MRIは,3T MRIの最上位機種として「Discovery MR750」と,1.5T MRIでは「Optima MR360」,「Brivo MR355」の2機種を同時に発表した。同社は,2008年の北米放射線学会(RSNA)において,モダリティにかかわらずハイエンド装置を「Discovery」,高い検査効率により臨床での有用性を最大限に発揮する装置を「Optima 」,使いやすさと経済性を重視した装置を「Brivo」とする,3つの統一ブランドの展開を発表していたが,今回発表された3機種は,その戦略に則った製品となる。
Discovery MR750は,大学病院や研究施設を主対象に開発された,優れたハードウエア性能と臨床価値の高いアプリケーション・ソフトウエアを高い次元で融合した装置。ガントリ全体に改良を加え,グラディエントコイル内に冷却用水を直接流して,傾斜磁場コイルはもとより,アンプや電源なども含めたフル水冷化によって,最大傾斜磁場強度50mT/mとスリューレート200を実現した。また,体内から発生した微弱な信号のAnalog/Digital変換を,機械室ではなくガントリ内で行うことで信号の伝送距離を短くし,かつデジタル伝送は光ファイバーを用いて行う“Optix”技術によって,伝送時に発生するノイズが削減され,SNRが最大27%向上した。現在,最大傾斜磁場強度50mT/mとスリューレート200を同時に実現しているのは,3TではDiscovery MR750が世界で唯一の装置だという(2010年4月9日現在)。また,RFパルス送信を,従来の2か所から4か所に増やして行う新技術“4ポイントドライブ”を搭載。さらに,32chボディアレイコイルが使用可能になったことで,マグネットの高い静磁場均一性とも相まって,体幹部領域のイメージクオリティが大幅に向上した。同社では,GradientのG,OptixのO,Large homogeneityのL,4ポイントドライブのDriveのDの頭文字から,これらの技術を総称してGOLDと呼び,Discovery MR750を次世代のゴールドスタンダードを担うためのハードウエアと位置付けている。
このほか,従来はガントリ開口部に取り付けられたレーザーライトによって撮像中心の位置決めを行っていたが,Discovery MR750では脱着テーブルの両脇に取り付けられたタッチセンサーを触るだけで簡単に行えるようになったほか,ガントリの操作ボタンを1つ押すだけで患者さんを磁場中心にポジショニングしてくれる技術,寝台を移動する際に患者さんが落ちないようにするアメニティなどが新たに搭載された。 |