ITEM2016 東芝メディカルシステムズ ブースレポート
フラッグシップCT,次世代3T MRIなど先進技術を投入した多くの新製品を発表し次の100年に向けた第1歩を大きくアピール
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2016-4-22
東芝メディカルシステムズブース
東芝メディカルシステムズは,経営スローガンでもある「Made for Life」をテーマに展示を行った。2015年は,同社がヘルスケア事業に取り組んでから100年の節目の年だったが,年末の東芝本社による外部資本導入の決定から,2016年3月17日キヤノングループへの株式売却発表まで,大きく揺れ動くことになった。改めてMade for Lifeをテーマとすることで,原点に立ち返り,新たな1歩を踏み出すという意味が込められた。ブースでは,ITEMに合わせて発表されたADCTのフラッグシップである「Aquilion ONE / GENESIS Edition」や,開発中の次世代3T MRIの新技術を参考展示するなど,次の100年も継続して最先端の技術と製品,国産企業ならではのサービスで,事業を継続していくことを来場者に強く印象づける展示となった。そのほか,ワイヤレスFPDを搭載した回診用X線撮影装置「Mobirex」や血管撮影装置「Infinix Celeve-i」シリーズなどのX線の新製品,乳がん検診をサポートする“Breast Solution”のコーナーではマンモグラフィ「Pe・ru・ru DIGITAL」や超音波画像診断装置「Aplio」シリーズなどが展示された。また,ITソリューションでは,マルチモダリティ対応でさまざまなモダリティ,領域の画像解析が可能な豊富なアプリケーションを搭載した画像処理ワークステーション「Vitrea」をアピール。PACS,RISのソリューションである「RapideyeCore」の新機能なども紹介した。
今年は,初日から2日間,ブースからCT,MRIなどコーナーごとのトピックを紹介する中継を,ブース内だけでなくネットでのライブストリーミングも行うなど,積極的な情報発信を行っていた。(4月15,16日取材)
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●CT:新たなグローバルスタンダードCTとなる「Aquilion ONE / GENESIS Edition」を披露
CTコーナーの最前面に展示されたのは,Aquilion ONEシリーズの最上位機種として発表されたばかりの「Aquilion ONE / GENESIS Edition」である。東芝メディカルシステムズは,2007年に世界初の320列面検出器を搭載したArea Detector CT(ADCT)としてAquilion ONEを発売,高画質,低被ばく撮影のための技術を投入してバージョンアップを重ね,国内シェア1位,海外でも2位とグローバルスタンダードCTとして市場に認められてきた。Aquilion ONE / GENESIS Editionは,ADCTの新たな最上位機種と位置づけられる。これまでのADCTのノウハウをさらにブラッシュアップして高画質化,低線量撮影を追究しながら,ガントリのコンパクト化を実現。ADCTの可能性をさらに拡大する新たなグローバルスタンダードCTとして投入されたフラッグシップモデルである。
Aquilion ONE / GENESIS Editionでは,撮影系のプラットフォームを一新したX線光学系技術“pureViSION Optics”を搭載した。pureViSION Opticsでは,X線入出力のコンポーネントをトータルで見直し,出力側は被ばく増の要因となる低エネルギー領域のX線スペクトラムをカットしてエネルギー分布を最適化,入力側のpureViSION Detectorの高いX線検出能を生かして精度を高めた。さらに,画像再構成法には昨年のITEM2015で発表され,高い評価を受けている新しいFull IRの逐次近似画像再構成“FIRST”を搭載し,さらなる低被ばく,高画質の撮影を実現する。
また,Aquilion ONE / GENESIS Editionでは機能アップを図りながら,ガントリサイズをコンパクト化したことも特長で,ガントリサイズは同社の64列CTよりも小さい高さ1925mm×幅2270mm×奥行き960mmとなっている。設置の際には処理コンポーネントの小型化で機械室が不要になり,検査室の最小設置面積は19m2と64列CTからのリプレイスも可能なサイズを実現した。そのほか,±30°のチルト機能や検査をサポートする“エリアファインダ機能”など,来場者の注目を集めていた。
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●MRI:高画質,コンパクトの1.5T「Vantage Elan」と次世代3T MRIの技術を発表
MRIでは,1.5Tの「Vantage Elan / eS Edition」をコーナーのセンターに展示した。Vantage Elanは2013年11月に発売され,高画質とコンパクトを両立した1.5T MRIとして評価を受け,国内で約150台が稼働している。2015年11月に発売されたVantage Elan / eS Editionは,コンパクトな設計は維持したまま,16チャンネルの多チャンネルフェーズドアレイコイルの利用を可能にし,アプリケーションソフトウエア“M-power V3.1”を搭載して,より高度な検査環境をコストを抑えて提供できるのが特長だ。展示では,装置周囲の床面に検査室の最小設置面積である16m2を赤枠で示し,Vantage Elan / eS Editionのコンパクト設計をアピールした。
また,同社は4月12日に次世代の3T MRIの新技術の開発について技術発表(ニュースリリース)を行った。この新技術は,高スリューレートで高画質化と静音化を実現したSaturn Technologyを1.5Tクラスの省スペースで実現,最大99%まで騒音を低減する静音化,さらなる撮像時間の短縮などを提供する。さらに,RSNA2015に合わせて技術発表され,シカゴの展示ブースで大きな注目を集めた“広視野バーチャル映像技術(薬機法未承認)”についても合わせて紹介した。
