ITEM in JRC 2010

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“healthymagination”をテーマに豊富な新製品を発表し,攻めの姿勢をアピール

  GEヘルスケア・ジャパンは,ITEM 2010初日の4月9日(金),同社初のイベントとしてオープニングセレモニーを行い,ブースのテーマでもある“healthymagination”に則ったCTとMRIの新製品を初めて披露した。

  healthymaginationは,世界が直面する深刻な医療問題の解決をめざし,2015年までに100種類のイノベーションに対して60億ドルを投資するというグローバル戦略。セレモニーでは,代表取締役社長兼CEOの熊谷昭彦氏が,「本日発表する新製品はhealthymaginationに基づく画期的な装置であり,将来を担う子どもたちのために,明るく健やかな未来づくりに貢献することをめざした」と挨拶した後,ブース中央にかけられていた白い幕が取り払われ,CTとMRIの新製品が華々しく披露された。セレモニー終了後には,多くの来場者が新製品の周りに詰めかけ,製品説明に熱心に耳を傾ける姿が見られた。

  そのほか,マンモグラフィ,一般撮影装置,SPECTなどでも新製品が展示された。(4月9日取材)

  GEヘルスケア・ジャパンブース
GEヘルスケア・ジャパンブース

オープニングセレモニーの様子
オープニングセレモニーの様子
代表取締役社長の熊谷昭彦氏
代表取締役社長の熊谷昭彦氏
熊谷氏の挨拶に続いてテープカットが行われた。
熊谷氏の挨拶に続いてテープカットが行われた。

● MRI:新製品として3T MRIの最上位機種「Discovery MR750」と1.5T MRI 2機種を発表

  MRIは,3T MRIの最上位機種として「Discovery MR750」と,1.5T MRIでは「Optima MR360」,「Brivo MR355」の2機種を同時に発表した。同社は,2008年の北米放射線学会(RSNA)において,モダリティにかかわらずハイエンド装置を「Discovery」,高い検査効率により臨床での有用性を最大限に発揮する装置を「Optima 」,使いやすさと経済性を重視した装置を「Brivo」とする,3つの統一ブランドの展開を発表していたが,今回発表された3機種は,その戦略に則った製品となる。

  Discovery MR750は,大学病院や研究施設を主対象に開発された,優れたハードウエア性能と臨床価値の高いアプリケーション・ソフトウエアを高い次元で融合した装置。ガントリ全体に改良を加え,グラディエントコイル内に冷却用水を直接流して,傾斜磁場コイルはもとより,アンプや電源なども含めたフル水冷化によって,最大傾斜磁場強度50mT/mとスリューレート200を実現した。また,体内から発生した微弱な信号のAnalog/Digital変換を,機械室ではなくガントリ内で行うことで信号の伝送距離を短くし,かつデジタル伝送は光ファイバーを用いて行う“Optix”技術によって,伝送時に発生するノイズが削減され,SNRが最大27%向上した。現在,最大傾斜磁場強度50mT/mとスリューレート200を同時に実現しているのは,3TではDiscovery MR750が世界で唯一の装置だという(2010年4月9日現在)。また,RFパルス送信を,従来の2か所から4か所に増やして行う新技術“4ポイントドライブ”を搭載。さらに,32chボディアレイコイルが使用可能になったことで,マグネットの高い静磁場均一性とも相まって,体幹部領域のイメージクオリティが大幅に向上した。同社では,GradientのG,OptixのO,Large homogeneityのL,4ポイントドライブのDriveのDの頭文字から,これらの技術を総称してGOLDと呼び,Discovery MR750を次世代のゴールドスタンダードを担うためのハードウエアと位置付けている。

  このほか,従来はガントリ開口部に取り付けられたレーザーライトによって撮像中心の位置決めを行っていたが,Discovery MR750では脱着テーブルの両脇に取り付けられたタッチセンサーを触るだけで簡単に行えるようになったほか,ガントリの操作ボタンを1つ押すだけで患者さんを磁場中心にポジショニングしてくれる技術,寝台を移動する際に患者さんが落ちないようにするアメニティなどが新たに搭載された。

 

Discovery MR750
Discovery MR750

新しいアメニティが搭載された寝台
新しいアメニティが搭載された寝台

  Optima MR360とBrivo MR355は,省スペース,低コスト,ハイパフォーマンス,優れた操作性を兼ね備えた「Signa HDe」シリーズをベースに開発された。最大傾斜磁場強度33mT/mとスリューレート100という強力な傾斜磁場システムと,高い静磁場均一性を実現する高品質マグネットを搭載したほか,Analog/Digital変換をガントリ内で行うOptix Lite技術によってノイズを低減した。25kvAという低電源容量でありながらも,Signa HDeシリーズ以上の高いSNRを実現しており,また,局所磁場不均一を克服した新しい水脂肪分離技術“IDEAL”も搭載された。

