ITEM2012 国際医用画像総合展―未来への先導 放射線診療の核心に迫り未来を展望する

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ITEM in JRC 2012 国際医用画像総合展

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ITEM2012 シーメンス・ジャパン

革新的な製品でヘルスケアをリードする「Images, leading the way - with you.」をテーマに展示

シーメンス・ジャパンブース
シーメンス・ジャパンブース

織畠潤一氏
織畠潤一氏

シーメンス・ジャパンは,テーマを「Images, leading the way - with you.」として展示を展開した。MRIでは,高画質,高性能ながらコストやユーザビリティにも配慮した「MAGNETOM Spectra 3T」,MRIとPETをひとつのガントリに統合しMR-PET画像の描出を実現した「Biograph mMR」,ACUSON S2000の基本性能を生かしたベーシックモデルの「ACUSON S1000」,VTIQ(エラスト)など多彩なアプリケーションを搭載したフラッグシップモデル「ACUSON S3000」を新たに加えたACUSON S Family,日本の市場を見すえて1から開発した64スライスCTの「SOMATOM Perspective」などの新製品が展示された。
初日の記者説明会で挨拶した代表取締役兼CEOの織畠潤一氏は,「シーメンスのヘルスケアビジョンとしては,個人にあった医療を提供する“Personalized”,最先端のソリューションを大学病院や研究施設だけでなく地域の中核病院やクリニックまで提供できるようにする“Accessible”,医療をめぐる厳しい経済環境の中で長期的に確実な事業を提供する“Sustainable”をキーワードとして,医療に貢献していく。シーメンスとしては常に革新的な製品や技術を提供し続けることが強さの源であり,今回のITEMではその成果を多くの新製品として展示する」と語った。(4月13日取材)

●MR-PET:同一時間・空間で形態(MRI)と機能(PET)の撮像が可能な「Biograph mMR」

2009年のRSNAで発表され大きな話題を集めた,PETとMRIの検出器を1つのガントリに一体化した「Biograph mMR」が,日本でも2月に薬事承認を得てITEMで初展示された。mMRは,PETとMRIの検出器をガントリ内の同一円心上にセットしたことで,被検者を移動することなく完全な同時撮像を可能にした。形態画像のMRIと機能画像のPETの同時撮像によって,これまでにない新たな臨床情報の収集が期待される。臨床的な有用性としては,時間の経過によって位置情報が変化する腹部や膀胱付近の検査では,同時収集によって時間差,空間差のない情報が得られることで 精度の高い診断が可能になる。また,小児の検査で長期的なフォローアップが必要な場合には,トータルでの被ばく線量を低減することが期待される。さらに,これまで動物実験でしか得られなかったPETとMRIの同時収集による脳機能研究への応用などが考えられる。
技術的には,MRIの磁場の中にPETの検出器を設置しても,お互いに干渉しない新たなPET検出器(APD:avalanche photodiode)を開発したことで一体型のガントリ構成を可能にすると同時に,検出器の小型化によって60cmの開口径を実現している。また,MRIの撮像では,シーメンスのTimコイルシステムをPET同時収集用に開発した「mMR Timコイル」によって,全身で均一な画像を得ることができる。

PETとMRIの検出器を1つのガントリに一体化した「Biograph mMR」
PETとMRIの検出器を1つのガントリに一体化した
「Biograph mMR」
PETの画像処理ユニットを小型化してガントリ背面に設置
PETの画像処理ユニットを小型化してガントリ背面に設置

●MRI:3Tへの“Access”を可能にするコストパフォーマンスに優れた「MAGNETOM Spectra 3T」

MRIでは,3T装置の高い性能はそのままに,よりコストパフォーマンスに優れた新しいMRI「MAGNETOM Spectra 3T」が注目の製品となっていた(2月に薬事認証取得)。ブースでは,実機の展示はなかったが,豊富に用意されたコイルを中心に新機能を紹介した。MAGNETOM Spectraでは,3TとしてのQuality(高品質な診断画像)を維持するため,同社のMAGNETOM Skyraなどのハイエンド機種で採用されているコイルシステム「Tim4Gシステム」を搭載した。また,Usability(使い勝手の良い装置)を高めるため,オペレータの習熟度にかかわらず,安定した再現性の高い画像が得られるDot(Day optimizing throughput)エンジンを組み込んだ。Dotエンジンでは,操作のサジェスチョンやオンボードガイダンスなどによって最適な検査が行えるようにサポートする。さらに,Patient Careとして,173cmのショートガントリによって検査中の圧迫感を軽減するほか,省設置スペースとランニングコストの低減によって経済性を高めている。

