ITEM2014 東芝メディカルシステムズ ブースレポート
新型PET/CT「Celesteion」をはじめ,ハード・ソフトともに最新技術が登場
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2014-4-16
東芝メディカルシステムズ ブース
東芝メディカルシステムズは,ITEM会場で最大となる800m2のブースを構えた。展示テーマは,昨年に引き続き「Improving the Quality of Life」。患者のQOL向上や医療者の検査・診断の質を向上するための製品・技術を披露した。前回の1.3倍の広さとなるブース内では,新型PET/CT「Celesteion」をはじめ,CT,MRI,X線撮影装置,超音波診断装置の各モダリティで新製品,新技術が紹介され,広大なブースが狭く感じられるほど,多くの来場者が訪れた。
新製品としてITEMに初お目見えしたのは,Celesteionのほかに,1.5T MRI「Vantage Elan」,医療用裸眼3Dディスプレイ「HyperViewer」,超音波診断装置「Xario 200/100」,SPECT「GCA-9300R」,動画ネットワークシステム「CardioAgent Pro」。また,これ以外の製品もアプリケーションなどが強化されており,Area Detector CT(ADCT)「Aquilion ONE」シリーズに搭載される“Frontier Suite”をはじめ,超音波診断装置,血管撮影装置でも初披露となるソフトウエアが登場した。(4月11日取材)
●核医学装置:TOF技術とAIDR 3Dを搭載したPET/CTのCelesteion
ITEM初日に行われた記者発表会において,待望のPET/CTであるCelesteionが発表された。ガントリの開口径がCT部で90cm,PET部で88cmというワイドボアの外観が特徴的なCelesteionは,多くの来場者の関心を集めた。PET部には,画像のコントラスト,SNRを大幅に向上させる技術であるTOF(Time-of-Flight)技術を搭載している。一体型PET検出器モジュールの採用や光学系,回路・処理系のハードウエア設計を最適化。450ps以下というクラス最高レベルの時間分解能を実現し,高画質化を図った。一方,CT部は,16列CTを採用。ガントリ回転速度は0.5s/rotとなっている。同社CTの被ばく低減技術である“AIDR 3D”も搭載されており,最大75%の被ばく低減によって被検者に優しい検査を施行する。また,ワイドボアによるポジショニングの自由度が高いという点も,被検者に優しい技術だと言える。
このほか,核医学装置としては,2013年9月に発表されたSPECT,GCA-9300Rがパネル展示された。3検出器型のSPECTで,2検出器型と比べて収集時間の短縮化が図れるほか,2検出器型と同じ撮像時間で高画質を得られる。通常のパラレルコリメータよりも高分解能,高感度であるファンビームコリメータをオプションで用意。ソフトウエアには,ガンマ線吸収の影響を改善する“SSPAC”などを搭載している。
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●CT:最新クリニカルソフトウエアのFrontier Suiteや裸眼3DディスプレイをPR
CT本体としては,ADCTのAquilion ONE/ViSION Editionと80列160スライスCTの「Aquilion PRIME」が展示された。いずれも昨年のITEMで出品されているが,今回はハードウエアではなく,ソフトウエアの進化が来場者の注目を集めた。Aquilion ONEシリーズに搭載されるクリニカルソフトウエアがバージョン6.0となり,Frontier Suiteという総称で発表された。Frontier Suiteの主なソフトウエアとしては,“SURESubtraction”“SEMAR(Single Energy Metal Artifact Reduction)”“生データベースデュアルエネルギーシステム”がある。
SURESubtractionは,冠動脈のCTアンギオグラフィにおいて石灰化ステントを除去して血管だけを描出する。これにより,高度石灰化の症例においても高精度の診断が行える。また,SEMARは,逐次近似画像再構成法を応用したもので,金属アーチファクトを低減した画像を得ることが可能。体内金属などにより撮影が困難だった患者も,検査の適応とすることができる。生データベースデュアルエネルギーシステムはオプションで用意される。生データベースでの画像処理によって,実効原子番号や電子密度の解析を可能にした。
CTでは,このほか裸眼3DディスプレイのHyperViewerが紹介された。HyperViewerは,Aquilion ONEシリーズのオプションとして2013年9月に発表された。Vital Images社の3Dワークステーション「Vitrea」で作成した3D画像を4K×2Kパネルを用いて表示する。HyperViewerは,術前シミュレーションや医学教育分野などへの活用が期待される。
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●MRI:省スペースで設置が可能な1.5T MRIのVantage ElanがITEM初登場
MRI装置本体としては,3T MRIの「Vantage Titan 3T」と昨年の北米放射線学会(RSNA 2013)直前に発表されたVantage Elanが展示された。
Vantage Elanは「きれい,簡単,コンパクト」をコンセプトに開発された同社新製品の1.5T MRI。従来装置から29%省スペース化し,約23m2という最小設置面積を実現した。システム全体の設計を見直し機械室を不要としている。また,クラス最小の25kVAという電源容量と不要な電力消費を抑える“エコモード”により,最大消費電力量を従来機種から約50%削減している。
