2014-4-18
GEヘルスケア・ジャパン ブース
GEヘルスケア・ジャパンは,“Advancing healthcare...together.〜お客様とともに医療の未来を〜”をテーマに,ITEM会場内で最も注目を集めた最新CT「Revolution CT」を発表するなど,意欲的に新製品,最新技術を来場者にアピールしていた。ITEMに先立ち,4月7日に行われた2014年の成長戦略発表会において,川上 潤代表取締役社長兼CEOは,医療の提供体制が変わる「2025年モデル」を見据えて,診断・臨床機器,サービス&IT,分子医学を事業ポートフォリオとし,イノベーションと人に優しい医療に向け,新製品を投入し,新しい施策にも取り組んでいくと説明。未来型「ヘルスケアカンパニー」をめざすとアナウンスした。川上社長が述べた新製品の先陣を切って発表されたのがRevolution CTだと言える。
さらに,ITEM期間中の4月12日は,ブース内で川上社長が肝疾患ソリューションの開発と提供を強化するというプレゼンテーションを行った。同社は現在,肝疾患の早期発見と治療精度の向上に寄与する関連製品について,国内で300件程度の納入実績を持っている。これを,開発の早期段階から医療現場の声を基にブラッシュアップしていく“FastWorks”という手法を用いるとともに営業体制の強化を図り,2017年までに1000件に伸ばすという。プレゼンテーションが行われたLiver Solutionのコーナーでは,“1000件”という数字にちなみ,1000人の来場者が肝臓のミニチュアモデルにサインをする企画も設けられた。
そのほか,ブースの構成としてRevolution CTとMRIの展示は,専用の部屋を設けて,“Reservation PASS”で予約した来場者が参加できる形式を採用。来場者がプレゼンテーションに集中できる工夫がされていた。(4月12日取材)
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●CT:最高レベルの分解能,回転速度,カバレッジを有するRevolution CT
2013年の北米放射線学会(RSNA 2013)で発表され,国内での発表が待たれていたRevolution CTが,ジャパンプレミアとしてITEM会場に登場した。同社では,CT技術の三大要素として画質,スピード,撮影範囲を挙げ,そのすべてにおいて最高レベルを実現した装置としてRevolution CTを発表した。従来機種「Discovery CT750 HD」シリーズなど,同社のCTは,検出器素材“Gemstone”といった技術により,従来から高分解CTとして,一歩抜きん出ていた。Revolution CTでは,0.23mmの空間分解能に加えて,ガントリの回転速度が0.28s/rot,かつ動態解析アルゴリズムを併用し,現行のCTの中では最高時間分解能速を実現。さらに,16cmというワイドカバレッジを有している。
外観は,1978年に発表されたCT8800を彷彿とさせるスクエアなガントリデザインを施し,同社CTの正統な進化を物語っている。その中身は,ハードウエア設計を刷新し,完全非接触のスリップリング,Discovery CT750 HDシリーズの1/8のサイズとなるDASを採用。さらにCTの心臓部と言える3Dコリメータは散乱線を除去するために新開発された。この3Dコリメータは,日本国内の日野工場で生産されており,GEヘルスケア・ジャパンの高い技術力の証となっている。
このRevolution CTに併せて,被ばく低減技術も新たになった。同社では,逐次近似応用画像再構成法の“ASiR”と逐次近似画像再構成法の“Veo”という2つの再構成技術を有しているが,Revolution CTには,ASiRの効率的なワークフローとVeoの高画質という両者の長所を取り入れた“ASiR-V”が搭載される。FBP法と比較して50〜82%の被ばく低減を図れるという。
●MRI:日本国内でも導入施設を増やす静音技術“SILENT SCAN”や
最新ソフトウエア“DV24”を紹介
専用のプレゼンテーションルームが設けられたMRIのコーナーでは,同社のハイエンド装置である「Discovery MR750w 3.0T Expert」が展示された。室内では,Discovery MR750w 3.0Tに搭載される静音技術のSILENT SCANと豊富なアプリケーションがラインナップされたソフトウエアDV24が紹介された。
