2018-5-7
ザイオソフト/アミンブース
ザイオソフト/アミンは,3D医用画像処理ワークステーション「Ziostation2」の2018年春から夏頃までに登場予定の最新バージョンに搭載される機能やソフトウエアの紹介を中心に展示を構成した。今年のテーマは,“Navigable Intelligent Visualization for Diagnosis and Treatment”。三次元医用画像認識技術「RealiZe」など独自技術を用いた高精度のビジュアライゼーションによって,診断・治療への貢献はもちろん,自動認識などでユーザーの負担を軽減する画像解析ソリューションを提供できることを広くアピールした。ブースでは,昨年のITEM2017で発表したRealiZeテクノロジーが,標準機能や各種ソフトウエアに広く適応され,画像認識や自動処理などの精度が向上したことを紹介した。また,1Kデータ(1024×1024ピクセル)の画像処理に対応した「Ziostation2 1K Premium」などを出展した。
●“コミュニケーション”をキーワードにオープンなブースデザインを採用
ITEM2018のザイオソフト/アミンブースは,デザインのコンセプトを「お客様との対話」として回りを囲う壁をなくして白を基調としたオープンなデザインに一新した。同社は,これまでもITEMでの展示ブースに独創的なデザインを採用して,ディスプレイに関する賞(ディスプレイ産業奨励賞)を受賞するなど,製品のコンセプトを反映したブースデザインで存在感を放ってきた。今回は,ブースの半分以上のスペースを“コミュニケーションエリア”と位置づけ,プレゼンテーションステージやZiostation2の新機能やトピックスを説明するためのタッチパネルディスプレイを複数台設置,より多くの来場者に対応できるようにした。さらに詳しい説明や実機による説明を行うデモスペースはその奥に設けて,多様化するユーザーのニーズに応える工夫を施していた。
●RealiZeテクノロジーを用いた高度な“分離”機能を提供
RealiZeは,“解剖学的認識”と“血管連続性”の2つのアルゴリズムによって形状認識や弁別の精度を高める技術である。これによって従来は難しかった隣接する臓器や血管,骨などの弁別を可能にし,臓器や血管の認識精度を高め自動抽出などの精度を向上し,より多くの領域での対応が可能になった。Ziostation2では,従来から残したい構造物を選択してマスク処理を行うアイソレーター機能を搭載しているが,新たにRealiZeテクノロジーを適用した“分離”機能では,残したい構造物を選択するだけで自動で分離・抽出ができ,さらに不要な部分に除外点を加えることでより高精度な抽出が可能になった。そのほか,RealiZeテクノロジーによって新たに追加されたソフトウエアや,RealiZeテクノロジーの適用でさらに機能強化したソフトウエアを紹介した。
〈非造影血管解析〉
Ziostation2には,造影検査のデータを元に血管解析を行う「血管解析」機能があるが,RealiZeテクノロジーによって非造影データからの血管抽出,血管長や血管径の計測を可能にしたのが「非造影血管解析」である。大動脈瘤のサイズ変化など造影剤の使用が難しい症例でのフォローアップや,ステントグラフト術前計画など造影剤禁忌症例でも,非造影データでの解析が可能になることで患者にやさしい検査を実現する。
〈CT石灰化スコアリング〉
「CT石灰化スコアリング」は,非造影の心臓データからAgatstonスコアなどで冠動脈の石灰化の評価を行うソフトウエアだが,RealiZeテクノロジーを適用することで,冠動脈の自動抽出,石灰化を自動認識して抽出,分離が可能になった。データをオープンすると同時に石灰化を認識し解析まで行う。セグメントごとの石灰化体積,Agatstonスコアを算出し,専用フォーマットでレポートを出力できる。
〈MR冠動脈解析2〉
「MR冠動脈解析2」は,MRIのデータから冠動脈を抽出してCPR,ストレートビュー,短軸像,Flex Surface MIPで表示し,解析が行えるソフトウエア。これについてもRealiZeテクノロジーを適用し,冠動脈の抽出精度を向上し,冠動脈を自動抽出するだけでなくラベリングまで可能になった。