  このほか,患者テーブルは,部位ごとに最適化されたHDコイルを使用する脱着式と,テーブル内にコイルを埋め込みコイルの乗せ替えの労力が軽減できる固定式の2種類が用意され,操作性も,オペレーターの熟練度に合わせて簡易モードとエキスパートモードが選べるようになった。

 

Optima MR360/Brivo MR355
Optima MR360/Brivo MR355

  今回,MRIコーナーでは新製品が多く,今年1月に日本で初めて販売されたMRガイド下集束超音波治療器「ExAblate 2000」も注目を集めた。子宮筋腫治療目的で薬事承認を取得しており,ExAblate 2000によってMRIで患部の位置や温度変化を常時確認しながら治療できるため,子宮筋腫を切らずに日帰りで治療可能になると期待されている。

 

ExAblate 2000。寝台内に集束超音波治療器が搭載されている。
ExAblate 2000。寝台内に集束超音波治療器が搭載されている。


● CT:次世代の64列MSCTとして「Optima CT660」を開発

  日本のユーザーのニーズを取り入れ,国内で製造された64列MSCTの新製品「Optima CT660」が展示された。Discovery CT750 HDに採用された逐次近似法を応用して,低被ばくと高画質を両立する新しい画像再構成法“ASiR(Adaptive Statistical Iterative Recon)”を採用したほか,“SnapShot Pulse”,“VolumeShuttle”といった最先端技術もすべて搭載可能とした。また,ガントリ幅205cm,最小設置面積25m2,75kvAという低設備電源,低コストな6.3MHU X線管,夜間待機電力を60%削減する省電力モードなどを採用しつつも,LightSpeed VCTと同等の高画質を実現している。

  さらに,ガントリ上部中央にはカラーモニタ“Xtream Display”を搭載し,子ども向けのアニメーションや検査内容の案内などを放映・表示することで,患者さんの不安軽減にも配慮。また,コンソールもコンパクトになったほか,救急モードが搭載され,当直などで普段はCT撮影を行わない診療放射線技師でもアイコン1つで撮像領域などが簡単に選べるようになった。患者さんやユーザー,病院経営者はもちろん,地球にも優しいエコ設計となっており,同社ではOptima CT660を,高い診断能力と経済性,操作性,患者さんの不安軽減を融合した次世代装置と位置付けている。

CTコーナーには,Discovery CT750 HD の最先端技術などを説明するCT Learning Boothも設けられた。
CTコーナーには,Discovery CT750 HD の最先端技術などを説明する
CT Learning Boothも設けられた。

 

Optima CT660
Optima CT660

救急モードが搭載された新しいコンソール
救急モードが搭載された新しいコンソール


● MI(Molecular Imaging):テーマは“understanding disease from the beginning”

  “understanding disease from the beginning”をテーマに掲げたMIでは,分子イメージングによるearly healthを前面に打ち出した展示を行った。PET/CTやSPECT/CTの小型のモックアップが複数展示されたほか,まったく新しい技術に基づいて開発されたSPECT装置が紹介された。


◆SPECT

  半導体検出器を用いた,まったく新しい次世代の心臓専用SPECT「Discovery NM 530c」(日本国内薬事未承認)が展示された。現在世界中で稼働しているSPECT装置は,約50年前に開発された基本原理が使われ続けていたため,検出器自体の性能向上がほとんど望めなくなっていた。そこで,Discovery NM 530cでは,半導体検出器を採用し,かつ関心領域に焦点を合わせた高感度集束コリメーションによるデータ収集や,再構成技術なども一新した“Alcyone Technology”によって,検査時間が従来の1/5にまで大幅に短縮したほか,空間分解能も約2倍に向上した。検出器を回転させずにデータ収集を行うことが可能となり,時間分解能の高い画像が得られるほか,パラレルコリメータを使用しないため散乱線が減少し,従来よりもクリアな画像が得られるようになった。この結果,SPECTによるより短時間でのダイナミックSPECT検査が可能になると考えられており,心臓検査に新しい可能性が見えてくると期待されている。


Discovery NM 530c
Discovery NM 530c

半導体検出器
半導体検出器


◆PET/CT

  PET/CTは,Motion Free をコンセプトに開発された16列MSCT搭載の「Discovery PET/CT 600 Motion」が展示の中心となった。PETとCTの位相のズレを補正する機能“Motion Match”を搭載。PETの撮影時に呼吸同期を行うことでPET画像のボケを抑えることに加えて,CT撮影時にも呼吸同期を行い,PETと同じ呼吸位相で吸収補正マップを作成するため定量精度も向上。また,画像フュージョンの精度も上がることから,疾患の描出能が向上する。結果として,SUV値もより正確になるため,診断能の向上につながるほか,放射線治療時の治療計画にも貢献する。