2013年9月に“音のしないMRI検査を可能にする”をうたい発表されたSILENT SCANは,“Humanizing MR”という同社MRIの技術開発コンセプトに基づき,被検者に優しい技術として開発された。専用のソフトウエア“Silenz”により磁場傾斜コイルの振動を抑えた撮像を可能にする。このSilenzは高速・高安定の電源システム,高速スイッチングが可能なRFコイル技術と相まって,MR室の環境音に対して3dB以下の音に抑えることができる。対応する装置は,Discovery MR750w 3.0T Expertと1.5T MRI「Optima MR450w 1.5T Expert」の2機種。既設の装置にもバージョンアップで対応する。発表から半年を経た2014年4月の時点で,日本国内では29台のSILENT SCAN搭載装置が稼働している(Discovery MR750w 3.0Tが18台,Optima MR450w 1.5Tが11台)。臨床現場からの評価も高く,鎮静によるリスクが問題となっている小児検査において,鎮静剤を用いずに安静な検査を行える可能性があるという。また,脳動脈瘤のステント留置術後のフォローアップで,SILENT MRAが磁化率の影響を受けずに良好に血流を描出できることが紹介された。(※SILENT MRAは750w Expertのみ対応)
プレゼンテーションルーム内でPRされたもう1つの技術であるDV24は,Discovery MR750w 3.0TとDiscovery MR750 3.0T,Optima MR450w 1.5Tに搭載されるソフトウエア。“FOCUS”“3D PROMO”“Body Navigators”“SWAN 2.0”“Black blood SSFSE & PS-MDE”“MAVRIC SL”といったアプリケーションがある。
FOCUSは,スライス全体を隆起させる通常の隆起法と異なり,局所のみを隆起させることで,DWIやDTIにおいて分解能が高く,歪みの少ない画像を得られるようになる。3D PROMOは,3D撮像における体動補正を行うアプリケーション。被検者の体動がある場合,従来はアーチファクトが出ていたが,3D PROMOにより体動の影響のない画像を得ることができる。これにより検査の適応が広がると期待される。また,Body Navigatorsは,横隔膜同期を高精度に行い,呼吸同期の成功率を高める。トリガリングとゲーティングの2モードがある。
●X線:ハイブリッドORに対応する「Discovery IGS 730」と
被ばく線量管理ツール“Dose Map”を中心にPR
X線装置関連では,血管撮影装置のDiscovery IGS 730と被ばく線量管理ツールであるDose Mapが来場者の関心を集めていた。
2013年のITEMにおいて日本国内で初めて展示されたDiscovery IGS 730は,自動走行式のCアームを搭載した血管撮影装置。インターベンションの高度化に伴いニーズの高まっているハイブリッド手術室に最適化された装置だと,同社では位置づけている。天井走行式や床置き式のCアームと異なり,アームを駆動させる構造物がなく,広いスペースを確保できる。天井走行式のCアームの場合,レールが天井に設置されるため,ホコリがたまりやすくなり,ハイブリッド手術室においてHEPAフィルタの設置場所が制約を受ける。しかし,Discovery IGS 730は天井にレールやブリッジが不要なため,自由にレイアウトすることが可能である。また,Cアームの動作もわかりやすく,術者や麻酔医の動きを妨げず,手術台周辺の器具やキャスターとの干渉を防ぐ。IVRを支援するアプリケーションも充実しており,3Dロードマップ機能や経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)の解析・シミュレーションを行うソフトウェアが搭載されている。
Dose Mapは,X線の照射視野サイズとCアームの角度から被ばく線量を計算し線量図を表示するシステム。線量の分布をビジュアルで見せることで,術者の意識を高めることができる。手技中にあらかじめ設定してある線量を超えると,室内のモニタにDose Mapを表示し,注意を促すという機能を持っている。なお,同社では,4月7日に,CT,血管撮影装置など複数のモダリティから線量データを抽出し,検査や患者別に分析する線量最適化支援ソリューション「DoseWatch」を発表している。