画質面でも妥協はしていない。高いSNRを得られる“Octave SPEEDER”をオプションで用意。さらに,高精度の位置決めを容易に行える“NeuroLine”“SpineLine”“CardioLine”により,短時間で効率的な検査を可能にしている。このほか,独自の静音化技術である“Pianissimo”を進化させた“Pianissimo Σ”を搭載。被検者の負担を抑えた検査を行える。
このほか,乳房の形状に合わせてコイルを動かして密着させて,高SNRの画像を得られる「ブレストSPEEDER」などが紹介された。
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●X線:術者が直感的に被ばく線量管理を行える“Dose Tracking System(DTS)”やアンギオCTをPR
X線装置関連では,自走式のAquilion PRIME(日本国内薬事未承認)と血管撮影装置「Infinix Celeve-i INFX-8000C」を組み合わせたアンギオCT,X線TV装置の「ZEXIRA FPD1314」,一般撮影装置「MRAD-A50S DST-2000A version」,マンモグラフィ装置「Pe・ru・ru DIGITAL」が展示された。さらに,血管撮影装置に搭載される見えない被ばくを可視化する,DTSが紹介された。術中の皮膚入射線量をリアルタイムに測定して,アニメーションの人体上に,リアルタイムで線量をカラーマップ表示する。視覚的にわかりやすいため,術者が手技中に被検者の被ばく量を意識して,透視時間の短縮化などを図るようになるといったメリットがある。また入射皮膚線量や透視・撮影時間,カラーマップなどの情報を保存できるため,術後に検討するといったことも可能である。
同社は,全社的な取り組みとして被ばく低減に力を入れているが,DTSや“スポット透視”などの血管撮影装置の被ばく低減技術・アプリケーションを“DoseRite”と総称し,来場者にアピールしていた。
血管撮影装置に関連する製品として,動画ネットワークシステムの新製品「CardioAgent Pro」も紹介された。定評のあったレポート機能を強化したほか,動画表示のインターフェイスを見直した。リストからのスピーディな検索による動画表示機能など,効率的な診療を支援する,使い勝手の良いシステムへと進化している。
X線TV装置のZEXIRA FPD1314は,コンソールのモニタを変更した。従来2つのモニタを並べていたが,大型液晶の“スマートワイドモニタ”に変更し,1画面上で撮影画像と透視像を並べて表示できるようになった。これにより,視認性が向上し,効率の良い検査を行える。さらに,新機能として被ばく低減を図るための“パルス透視”を搭載した。
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●US:「Aplio」シリーズが低流速の血流を描出する“SMI(Superb Micro-vascular Imaging)”を搭載
超音波診断装置では,Aplioシリーズの500と300に加え,新製品として2013年5月に発表された「Xario 200」と11月に発表された「Xario 100」の2製品が展示された。
上級機クラスのAplioシリーズには,新機能として非造影でも低流速の血流を画像化するSMIが搭載されたことが発表され,そのデモンストレーションが行われた。SMIは,モーションアーチファクトを解析し,不要なドプラ信号を排除して血流情報だけを画像化する。これにより,造影剤が不適応の被検者でも,非造影での検査を施行することが可能となる。
Xario 200/100はコンパクトな新製品。Xario 200は従来のXarioシリーズと比べて占有面積が約84%,重量が約55%と,大幅なコンパクト化と軽量化を実現している。19インチ液晶モニタを採用し,操作パネルの上下左右の可動域を大きくするなど,使い勝手の良さも特長である。また,電力消費量も約半分に低減した。一方のXario 100は,200の基本性能を引き継ぎながら,日常検査での使いやすさをめざしている。ワンタッチでBモード画質などを最適化する“Quick Scan”やパラメータ設定をワンタッチで行える“Quick Start”など,Xario 200にも搭載されている機能を持ちながら,院内各所を移動して検査を行いやすいデザイン・機能を採用している。
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●ヘルスケアIT:クラウドサービス「Healthcare@Cloud」による「RapideyeCore」のタブレット活用を紹介
PACSのRapideyeCoreと医用画像の外部保存サービスであるHealthcare@Cloudを組み合わせたソリューションを中心にデモンストレーションを行った。RapideyeCoreのオプションとして提供されるHealthcare@Cloudは,自動的にデータセンターへ画像が送信され,クラウドでの容易な医用画像管理を可能とする。さらに,“スマートプリフェッチ”機能によって,データセンターの画像も高速に院内の端末に表示。直近の画像を院内のPACSサーバで保存し,長期保存する過去画像をクラウドサービスに保存するという併用運用により,院内の設備投資を抑えつつ,低コストでフィルムレス環境の構築・運用を行える。
今回のブースでは,Healthcare@Cloudを用いてiPadで遠隔地から画像を参照するソリューションが紹介された。タブレットにデータをダウンロードすることなく画像を表示できるなど高いセキュリティを確保しつつ,利便性の高い画像参照,診断支援が可能となる。
●お問い合わせ先
東芝メディカルシステムズ株式会社
住所:栃木県大田原市下石上1385番地
TEL:0287-26-5100
URL:http://www.toshiba-medical.co.jp/