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ITEM2013 東芝メディカルシステムズ ブースレポート「Improving the Quality of Life」をテーマに新型CTなどを展示

2013-4-16

東芝メディカルシステムズブース

東芝メディカルシステムズブース

東芝メディカルシステムズは,ITEM2013の展示テーマとして,「Improving the Quality of Life」を掲げ,患者にとっての生活の質の改善や,医療者のための診断・検査の質の向上につながる製品・サービスを強力にPRした。また,低被ばく,省電力,省スペースなど製品の環境性能を訴求したパネルを装置ごとに設置し,人にも環境にも優しいシステムであることを紹介した。
新製品としては,フルモデルチェンジしたマルチスライスCTのハイエンド装置「Aquilion PRIME」や外科用X線装置の「Surginix」。また,昨年発表された第二世代のArea Detector CT「Aquilion ONE / ViSION Edition」がITEM初お目見えとなったほか,2011年に買収した米国Vital Images, Inc.の画像処理ワークステーション「Vitrea」が2012年10月に販売開始され,ITEMでは初めて展示された。
これらの新製品以外にも,MRIや超音波診断装置,デジタルマンモグラフィ,PACS各製品の機能強化を図っている。さらに,近年,同社が力を入れている放射線治療に関しては,2012年に本社内に設置され,今春から本格的な稼働が始まった「東芝&エレクタ 放射線治療研修センター(RTTC)」が紹介された。(4月12日取材)

●CT:フルモデルチェンジした次世代マルチスライスヘリカルCT「Aquilion PRIME」

CTコーナーでは,4月5日に発表されたばかりである80列160スライスの「Aquilion PRIME」,昨年発表された「Aquilion ONE / ViSION Edition」の2機種が展示された。
「Aquilion PRIME」は,初代が2010年12月に発表された。新しい「Aquilion PRIME」は,設計を見直し,デザインを変更。780mmのガントリ開口径を維持しつつ,体積を34%,重量を28%削減している。コンパクトな筐体となったことに伴い,最小設置面積も14.8m2となったほか,電源容量を抑えた省エネルギー化により,16列CTなどのコンパクト機種からの更新ニーズにも対応する。同社マルチスライスCTの最上位機種として,0.5mmスライス厚×80列の検出器を搭載。ガントリの回転速度は0.35s/rotで,80列検出器専用DASによる高い時間分解能を持ち,64列CTと比べ約2倍の高速撮影ができる。また,スキャン中から画像再構成をバックグラウンドで並行処理したり,容易なポジショニングを支援する84mm左右動寝台の採用により,検査スループットが向上する。もちろん同社の被ばく低減技術である「AIDR 3D」も搭載。画像ノイズを最大で50%,被ばく線量を最大で75%低減できる。
もう一方の「Aquilion ONE / ViSION Edition」は2012年6月に発表されている。ハードウエアの設計を見直し,基本性能を向上。従来0.35s/rotだったガントリの回転速度が0.275s/rotに高速化されたほか,DASも新設計となり,2910view/sのデータ収集,25ギガビット/sのデータ転送が可能。X線管も900mAという高出力を実現している。こうした性能の向上により,心臓CTが心拍数75bpmまで広がり,さらに,小児,救急での検査で威力を発揮する。

コンパクト化・省スペース化した「Aquilion PRIME」

コンパクト化・省スペース化した「Aquilion PRIME」

第二世代のADCT「Aquilion ONE / ViSION Edition」

第二世代のADCT「Aquilion ONE / ViSION Edition」

 

●MRI:「CardioLine」が搭載可能になった「Vantage Titan 3T」

MRIコーナーで来場者を迎えたのは,同社が国内メーカー初の3T装置として2010年に発表した「Vantage Titan 3T」。同機は,3T MRIの課題とされていた腹部や骨盤部領域の画像濃度ムラを改善する「Multi-phase Transmission」を搭載。同社装置が得意とする非造影MRAについても,腹部・骨盤部領域ともに高精細な画像を提供することができる。さらに,「Vantage Titan 3T」は,ガントリの開口径が710mmという広さを有しており,閉所恐怖症などの被検者であっても,リラックスして検査を受けることができる。被検者がリラックスして検査を受けられる技術としては,ほかにも同社MRI独自の静音化機構である「Pianissimo」が採用されている。
今回は,2012年に発表された1.5T MRIの「Vantage Titan」に搭載できる心臓検査向けのアプリケーション「CardioLine」が「Vantage Titan 3T」にも搭載可能になったことがアナウンスされた。「CardioLine」は,心臓診断用の基準6断面の位置決めを支援する。高精度な位置決めを自動的に行い,心臓MRIの検査時間を短縮化する。新たに「Vantage Titan 3T」にも搭載可能になったことで,3T MRIによる心臓検査が行いやすくなる。
MRIコーナーでは,このほか新開発のコイルが発表された。1つは3T MRIの頭部用「32chヘッドSPEEDER」で,もう1つは1.5T装置用の「16ch フレキシブル SPEEDER」である。