「MAGNETOM Spectra 3T」はコイルを中心に展示を行った
「MAGNETOM Spectra 3T」はコイルを中心に展示を行った

●CT:コンパクトでコストパフォーマンスに優れた「SOMATOM Perspective」を展示

CTでは,日本の市場を見据えて開発した64スライスCTの「SOMATOM Perspective」(以下,Perspective)が展示された。Perspectiveは,世界のCTの4割近くを有する“CT大国”である日本の市場をターゲットに開発された装置で,日本の医療環境にマッチした64スライスCTとして投入された。収集スライス厚0.6mm,最大ガントリ回転速度0.48秒など,従来の64スライスの性能を搭載しながら,リーズナブルで使いやすい装置をめざした。具体的には,設置性だけでなく搬入,取付まで考えたコンパクト設計(16スライスクラスと同等の設置面積18.5 m2),高画質,低被ばくに加え,“効率的(efficiency)”な撮影を提供する「eMode」を搭載した。eModeでは,省電力だけなく,装置にとってやさしい条件で稼働することで,長期の安定稼働を実現してランニングコストを抑え,効率的な運用を可能にする。撮影では,64スライスによる高速,高精細画像を提供でき,Rawデータベースの逐次近似的再構成法である「SAFIRE」を搭載する。64スライス以上のCTでは,今回の診療報酬改定で新たな撮影診断料が設定されたほか,大腸CT撮影加算(CTコロノグラフィ)が新設されるなど,心臓検査や外傷全身CTの加算に加えて追い風となっており,Perspectiveには大きな期待が寄せられる。

日本の市場を見据えて開発した64スライスCTの「SOMATOM Perspective」
日本の市場を見据えて開発した64スライスCTの
「SOMATOM Perspective」
ガントリの奥行きは68cmで収納スペースやアンビエントライトを備える
ガントリの奥行きは68cmで,収納スペースやアンビエントライトを備える。

◆次世代型検出器「Stellar Detector」

「Stellar Detector」は,シーメンスが開発した次世代型検出器で,電気信号を変換するフォトダイオードとADコンバータをワンチップ化して,電気ノイズとクロストークを最小限に抑えることで,さらなる被ばく低減を実現する。ハイエンドのSOMATOM Definition Flashから搭載していく予定だ。

最上位機種に搭載予定の次世代型検出器「Stellar Detector」
最上位機種に搭載予定の次世代型検出器「Stellar Detector」

●超音波診断装置:「ACUSON S Family」にベーシックのS1000,フラッグシップのS3000が登場

超音波コーナーでは,ACUSON S2000の基本性能を生かしたベーシックモデルの「ACUSON S1000」,組織の硬さを定性から定量評価まで1枚の画像で可能にしたVirtual Touch IQ(VTIQ)など,多彩なアプリケーションを搭載したフラッグシップモデル「ACUSON S3000」を加えたACUSON S Familyを紹介した。ACUSON S Familyでは,ストレインイメージング(組織硬度画像,解析)が行えることが特長で,用手的なエラストグラフィである“eSie Touch Elasticity Imaging”のほか,Push Pulse照射によって組織の変位を検出して硬さの違いを画像化する“Virtual Touch Tissue Imaging”,Push Pulse照射で生じるせん断弾性波を検出して定量化を行う“Virtual Touch Tissue Quantification”を行うことができる。さらに,プレミアムエンドとなるS3000のVTIQでは,組織の中の硬さを高精細画像で観察できるほか,定量評価まで同時に行える。また,高密度超音波素子によるHD(High Density)トランスデューサーや,検査を支援する自動化機能(画像調整,計測など)を搭載することで,最先端の研究からスクリーニングまで幅広く支援する。

ACUSON S FamilyのベーシックモデルであるS1000
ACUSON S FamilyのベーシックモデルであるS1000
フラッグシップのS3000ではVTIQなどの最新アプリケーションを紹介
フラッグシップのS3000ではVTIQなどの
最新アプリケーションを紹介

●X線撮影装置:デジタルマンモ,モバイルFD装置,FD搭載多目的透視撮影装置を展示

高画質トモシンセシスが可能な「MAMMOMAT Inspiration」
高画質トモシンセシスが可能な「MAMMOMAT Inspiration」

X線コーナーでは,フルデジタル乳房X線撮影装置「MAMMOMAT Inspiration」を展示し,乳房のトモシンセシスの画像を多数紹介した。MAMMOMAT Inspirationは,マンモ用X線管からディテクタまですべて自社で開発し,2Dからトモシンセシスまで最適の条件で撮影が行えることが特長だ。MAMMOMAT Inspirationのトモシンセシスでは,体表に近い部分から中心まで,どのスライスでもボケることなく観察が可能で,診断能の向上に貢献する。
一般撮影装置では,ワイヤレスFDを採用した新しいポータブル撮影装置「Mobilett Mira」が展示された。Mobilett Miraは,ディテクタをはじめすべてシーメンスが開発していることが特長で,最大35kWの高出力X線管装置を搭載し,ロックレスのカウンタバランス機構によるスムーズな位置決めや,ワイヤレスFDの充電機構など,モバイルでの使い勝手を追究した装置となっている。
また,大視野FDを搭載したX線TV装置「LUMINOS Session」を出展した。展示では,LUMINOS Sessionを中心に操作室・検査室を再現し,装置本体とキャビネット(処理ユニット)を含めてコンパクトに設置できることを紹介した。LUMINOS Sessionは,43cm×43cmの大視野FDを搭載し,長手(体軸)方向に広範囲に移動するテーブルなどとあわせて,内視鏡検査や泌尿器科,整形外科,血管造影など多目的検査に対応する。2011年5月に発売され,今回のITEMで初めて展示された。

