2021-5-24
根本杏林堂ブース
造影剤自動注入器を中心に,より良い造影検査を実施するためのさまざまなデバイスや技術を提供する根本杏林堂は,CT用注入器「DUAL SHOT GX7」,MRI用注入器「SONIC SHOT 7」,アンギオ用注入器「PRESS DUO elite」の3製品を中心に展示した。いずれもデュアルタイプで,コンソールはタッチパネル式を採用したシンプルな画面デザインとなっており,同様の操作性で直感的に使用することができる。また,医療の世界においては現在,医師の働き方改革に伴い,タスク・シフティングの推進が検討されている。こうした現状を受け,今回の展示では,タスク・シフティングの中で求められる医療安全の確保に貢献するシステムとして,「圧力監視モニター」,「漏れセンサーLD」(共にオプション)などが紹介された。
なお,同社ブースでは今回,代表取締役社長の根本 茂氏のインタビュー記事が,アメリカの“Newsweek”(2021年3月12日号)に掲載されたことが紹介された。同誌では定期的にJapanese “Monodukuri”をテーマに日本の製造会社が取り上げられており,今回は医療機器メーカーの特集として同社が選ばれたという。インタビューで根本氏は,製品開発における理念として,医師との対話を重視する姿勢を強調。また,実際の製品として,アンギオ用注入器PRESS DUO eliteとミキシングチューブ「SPIRAL FLOW」などの写真が掲載された。
●体重を考慮した最適な注入条件を簡単に設定可能なCT用注入器「DUAL SHOT GX7」
DUAL SHOT GX7は,簡単なシリンジセッティングとコンソールのシンプルな操作性を両立させたCT用注入器。部位に応じた注入プロトコールを事前に登録しておけば,検査時には検査部位の選択と患者の体重入力を行うだけで,最適な注入量と注入速度が自動計算される。シリンジの装着は,ワンタッチ式アダプタによりシリンジを軽く回すだけで容易に行えるほか,注入器のヘッド部分にはシリンジに取り付けられているICタグを自動で読み取るICタグ読み取り機能を搭載。これにより,誤った造影剤の使用や空打ち,期限切れのシリンジの使用を防ぐなど安全性にも優れている。さらに,造影検査情報管理システム「CEエビデンスシステム」(オプション)を用いることで,RISから患者情報を取得し,事前に確認すべき過去の副作用履歴や腎機能測定値などが注入器のコンソールに表示されるため,造影検査の安全性が向上する。検査後には,造影検査内容をデータおよび画像化してPACSに送信することで,検査情報の一元管理も可能となる。なお,CTエビデンスシステムは,MRI用注入器SONIC SHOT 7にも対応している。
また,検査の安全性を高めるそのほかのオプションとして,撮影室側でも注入条件を確認できる「圧力監視モニター」や,血管外漏出を検知する「漏れセンサーLD」が紹介された。圧力監視モニターは,注入器本体に装着するヘッドディスプレイで,操作室で設定した注入プロトコールを撮影室側で確認することができる。圧力監視によるルート確認機能が搭載されており,患者の状態を見ながらリアルタイムに圧力波形や速度を確認できる。漏れセンサーLDは,専用パッドと超小型センサーで構成されている。センサーから照射される近赤外線の反射率の違いにより造影剤の漏出を検知できるほか,注入器と連動させることで,異常を検知した場合は注入を自動停止することもできる。現在議論されているタスク・シフティングにおいては,造影検査における診療放射線技師による静脈路の確保が検討されていることから,そのような場合の安全性の確保に貢献する製品となっている。
このほか,新しい注入プロトコールとして,“LDI(Low Dose Injection)”が紹介された。患者の体重から注入速度と造影剤量を自動計算後に,造影剤の濃度を容易にコントロールすることができる。これにより,time enhancement curve(TEC)を維持したまま造影剤の減量が可能となり,腎機能低下例の撮影や低管電圧撮影,dual energy撮影などに有用である。
●完全非磁性体構造で安全・確実なMRI造影検査を実現する「SONIC SHOT 7」
完全非磁性体のインジェクタヘッドを搭載したSONIC SHOT 7は,超音波モーターの採用により,磁場環境に影響を与えることなくMRI装置のすぐそばでも安全に使用することができる。シリンジ製剤ごとに専用のアダプタが用意されており,ワンタッチで簡単に着脱できるほか,装着するとすぐにコンソールに薬剤情報が反映される。また,新機能としてオートプレッサー機能が紹介された。アダプタに搭載された近接センサにより,シリンジをセットすると自動的にプランジャー後端を検出して停止する。これにより, シリンジのセッティングが容易に可能となり,CT造影剤よりも容量の少ないMR造影剤を最適な量で自動注入できる。プロトコールの設定は,CT用注入器と同様に体重入力モードが用意されており,造影剤ごとに体重当たりの必要量を登録しておけば,検査時には患者の体重を入力するだけで造影剤量が自動計算される。
●アンギオ用注入器「PRESS DUO elite」とミキシングチューブ「SPIRAL FLOW」でより質の高いCTライクイメージを提供
アンギオ用注入器のPRESS DUO eliteは,造影剤と生理食塩水の両方を装着可能なデュアルタイプのインジェクタ。コンソール上で希釈割合をコントロールできるため,診療放射線技師が希釈造影剤を作成する手間を削減し,かつ衛生的に検査を行うことができる。希釈割合の表示は,%,倍率,比率での設定が可能で,コンソールの画面表示も非常にわかりやすい。
また,頭部のステントグラフト内挿術やコーンビームCT(CBCT)撮影においては,高濃度造影剤によりストリークアーチファクトが発生するため,その対策として希釈造影剤が用いられる。そこで,今回の展示では,ミキシングチューブSPIRAL FLOWの併用が提案された。SPIRAL FLOWは,独自の流路設計によって内部で乱流を作り出す三次元混合を実現しており,造影剤と生理食塩水が希釈むらなく効率良く混ざり合い,目的とする造影剤濃度を即座に得ることができる。これにより,CBCT撮影においては,より質の高いCTライクイメージの提供に貢献する。
●お問い合わせ先
社名:株式会社根本杏林堂
住所:東京都文京区本郷2-27-20
TEL:03-3818-3541
URL:www.nemoto-do.co.jp