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●核医学装置:PET/CTの画質と定量精度を向上する“Q.Clear”や
βアミロイドイメージングに関する事業戦略を発表
核医学装置関連では,PET/CT「Discovery PET/CT 610(128slice)」と「Discovery PET/CT 710(128slice)」に搭載される最新アプリケーションQ.Clearやβアミロイド検出用薬剤の国内展開を紹介した。
Q.Clearは,PET/CTの課題であった定量性のばらつきを向上させる技術。逐次近似再構成の演算処理を行う際に,繰り返し演算を行ってもノイズが増幅しないよう,ノイズをコントロールする演算式をアルゴリズムに組み込んだ。その結果,SUV定量値の精度が上がるとともに,画質も改善され微小な病変も描出できるようになる。安定した定量性を確保したことで,がん診療における治療効果判定に用いることができる。
βアミロイド検出用PET診断薬剤の国内展開に関しては,ITEMに先駆けて4月7日に発表された。これは,日本メジフィジックス社と協力し,認知症などの診断に用いるβアミロイド検出用PET診断薬剤「Flutemetamol」を供給する体制を構築するというもの。Flutemetamolは日本メジフィジックス社の製造拠点からの供給,もしくは,院内においては放射性医薬品合成設備「FASTlab」での合成が可能になる。GEヘルスケア・ジャパンではFASTlabに,Flutemetamol合成用カセットを追加できるよう一部変更の承認申請を行っているという。
●US:肝疾患で有用なハイエンド汎用装置「LOGIQ E9 with XDclear」
超音波診断装置では,Liver Solutionコーナーにおいて,2013年3月に発表されたLOGIQ E9 with XDclearが展示された。日本国内で開発されたプローブの“XDclear Transducer”は,高密度単結晶を採用。アコースティックアンプリファイヤーやクールスタック技術により,表在部から体内深部まで高精細な画像を均一に得ることができる。また,CT・MRIとのフュージョン技術である“Volume Navigation”などのアプリケーションを搭載している。Liver Solutionコーナーでは,Volume Navigationの技術を応用した“VirtuTRAX”を紹介していた。穿刺ニードルの先端と進行方向を仮想的にBモード画像上に表示し,手技を支援する。
●ヘルスケアIT:ユーザーが外部保存サービスを導入しやすいよう設計した「医知の蔵2.0」
ヘルスケアIT関連では,医用画像のクラウド保管サービスである「医知の蔵」がバージョンアップし,医知の蔵2.0へと進化したことが発表された。ブース内にはヘルスケアITのプレゼンテーションステージが設けられ,医知の蔵2.0と読影ビューワの「Centricity Universal Viewer」のデモンストレーションが行われた。
医知の蔵2.0は,よりユーザーが利用しやすいようサービスや料金体系を見直し,医療機関のコスト削減につながるソリューションとなった。その見直しの1つがサービスラインの拡充で,「医知の蔵ベーシック」という新サービスの提供を開始した。これは,2か所あるデータセンターの機能を1か所はアーカイブ用,もう1か所をバックアップ用と限定することで,低コスト化を図っている。また,料金体系の見直しによりトータルの保存量に対する課金ではなく,前月より追加した分だけ課金する仕組みとした。このほか,ユーザー自身が画像の再圧縮や削除をできる管理者向けツール“ILM”により,データ量を調整してコストを抑えられるようにした。
Centricity Universal Viewerは,ユーザーにとって最適なハンギングプロトコールを学習する“スマート・リーディング・プロトコル”を搭載。また,“ナビゲータ”機能により,マウス操作で直感的に過去画像との比較表示が可能である。画像処理ワークステーションの機能も有しており,2D画像と3D画像の並列表示も行える。
●お問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン株式会社
住所:〒191-8503 東京都日野市旭が丘4-7-127
TEL:カスタマーコールセンター 0120-202-021
URL:www.gehealthcare.co.jp