●“大腰筋抽出”など標準機能でサルコペニア診断に対応
高齢社会の進展により,加齢に伴い筋肉が減少するサルコペニアや,身体活動や運動能力が低下するフレイレなどの病態の早期診断が求められている。サルコペニアの診断基準の一つに大腰筋の第3腰椎の位置の断面積を元にする評価方法があるが,Ziostation2では標準機能の「3D解析/4D解析」の“大腰筋抽出”と“マスク面積計測,マスク径計測”で抽出から計測までに対応する。RealiZeテクノロジーの適用で非造影のCTデータから大腰筋の自動抽出が可能になり,さらに“マスク面積計測,マスク径計測”の機能で,2D断面上に表示された大腰筋の面積を自動計測でき,Ziostation2の標準機能でサルコペニアの診断をサポートすることをPRした。
●「4Dサブトラクション」などの精度を向上する非剛体位置合わせなどPhyZiodynamics技術の活用
ザイオソフトの独自技術であるPhyZiodynamicsでは,画像補完,4D動態解析,非剛体位置合わせなどの効果が得られるが,RealiZeと同様にZiostation2のソフトウエアにその技術が反映されている。例えば非剛体位置合わせでは,多時相や異なるフェーズのデータの高精度のフュージョンが可能だが,それにより高精度で正確な計測や解析を可能にする。「4Dサブトラクション」や「computed DWI」「MRダイナミック解析」のパラメトリックイメージングなど多くのソフトウエアで機能を向上していることを紹介した。4Dサブトラクションでは,経時的に撮影された造影CTデータから単純CTデータをサブトラクションすることで4Dの差分データを作成するが,非剛体位置合わせによって4Dのボリュームデータ処理の精度向上に生かされている。
そのほか,3つのアプローチ法(経大腿,経鎖骨下動脈,経心尖)に対応した「TAVR術前プランニング」,緊急塞栓術などIVR手技のルート選択をサポートする「IVRプランニング」など,Ziostation2の特長的なソフトウエアについても紹介した。
●超高精細CTの1Kデータの処理を可能にする「Ziostation2 1K Premium」
超高精細CTなどから出力される1Kデータ(1024×1024サイズ)に対応する「Ziostation2 1K Premium」についても紹介した。Ziostation2をベースに4Kモニタをセットして,高分解能画像への対応や大容量化するデータ処理や転送にも対応できるようにハードウエア,ソフトウエアを強化している。Ziostation2 1K Premiumでは,冠動脈解析,肺野気管支測定,CTサブトラクションの処理が可能になる。高精細データの画像処理によって従来では描出不可能だった構造物の描出や,肺野領域では末梢の気管支までの画像化が可能になった。
●Ziostation2による心臓領域の臨床応用を報告するランチョンセミナーを開催
JRC3日目の4月15日(日)には,学会共催ランチョンセミナー27として「New Horizon of 4D Imaging」をテーマに開催した。高瀬 圭氏(東北大学病院)を座長として,国立循環器病研究センター 放射線部の森田佳明氏が「Ziostation2を用いた心臓MRIの解析と臨床応用」を,東京女子医科大学 画像診断学・核医学講座の長尾充展氏が「心筋CTストレインと冠動脈フローマップで迫る4次元病態解析」を講演した。心臓MRIによるシネMRIや心筋ストレインによる心機能解析,遅延造影やT1マッピングによる心筋性状の解析,CTのCoronary flow imaging(CFI)や3Dストレイン解析など,PhyZiodynamicsを用いたZiostation2による心臓解析の最新の話題が提供された(講演内容はセミナーレポートとして,インナービジョン誌2018年7月号およびインナビネットのザイオソフトスペシャル に掲載予定)。
●お問い合わせ先
ザイオソフト株式会社/アミン株式会社
TEL:03‐5427-1921
URL:https://www.zio.co.jp/