2014-4-24
コニカミノルタヘルスケア ブース
「Giving Shape to Ideas」というコミュニケーションメッセージを掲げるコニカミノルタヘルスケアは,ワイヤレスFPDのDR装置「AeroDR」の第二世代と位置づける「AeroDR 2」を展示したほか,ITEMに先立ち4月9日に発表した新型超音波診断装置「SONIMAGE HS1」などの新製品を披露。放射線科医や診療放射線技師などの医療従事者,そして患者の視点に立ち,“想い”を形にした製品や技術,ソリューションを紹介していた。
ブース内では,メインステージでプレゼンテーションが行われたほか,外来や病棟,救急,ICU,手術,在宅などの医療現場のシーン別にコーナーを用意。AeroDRをはじめとした同社の製品がどのように活用されメリットを発揮しているかデモンストレーションを行い,来場者が実際に使用する場面を具体的にイメージできるよう,工夫が凝らされていた。(4月12日取材)
●X線装置:より軽量化され,堅牢性を高めた第二世代のAeroDR 2
X線装置のデジタル化が進む中,近年ワイヤレス製品が数多く登場してきた。コニカミノルタも2011年にワイヤレスFPDのAeroDRを発表している。AeroDRは,カーボンファイバー製モノコック構造の筐体により高い堅牢性を実現するとともに,世界最軽量となる2.9kgのワイヤレスFPDとして登場した。FPDのCsI素材のシンチレータをTFTパネルに直接接触させる技術により高画質化を図っているほか,バッテリにリチウムイオンキャパシタを採用したことで,高い安全性を確保しつつ省電力化を図っている。2011年の発表後,用途に応じてパネルサイズを変えてラインナップを増やしたほか,アナログ回診車のデジタル対応を図るためのX線自動検出技術“AeroSync”を開発。また,長尺システムを発表するなど,関連技術・製品を充実させて,医療現場のワイヤレスFPD普及に取り組んできた。
今回のITEMで発表されたAeroDR 2は,従来製品よりさらなる軽量化を図るとともに,堅牢性を高めている。新たに採用されたハイブリッドカーボンファイバー一体成型の筐体と内部の部品構成を見直し,世界最軽量の2.6kgという軽さを実現。パネルの角からの落下を想定して剛性と衝撃吸収力を強化し,1.0mの高さからの落下試験もクリアしている。さらに,重さに対する曲げ強度も高めており,パネルの2辺で支持した場合に130kgの荷重にも耐えるよう設計を見直した。
さらに,出血のある患者の検査など医療現場での使用を考慮し,防滴性能も高めている。荷重をかけた状態でも内部への浸水を防ぐことができる。また,防水性能では,あらゆる方向から噴流水による有害な影響がないという,IEC規格のIPX6をクリアしている。さらに,ワークフローの向上につながる性能の強化も図られ,バッテリ性能は従来比150%に高めた。加えて,ソフトウエアの最適化により,次の撮影のまでのサイクルタイムを大幅に短縮。検査効率を向上している。AeroDR 2は,すでに薬事承認を得ており,今後製品展開されることになる。
●US:優れた操作性のSONIMAGE HS1や手のひらサイズの「SONIMAGE P3」など,
ラインナップ拡充を進める
コニカミノルタでは,2014年1月にパナソニックヘルスケアの超音波診断装置事業の譲渡を受けた。これにより,今後,超音波診断装置のラインナップを強化していく。
その第一弾となる製品が,ITEMに先立つ4月9日に発表されたSONIMAGE HS1である。ハンドキャリータイプのSONIMAGE HS1は,コニカミノルタが長年培ってきた画像処理技術と実績があるパナソニックヘルスケアの超音波診断装置の技術を融合させた製品。高感度,広帯域のプローブを新開発。広帯域ハーモニックイメージング技術により,多くの信号を画像化できるようにした。X線装置の画像処理技術“HS処理”を応用し,筋束や神経束の組織構造を鮮明に表示するなど,描出力に優れた高分解能の画像を提供する。外観は,使い勝手を考慮した設計となっている。モニタはタッチパネルを採用しており,主要な8つの機能用の操作キー以外は,画面にタッチして直感的な操作を行える。タッチパネルはレイアウトのカスタマイズも可能である。さらに,本体にバッテリを内蔵し,在宅医療での使用にも対応している。アプリケーションとしては,穿刺針を青色で表示して,視認性を高めて手技を支援する穿刺針強調表示を搭載した。このほか,医療用画像オールインワンシステム「Unitea」と連携し,患者情報の入力を省略。検査画像を,ほかのX線検査画像などと合わせて一元的に管理することが可能である。
