ページめくりのように画面が半分だけ横に移動する画面の遷移や,指での選択ためにリストの表示を拡大するなど,ユーザーの意見を取り入れてインターフェースをデザインしたことが特長だ。

タッチパネルを採用し,タッチにあわせたユーザーインターフェースを開発したOPEN-RIS
タッチパネルを採用し,タッチにあわせたユーザーインターフェースを開発したOPEN-RIS

 

病院向けのWeb型電子カルテシステム「Open-Karte」
病院向けのWeb型電子カルテシステム「Open-Karte」

クリニック向けソリューションの電子カルテ「Hi-SEED」と画像参照ビューワ「NV-Light」
クリニック向けソリューションの電子カルテ「Hi-SEED」と
画像参照ビューワ「NV-Light」


● IGRTが可能な「TomoTherapy Hi-ARTシステム」にTomoDirectを搭載

  放射線治療では,高精度放射線治療装置「TomoTherapy Hi-ARTシステム」のガントリ部分の実物大のモックアップが設置された。

  Hi-ARTシステムは,ヘリカルCTの技術を応用して,高精度の治療計画と照射位置補正によって正確な治療が行えるほか,連続回転と高度変調照射が可能なマルチリーフコリメータ(MLC)で高い線量集中と正確な照射(TomoHelical)が可能で,イメージガイド治療(IGRT)を行える次世代の放射線治療装置。今回,リニアックのようにガントリを固定させて照射する方式の「TomoDirect」が可能になり,1台で従来の照射方式と併用できることで治療におけるスループットが向上することができる。(4月10日に行われたユーザー・シンポジウムの模様はこちらへ)

  高精度放射線治療装置「TomoTherapy Hi-ARTシステム」のガントリ部分の実物大のモックアップ
高精度放射線治療装置「TomoTherapy Hi-ARTシステム」のガントリ部分の実物大のモックアップ

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