ワイヤレスFDを採用した新しいポータブル撮影装置「Mobilett Mira」
ワイヤレスFDを採用した新しいポータブル撮影装置
「Mobilett Mira」
多目的検査に対応した大視野FD搭載のX線TV装置「LUMINOS Session」
多目的検査に対応した大視野FD搭載のX線TV装置
「LUMINOS Session」

●血管撮影装置:バイプレーンシステムで全身のIVRに対応する「Artis zee BA」

血管撮影装置では,IVR対応ハイブリッドバイプレーンシステム「Artis zee BA」を出展。シーメンスのバイプレーンシステムは,日本の市場で高い評価を得ており,脳神経,循環器領域はもちろん,全身の検査で高いニーズがあることから今回の展示になった。Artis zee BAは,12インチ x 15インチと7インチ x 7インチのFDのコンビネーションで,頭部だけでなく循環器領域を含めて全身に対応する。特長は,バイプレーンとしてはコンパクトな設計で,限られたスペースでも手技を妨げないレイアウトが可能になる。Artis zee BAでは,MULTISPACE機能によって体位を変えずに下肢の透視・撮影が可能で,バイプレーンで膝下まで検査が行える唯一のシステムである。下肢の血管狭窄の治療では,循環器領域ではバイプレーンの2方向透視による治療がルーチンになっており,末梢血管の治療にもバイプレーンが求められる傾向があるという。また,シーメンスのコーンビームCT撮影機能であるDynaCT機能の向上,金属アーチファクトの補正技術などをワークステーションで紹介した。

バイプレーンシステムで全身のIVRに対応する「Artis zee BA」
バイプレーンシステムで全身のIVRに対応する「Artis zee BA」

●ヘルスケアIT:さらなる進化を続ける画像診断ソリューション「syngo.via」を出展

syngo.viaでのiPad対応をアピール
syngo.viaでのiPad対応をアピール

新しいコンセプトの画像解析処理システムとして,2010年のITEMで大々的に発表された「syngo.via」だが,今回は検査のオーダから読影,レポート配信まで,画像診断業務を支えるマルチモダリティ画像診断ソリューションとしてブースの中心で展示された。syngo.viaでは,ユーザーごとの画面レイアウトや検査種別ごとに最適化した画像処理など,サーバ側で自動化して処理を行うことで,検査終了から読影終了までの時間を短縮できる。また,今回の展示では,iPadを使ったソリューションを紹介し,2Dだけでなく3D画像の作成,表示に対応していることをアピールした。MIPやVR表示,iOSのピンチ操作にも対応しており,iPadならではの使い方ができる。シーメンスは画像処理に力を入れて,3D画像を容易に扱えるようなソリューションを提供していく。

●分子イメージング:コンパクト,高画質,高スループットの検査を提供するPET-CT「Biograph mCT」

分子イメージングでは,従来からのPET-CTやSPECTに加えて,小動物用実験装置やサイクロトロンなどトータルソリューションの提供を強調する展示構成となった。その中でも核となるのが,PET-CTの「Biograph mCT」であり,今回はミニスケールモデル(模型)で紹介された。Biograph mCTは,同社の最高クラスのCTであるSOMATOM Definitionシリーズをコンバインでき,臨床から研究まで対応できるフラッグシップモデルとなっている。

◆ITEM2012で発表する新製品を中心とするプレスセミナーを開催

シーメンス・ジャパンは,ITEM期間中の13日,展示会場内で記者説明会を開催した。説明会では,代表取締役兼CEOでシーメンスグループ日本代表兼ヘルスケアセクターリードの織畠潤一氏が,ITEMでの展示にあたって,日本におけるヘルスケア領域の事業概要と展開を説明した。
また,イメージング&セラピー事業本部MRビジネスマネージメント部部長の井村千明氏がホールボディMR-PET装置「Biograph mMR」と「MAGNETOM Spectra 3T」について,CTビジネスマネージメント部プロダクトマネージャーの早川護氏が「SOMATOM Perspective」を,持田シーメンスメディカルシステムコラボレーション本部本部長の大場拓也氏が「ACUSON S Family」について,それぞれ製品の特長とねらいを概説した。

井村千明氏
井村千明氏
大場拓也氏
大場拓也氏
早川 護氏
早川 護氏

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