3T MRI「Vantage Titan 3T」

3T MRI「Vantage Titan 3T」

 

「Vantage Titan 3T」に搭載可能になった「CardioLine」

「Vantage Titan 3T」に搭載可能になった「CardioLine」

 

新開発のコイル「32chヘッドSPEEDER」と「16ch フレキシブル SPEEDER」

新開発のコイル「32chヘッドSPEEDER」と
「16ch フレキシブル SPEEDER」

 

●X線撮影装置:外科用X線装置「Surginix」をITEM初披露

外科用X線装置の新製品となる「Surginix」シリーズの「SXT-2000A」がITEMでは初めて展示された。「SXT-2000A」は,手術室などでの使用を想定したモバイル用のCアーム装置。高出力の回転陽極X線管装置とDSA機能を搭載し,ハイビジョンクラスの高画質の透視像を提供するI.I.システムである。データはDICOM形式に対応し,院内のネットワーク上から参照することができる。また,コンソールのモニタは2面モニタを採用している。同機種の横には,FPDシステム(日本国内薬事未承認)も展示されていた。
一方,血管撮影装置は,「Infinix Celeve-i INFX-8000C」を展示した。画面の分割表示などレイアウト変更が可能な56インチ型の大型液晶モニタを採用しており,経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)などを施行するためのハイブリッド手術室に対応した専用寝台を組み合わせている。天井走行式Cアームによる広範囲の横手・長手移動で,安全かつ正確な手技を支援する。
今回は「Infinix Celeve-i INFX-8000C」に対応したアプリケーションも紹介された。このうち「Spot Fluoroscopy」は,Last Image Hold(LIH)画像と呼ばれる静止画像の上に動画像を重ね合わせて表示することで,関心領域にのみX線を照射する。これにより,患者だけでなく術者の被ばく低減を図る。同社では術者の被ばく線量を半分以下に抑えることができるとしている。
デジタルマンモグラフィ「MAMMOREX Pe・ru・ru DIGITAL」も新機能を追加し,ブラッシュアップを図っている。同社の女性チームが開発に携わった同装置は,真珠をイメージしたつややかな筐体パネルを採用しており,検診用とバイオプシー対応モデルをラインナップ。さらに,コンソールの画像観察モニタから検査画像に矢印や楕円などで撮影情報を入力できる「Exam-Maker」を搭載し,診療放射線技師の読影補助業務を支援する。

300kHUの大容量回転陽極X線管装置を搭載した「Surginix」

300kHUの大容量回転陽極X線管装置を搭載した「Surginix」

ハイブリッド手術室に対応した「Infinix Celeve-i INFX-8000C」

ハイブリッド手術室に対応した
「Infinix Celeve-i INFX-8000C」

   
診療放射線技師の読影補助支援機能を搭載した「MAMMOREX Pe・ru・ru DIGITAL」

診療放射線技師の読影補助支援機能を
搭載した
「MAMMOREX Pe・ru・ru DIGITAL」

 

 

●超音波診断装置:「Aplio 500/400/300」の新機能や新型プローブを紹介

超音波診断装置は,「Aplio 500/400/300」やコンパクトタイプの「Viamo」が展示された。ハイエンド超音波診断装置「Aplio 500」は,超音波画像と連動してCT・MRIの画像を表示して,穿刺などの手技を支援する「Smart Fusion」のさらなる進化が紹介された。新たに経膣/経直腸プローブ「PVT-781VT」が開発されたことで,前立腺領域にも対応。展示では,このプローブを用いて,ファントムによる「Smart Fusion」のデモンストレーションが行われた。新しいプローブについては,58mmの横幅を持つ「PLT-1005BT」も「Aplio 400」と組み合わせて披露された。乳腺や甲状腺のほか,整形外科・リウマチなどの領域に対応する。
また,「Aplio 300」では,新しい3D表示法である「Luminance」が紹介された。このアプリケーションは胎児を直接観察しているような画像を表示する。胎児の状態をより正確に把握することができるという。
このほか,超音波診断装置のコーナーでは,「Aplio 500」のアプリケーションである「Fly Thru」も紹介された。消化管や胆管,尿路,子宮,血管内腔の3D画像を文字どおり「飛ぶ」ように,表示するものである。