もう1つの目玉として注目を集めたのが,2015年に東芝メディカルシステムズが買収したフランスの医療画像処理ソリューションベンダーであるオレア メディカル社の,33のMRI向け解析アプリケーションが利用可能になったことだ。アプリケーションは画像処理ワークステーション「Vitrea」に搭載され提供される。Wall Motion Tracking,Permeabilityなど,すでに臨床で高い評価を受けているアプリケーションが搭載されることになり,東芝メディカルシステムズのMRIの競争力を高めることが期待される。
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●X線:ワイヤレスFPDを搭載した回診用X線撮影装置,高速3D撮影が可能な血管撮影装置を展示
回診用X線撮影装置「Mobirex」は,新たに自社製のワイヤレスFPDが搭載された。ワイヤレスFPDは,14インチ×17インチ(半切)サイズでパネルには高感度CsI:TI(タリウム活性化ヨウ化セシウム)シンチレータを採用。高感度で量子検出効率が高く(DQE70%以上),低い撮影線量で高精細な画像が得られる。デジタル画像処理装置(DRコンソール)にはタブレットPCを採用している。本体と連携しながらタブレットPCだけを持ち運ぶことが可能で,撮影後の画像確認など自由度の高い運用が可能になる。そのほか,Mobirexは,病棟などで取り回しのしやすい幅56cmのコンパクト筐体,移動時の前方の視界を妨げないテレスコピック方式の支柱,独自のオフセット構造などで,高齢化でニーズの高まっている病棟や救急部門,処置室などでのX線撮影業務をサポートする。
血管撮影装置では,天井走行式Cアーム「CAS-930A」を組み合わせた構成で「Infnix Celeve-i INFX-8000C」を展示した。CAS-930Aでは,高速回転撮影が可能になっており,3D撮影では従来の10秒前後から最速3秒で撮影できる。撮影時間が短くなることで,造影剤量の削減が可能になる。さらに,同社が進める患者,医療スタッフの被ばく低減の取り組みである“DoseRite”の構成アプリケーションとして,透視時の被ばく線量をリアルタイムで表示する“DoseRite DTS”,必要な領域のみに絞った透視撮影を行う“DoseRite SpotFluoro”などを搭載した「Rite Edition」をアピールした。DoseRite SpotFluoroでは,フィルタによって周辺領域の線量をカットする“SPOT ROI”のモードが追加された。また,サブトラクション画像で血管内の造影剤の流れる方向をカラー表示で動的に表現する“CCC”もPRした。
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●Breast Solution:検診車搭載のマンモグラフィから超音波併用検査をサポートする“Echo Scan Guide”をPR
今年のマンモグラフィコーナーは,「Breast Solution」をテーマとして乳がん検診に対応する製品やシステムを診療の流れに沿って展示した。検診の入り口として件数の多いマンモグラフィ検診車,マンモグラフィの弱点を補完する超音波画像診断装置,それらの画像の読影システム,組織生検,乳腺MRIという一連の流れをすべてサポートする同社のアドバンテージをアピールした。例年は検診車を会場外に展示していたが,今年はブース内に検診車のモデルルーム(長さ2700mm×幅2490mm)を作成。「Pe・ru・ru DIGITAL」ならではの撮影室内操作式のレイアウトとし,狭い空間でも余裕があり安定した稼働が可能なPe・ru・ru DIGITALのメリットをアピールした。また,Pe・ru・ru DIGITALの新しい機能として“Echo Scan Guide”を発表した。マンモグラフィ画像上でポインティングされた病変の位置を,超音波のボディマーク上に表示する機能である。マンモグラフィと超音波の併用検診の比較試験を行うJ-STARTの検証結果や,2015年末に併用検診のガイドラインが出されたことで,今後マンモグラフィと超音波の併用検診が増えることが予想されることから,それを支援するための機能として期待される。
超音波では,Aplio400を展示しエラストグラフィや石灰化を描出する“MicroPure”などのアプリケーションを紹介した。
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●ヘルスケアIT:「Vitrea」のマルチモダリティ対応と豊富なアプリケーションをアピール
ITEM2016の東芝メディカルシステムズのブースの各モダリティコーナーで存在感を放っていたのが,画像処理ワークステーションの「Vitrea」だ。昨年のITEMでVitrea V7となり,マルチモダリティ対応となったことで,CT,MRIだけでなく,X線の線量管理機能なども搭載し,あらゆるモダリティとの連携や部門間の連携の核となる役割となった。さらに汎用的なプラットフォーム構成により、他のベンダーを含めたさまざまなソフトウエア,アプリケーションを搭載できるのが特長で,ザイオソフト社の大腸解析機能に続いて,オレア メディカル社(昨年10月に東芝メディカルシステムズグループに参入)のMRIアプリケーションを追加し,今後もさらに充実させていく予定だ。
今回,Vitreaの展示コーナーでは,東芝メディカルシステムズが初めて提供する,Vitrea上でのCT-FFR解析アプリケーションをアピールした。心臓カテーテル検査やインターベンション時に計測される冠血流予備量比を心臓CTのデータを利用して測定する場合,外部への検査依頼が必要でコストと時間がかかるのが現状だ。これをWS上で解析を可能にするのがVitreaのCT-FFRである。
そのほか,医療画像情報システムコーナーでは,PACSの「RapideyeCore」に搭載されたtime intensity curve計測機能や病変の自動認識と経時的トラッキング機能,RISの「RapideyeAgent」では,禁忌情報に基づいてインジェクタに警告を出すインジェクタとの連携機能,治療RISの新バージョン「RapideyeAgent RT Pro」などを紹介した。
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●お問い合わせ先
東芝メディカルシステムズ株式会社
住所:栃木県大田原市下石上1385番地
TEL:0287-26-5100
URL:http://www.toshiba-medical.co.jp/