 

Discovery PET/CT 600 Motion
Discovery PET/CT 600 Motion


● I&XI(Intervention & X-ray Imaging):デジタルマンモグラフィの最上位機種「Senograph Essential」を中心に展示

  今回は,フラットパネルディテクタ(FPD)の販売開始10周年を記念して,I&XIコーナー正面には6種類のFPDが展示された。これまでに,全世界で1万5000枚以上が出荷されており,その実績とともに同社の優れた技術がアピールされた。

 

これまでに約1万5000枚が出荷されたGE社のFPD
これまでに約1万5000枚が出荷されたGE社のFPD


◆デジタルマンモグラフィ「Senograph Essential」

  デジタルマンモグラフィは,新製品の「Senograph Essential」が展示された。Senograph Essentialは同社デジタルマンモグラフィの最上位機種。従来よりも一回り大きなサイズのFPD(24cm×30cm)を搭載し,FOVが大きくなったことで,将来のAdvanced Applicationのプラットフォームと位置付けられている。同社では現在,トモシンセシスをはじめとする次世代の新しいアプリケーションの開発が進められているが,将来的にはそれらの新技術がSenograph Essentialで実現されることが見込まれている。

  このほか,従来は同社のデジタルマンモグラフィ専用ビューワでしか使用できなかった初期画像最適化ソフトウエア“Premium View”が,コンソール上で使用可能となった。これにより,処理ずみの画像をPACSに転送すれば,各施設の既存環境においてもPremium Viewのメリットを得ることができる。またコンソールモニタも,ニーズに合わせて1Mピクセルか3Mピクセルが選択可能となった。


Senograph Essential
Senograph Essential

1Mピクセルか3Mピクセルのモニタが選べるようになった新しいコンソール
1Mピクセルか3Mピクセルのモニタが選べるようになった新しいコンソール


◆一般撮影装置「Discovery XR650」

  一般撮影装置は,2009年夏に発売された「Discovery XR650」が展示された。ハンディタイプのFPDが使用可能となったことで,最大で3枚のFPDが搭載できるようになった。FPDを取り外してスタンドに差し込んで使用すれば,自由な角度や位置で全身の撮影が行えるほか,オールフラットパネル化できるメリットも大きい。また,5軸全自動のモーター駆動が採用されたDiscovery XR650では,装置本体に撮影位置を記憶させておくことで,赤外線リモコンまたは操作コンソールで自動的にX線管球とディテクタの位置をセッティングすることができる。これらの機能に加えて,“デュアルエナジーサブトラクション”, “オートイメージペースト”, “Volume RAD”(トモシンセシス)といったアプリケーションがすべて搭載されている装置はDiscovery XR650だけだという(2010年4月9日現在)。

 

Discovery XR650
Discovery XR650


◆X線骨密度装置「PLODIGY Primo C」

  2010年度の診療報酬改定によって,腰椎と大腿骨の骨密度測定に対する診療報酬が引き上げられたことから,「PLODIGY Primo C」が注目を集めた。腰椎の撮影後に大腿骨を撮る際,従来の装置では技師や医師が撮影室に入って撮影開始位置を調整しなければならなかったが,PLODIGY Primo Cでは“ワンスキャン機能”によって,検出器が自動的に大腿骨の撮影位置まで移動する。これにより,従来はルーチンで検査を行うのは困難だったが,診察等の合間でも素早く簡単に撮影を行うことが可能となった。

 

PLODIGY Primo C
PLODIGY Primo C


◆外科用X線装置「OEC 9900 Elite MD」

  2009年のITEMで発表され,これまでに国内で50台以上の販売実績を誇る外科用X線装置「OEC 9900 Elite」の最上位機種である「MD(モータードライブ)」が展示された。MDは,Cアームをモーター駆動とし,ジョイスティックから直感的に遠隔でアーム操作が可能であると同時に,画像処理やX線の条件設定もテーブルサイドのリモコンから操作可能なワンマンコントロール治療支援装置として仕上がっている。ワークステーションには,サスペンションモニタで高輝度のモニタがフリーバランスで搭載され,観察者は至近距離で高画質を観ることができる。さらに,観察部位に応じて,血管,骨,軟部組織,カテーテル,ステント,コイル,インプラントなどを,そのサイズとコントラスト特性ごとに複数に大別して空間周波数成分処理を施し,観察が必要な特定部位とデバイスの視認性を向上する画像処理技術"ダイナミックレンジマネジメント(DRM)"を搭載するなど,日々進化する低侵襲治療,また血管内治療と融合する新しい治療に対応する豊富なアプリケーションを網羅しており,ハイブリットORをはじめ幅広い臨床ニーズに対応する。