「Aplio 500」と「PBT-781VT」による「Smart Fusion」のデモンストレーション

「Aplio 500」と「PBT-781VT」による
「Smart Fusion」のデモンストレーション

「Aplio 300」の最新3D表示法「Luminance」

「Aplio 300」の最新3D表示法「Luminance」

 

●核医学装置:東芝独自の豊富なアプリケーションを搭載した「GMS-7700B」

核医学装置のコーナーでは,SPECT「Symbia E」と組み合わせる独立型画像処理装置「GMS-7700B」を中心にPRを行った。東芝独自の再構成技術を搭載し,TEW法散乱線補正やサイノグラム輪郭抽出,Iterative Chang法減弱補正により定量性の高い画像を提供する。また,心筋SPECT検査での減弱によるアーチファクトの影響を抑えるSSPAC法は,γ線の情報から画像処理を行うため,外部線源やCTが不要で,被ばくを低減し,投資コストや検査時間を抑えるというメリットをもたらす。また,開発中の3検出器型ガンマカメラが薬事未承認品として参考展示されていた。

「Symbia E」のオプションとして提供される「GMS-7700B」

「Symbia E」のオプションとして提供される
「GMS-7700B」

 

●放射線治療:「Elekta Synergy」とその研修センターを紹介

同社が近年力を入れている放射線治療については,アライアンスを組んでいるエレクタ社の「Elekta Synergy」と,2012年7月に開設された「東芝&エレクタ 放射線治療研修センター」の紹介が行われた。同研修センターは,昨年からパイロット運用が行われていたが,今春から本格的に活動を始めている。施設内には,「Elekta Synergy」と16列マルチスライスCT「Aquilion LB」を設置した照射室や,放射線治療計画システム「Xio」,IMRT治療計画システム「Monaco」,治療マネジメントシステム「MOSAIQ」などが用意されたトレーニングルーム&操作室がある。
放射線治療コーナーには,「Elekta Synergy」と「Aquilion LB」を同室内に設置した例を紹介するパネルが掲示された。両装置の組み合わせたIGRTソリューションは,山梨大学医学部附属病院に導入されている。

「東芝&エレクタ 放射線治療研修センター」の紹介

「東芝&エレクタ 放射線治療研修センター」の紹介

 

●ヘルスケアIT:本格的な運用が始まったクラウドサービス「Healthcare@Cloud」

ヘルスケアIT関連では,PACS「RapideyeCore」に対応するクラウドサービス「Healthcare@Cloud」などが紹介された。「Healthcare@Cloud」は,「RapideyeCore」のデータのうち,中・長期保存の過去データをそれぞれ「Nearline」と「Frozen」という階層に分けて,データセンターに保存。直近の画像だけを院内に保存することにより,低コストで安全にデータを管理できる。スマート・プリフェッチ機能により,院内で画像を保存しているような,シームレスなデータ運用を実現している。さらに,「Healthcare@Cloud」を用いて,夜間や休日などの,放射線科医が不在の際に,遠隔地にいる放射線科医がタブレットなどを用いて画像を参照するといったことが可能になる。
また,PACSの「RapideyeCore」は,DICOM画像だけでなく,内視鏡画像やPDFなどのファイルも一元的に管理できる。マトリックス表示された画面から必要な情報を簡単に選択し,スピーディに表示することが可能となっている。
このほか,ヘルスケアIT関連では,RIS「RapideyeAgent」や循環器部門の動画ネットワークシステム「CardioAgent」,東芝医療情報システムズ社の中・大規模病院向け電子カルテシステム「HAPPY ACTIS」と地域連携システム「HAPPY netty」が紹介された。

住友別子病院での運用が始まった「Healthcare@Cloud」

住友別子病院での運用が始まった「Healthcare@Cloud」

 

お問い合わせ先:
東芝メディカルシステムズ株式会社
〒324-8550 栃木県大田原市下石上1385番地
TEL 0287-26-5100
http://www.toshiba-medical.co.jp/

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