超音波診断装置では,2013年9月に発表されたSONIMAGE P3も人気を集めた。重量わずか392g,ディスプレイユニットが11.5cm(H)×6.8cm(W)というコンパクト設計。価格も70万円(税別)と抑えられている。持ち運びが容易なことから,救急や災害医療,在宅医療に威力を発揮する。
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●ヘルスケアIT:クラウド保管サービス「データバンクアーカイビング」による
医用画像管理を提案
ヘルスケアIT関連では,PACS「NEOVISTA I-PACS 」シリーズ,診療所向け医用画像管理や地域連携支援サービス「Infomity」,診療所などでのX線画像の診断を支援するアプリケーションの「診断支援Navi」などを来場者にPRした。
NEOVISTA I-PACS SXは,病院向けのPACSで,端末へのソフトウエアのインストールが不要なスマートクライアントシステムである。ハンギングプロトコールにより,ユーザーが自由に画面レイアウトを設定できるほか,過去画像や他検査の画像の並列表示も可能で,読影精度の向上に寄与。ビューワとレポートシステムが一体化されており,業務を効率化する。さらに,“心胸郭比自動算出機能”や整形外科向けの計測ツールも搭載するほか,オプションで経時差分機能や骨塩定量検査サービス「Quick-DIP」を用意している。一方,NEOVISTA I-PACS EXは,RAID構成のサーバとビューワを組み合わせた小規模施設でも導入しやすいPACSである。
展示では,クラウド保管サービスであるデータバンクアーカイビングも紹介された。院内の保存とデータセンターでの外部保存を併用することで,データを安全に保管できる。院内サーバのデータ容量を運用に合わせて最適化でき,初期導入のコストを削減。院内や外部からiPadなどのタブレット上で,高いセキュリティを保ちつつ画像を参照することが可能となり,救急での読影支援などに有効である。
また,診断支援Naviは,X線画像を診断する際に,診断やレポート作成を容易に行える。撮影条件,部位,所見,診断といった項目から順を追って,候補一覧から選択して診断を確定でき,そのレポートを自動的に作成。類似症例の画像を検索,表示することで,読影を支援する。患者向け文書のテンプレートや所見解説機能も新たに搭載した。
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●放射線治療:QOL向上をめざした乳がんの小線源治療用アプリケータ「SAVI」
これまでのITEMでも参考出品していた乳がんの小線源治療用アプリケータであるSAVIが,薬事承認を得て,製品として出品された。SAVIは,小線源治療装置(リモートアフターローダ)と接続して,乳房内に挿入して192Iによる照射を行う。乳房のサイズに応じたバリエーションをラインナップしている。放射線治療の治療期間は5〜6週間ほど必要となるが,SAVIによる加速乳房部分照射により5日間程度へと大幅に短縮される。また,複数のカテーテルに小線源を通し,照射線量と照射時間を個別に調節できるため,腫瘍床近傍への精度の高い照射が行え,不要な被ばくを抑えることが可能である。さらに,小線源治療装置の稼働率向上にもつながるというメリットもある。
●お問い合わせ先:
コニカミノルタヘルスケア株式会社
住所:東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビルディング32階
TEL:03-5323-7525
URL:http://konicaminolta.jp/healthcare