 

OEC 9900 Elite MD
OEC 9900 Elite MD


◆ 血管撮影装置「InnovaIQProシリーズ」

  “See.Your Way.Clearly”をテーマに,血管撮影装置「InnovaIQProシリーズ」が紹介された。術者の手を煩わせずフルオートによる高画質の提供と,ユーザーそれぞれのニーズに合わせた操作性を追究しており,年々複雑化するインターベンションを的確にサポートするアプリケーションがさらに充実した。今回の展示では,ユーザー自身がInnovaの画像をじっくり見られるよう,自社開発のFPDとGE独自の画像最適化制御によって作成された透視画像や撮影画像を,線量情報とともに大型液晶ディスプレーで表示。低線量でのハイレベルな画質がアピールされた。

  また,Advantage Workstation Volume Share 4を用いて,実際にInnovaやAWでの高画質や高い操作性が,全身領域について臨床的に優位にサポートできた臨床例が提示された。特に,肝がんへのアプローチの際,DSA撮影だけでは栄養血管が特定できないケースにおいても,各断面画像のスライス面の変更により栄養血管を特定し,その血管にカーソルを合わせるだけで各断面画像のみならず3D画像のすべての画面に連動表示される機能に注目が集まった。


Innova Proシリーズ
Innova Proシリーズ

Innova AW
Innova AW


● Healthcare IT:トータルソリューションとして,画像診断ワークフローの改善への貢献をアピール

  Healthcare ITでは今回,PACSやワークステーション,レポーティングシステムといった製品ごとのアピールではなく,画像診断ワークフローを大きく改善するために,どのようなサービスが提供できるかが大きなテーマとして掲げられた。ブース内にはSolution Road Mapが掲示され,それぞれの製品がどのような役割を担っているのかが一目でわかる展示となった。また,製品としては,新しくなった読影レポーティングシステム「Centricity i3」(セントリシティ・アイキューブ)と,新製品のネットワーク型ワークステーション「AW Server」が注目を集めた。

 

同社製品の役割が一目でわかるSolution Road Map
同社製品の役割が一目でわかるSolution Road Map


◆読影レポーティングシステム「Centricity i3

  Centricity i3は,ログインIDを用いて医師ごとに読影環境をカスタマイズすることができる。どの端末からも,いつでも同じ環境でストレスなく読影できるほか,患者さんの当日のレポートを選ぶと同時に,同一モダリティ,同一部位の過去のレポートおよび,その患者さんがその日に行った検査の画像と同一モダリティ,同一部位の過去画像が同時に開くため,容易に過去画像との比較読影を行うことができる。また,新機能として,検査の切り替えボタンが従来の6種類から10種類に増えたほか,レポートのカラムの幅を自由に変えることが可能となった。

 

Centricity i3
Centricity i3


◆ネットワーク型ワークステーション「AW Server」

  新製品として,ネットワーク型ワークステーション「AW Server」が登場した。2D/3D/4Dの画像処理をサーバベースで行い,結果画像をクライアント端末に配信するため,スペックに依存せず,院内の既存PCで画像処理を行うことができる。クライアント端末の接続数は無制限という優れた拡張性を持ち,同時処理は8台(枚数制限は3万枚)まで可能なほか,クライアント端末でもAWとまったく同じ画像処理・解析を速いスピードで行うことができる。通常のアプリケーションはもちろん,心臓に特化したアプリケーションもオプションで搭載することができる。

 

AW Server
AW Server


● サービス:3つのコンテンツでサポート体制を強化

  サービスでは,「InSite for Ultrasound」,「デジタル遠隔予兆監視」,「SmartOwner」の3つのコンテンツが紹介された。

  InSiteは,各装置をネットワーク回線で同社の中央センターに接続し,遠隔操作で修理などを行うサービス。InSite for Ultrasoundということで,超音波装置にもInSiteが対応可能になったことが紹介された。InSiteにデジタル遠隔予兆監視を組み合わせれば,装置自身がトラブルの予兆を関知して,中央センター内のテクニカルセンターに自動的に通知し,トラブルを未然に防ぐことが可能となる。

  また,同社は新たに,SmartOwnerというサービスの新ブランドを立ち上げた。これは,装置のアップグレードはもとより,トレーニングやトライアル,ファイナンシャルなどに至るまで,トータルでサポートを行うためのソリューションとなっている。

 

サービスのコーナー
サービスのコーナー

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