2018-5-2
ケアストリームヘルスブース
ケアストリームヘルスは,2015年にヘルスケアITソリューションの領域に事業をフォーカスし,放射線部門のPACS,レポート,RISや,施設間の情報連携ソリューション,クラウドサービスなど,グローバルでの豊富な実績と技術力をベースにした製品やサービスを提供している。
ITEM2018では,「Unifying Patient-Centered Care.」をテーマに展示を構成。放射線部門システムでは,PACSの「Vue PACS Client」,レポートシステムの「Vue Reporting」,さまざまな業務ワークフローを支援する「CARESTREAM RIS-J」(診断/治療),施設間連携ソリューションでは,異なる施設やベンダーのPACSを統合できる「Vue Connect」,VNAベースのアーカイブ「Vue Archive」,クラウドサービスの「Vue Cloud Service」などをコーナーに分けて展示し,新機能を中心に紹介した。また,今年もブースの前面にはプレゼンテーションステージを設け,同社のヘルスケアIT事業を統括する事業部長が登壇して製品のポイントやサービスの特徴について直接来場者にアピールした。
●ワークステーション一体型で機能を充実した「Vue PACS Client」
PACSでは,2018年4月中にリリースが予定されている最新のバージョン12.2の新機能を含めて紹介した。PACSではプラットフォームをWebベースの環境に順次移行を進めており,新バージョンではログイン画面やリストマネージャの「Vue Explorer」がWeb化された。最終的には,PACSビューワのVue PACS ClientについてもWebアプリ化する予定で,ゼロフットプリントによってより柔軟な運用を可能にして,放射線部門のワークフローの改善に貢献することをめざしている。
今回の展示ではVue PACS Clientの新機能として,“CT/MRパフュージョン&MRディフュージョン”を紹介したほか,新たなタスク管理ツールとして“ワークフローオーケストレーター”を提案した。
〈CT/MRパフュージョン&MRディフュージョン〉
ケアストリームヘルスのPACSは,以前からシリーズ間の画像位置を同期し比較検査を容易にする自動位置合わせ(Registration)の機能を搭載しており,また,循環器領域の解析機能やサブトラクションなどを搭載するなど,ワークステーションの機能を一体にしたビューワの開発を行ってきた。今回,その機能を強化して新たに追加されたのが,CT/MRパフュージョン&MRディフュージョンである。通常はMRI装置のコンソールや専用の画像処理ワークステーションで行う解析を,Vue PACS Clientで可能にしたものだ。救急部門などで専用端末を使えない状況や一刻を争うケースで,読影端末でのパフュージョン/ディフュージョン解析をサポートする。解析では,AIF(動脈入力関数),VOF(静脈入力関数),正中線を自動認識し,カラーマップと解析結果を自動生成することができる。パフュージョンはCTとMRで可能で,CBV,VBF,TTP,MTT,TMIPなどを解析する。MRディフュージョンでは,ADC,eADC,DWI iso,FA,VR,FA dirなどの解析ができる。ROI部分のパラメータの計算や左右のROIの比較,デフォルトのB値を変更して解析し直すことも可能になっている。
〈ワークフローオーケストレーター〉
ワークフローオーケストレーターは,画像検査オーダについて,優先度や端末にログインした読影医の専門性などを考慮して,読影の優先順位を自動決定して検査リストを作成,表示する機能だ。救急症例など臨床的な緊急度,優先度のほか,専門領域にあった症例などを判断して読影医ごとに表示する。読影医の数や専門性に合わせて条件を設定でき,画像診断検査を施設としてトータルにマネジメントすることが可能になる。ワークフローオーケストレーターは,1つの施設だけでなくグループ病院など複数施設が連携した読影業務の運用にも対応しており,画面共有やチャットなど連携のためのツールも装備し,各施設の医師が連携して読影するワークフローにも対応できるのが特長だ。
●日本のユーザーからの要望を反映して機能を向上した「CARESTREAM RIS-J」
ケアストリームヘルスのCARESTREAM RIS-Jは,日本の医療現場の要望を反映して日本で開発されてきた歴史がある。今回のITEM2018では,最新のバージョン3.5の機能を紹介した。RISは,バージョン3で情報共有やリスクマネジメントにポイントをおいて機能を追加しデザインも一新されたが,バージョン3.5ではよりPACSやレポートとの親和性が高められている。RISでは効率的な情報共有,リスクマネジメントなどにポイントを置いた開発が進められており,ブースでは医療安全や情報共有の面で強化された新機能を中心に紹介した。
機能面での改良として,検査リストの画面で一覧から検査室の変更が可能になったことを紹介した。検査リスト上で右クリックで直接変更でき,複数のCTやMRIが導入されている施設での検査装置の変更や,一般撮影室からポータブル撮影への変更などが容易に行えるようになった。そのほか,検査室を未定の状態に変更可能,受付済みから未受付に戻すなど検査ステータスの変更の制限が緩和されたことを紹介した。
また,放射線科医から診療放射線技師への指示出しを行う“プレチェック”では,画面のデザインを変更して視認性を向上した。このプレチェック機能については,撮影指示を行う読影医はRISを使う必要性が低いことから,プレチェックの機能だけを取り出して別アプリ化したことも紹介した。アプリ版のプレチェックでは,指示出しの入力画面と過去の撮影指示内容が1画面で参照できるようになっており,1検査ごとに画面をめくって連続して撮影指示が可能だ。さらに,造影パターンやコメントの定型文の登録機能などを備えている。
また,RI薬剤管理についても機能が向上したことをアピールした。RI検査は病院ごとにワークフローが異なることが多く,施設の運用に合わせてカスタマイズできることもメリットとなっている。
●中屋孝行 氏(代表取締役社長)に聞く
「2016年にヘルスケアITに事業を集中してから丸2年が経過してのITEMの出展になりますが,社内的にもこの2年間で事業の方向性が浸透したことから,ケアストリームヘルスがめざすビジネスのコンセプトが反映された展示になったと実感しています。X線事業からのシフトは大きな経営判断でしたが,ユーザーのニーズが製品の機能やスペックといったハードウエアから,診療や業務の利便性や価値を高めるサービスへと移っており,良いタイミングだったと思います。その中で,われわれがグローバルで展開する豊富なヘルスケアITソリューションを,お客様のメリットを優先にして最適な形で提供できることは大きなアドバンテージです。
ヘルスケアITが病院間の連携や地域へと拡大する中で,われわれの持つクラウドやVNAといったソリューションは,病院のリソースを最適化し情報や知識の偏在を解消して患者中心の医療や福祉の提供に貢献できます。これまでの放射線科や画像診断領域はもちろんですが,今後は病院や施設の経営者層にもさらにアピールしていきたいと考えています」
●Vincent Chan 氏(Asia Pacific Regional General Manager)に聞く
「ケアストリームヘルスのヘルスケアITは,欧米やアジア各国で多くの賞を受賞しており,ユーザーからも高い評価を受けている。PACSについてもいち早くWeb化に取り組むなど先進的なテクノロジーやサービスを数多く開発,製品化しており,これをヘルスケアITビジネスが最も成長している日本市場にもできるだけ早く導入したいと考えている。
われわれの先進的なソリューションの中でも,今回のITEMでも紹介したワークフローオーケストレーターは,すでにアメリカではリリースされており,数十の施設を運営する病院グループに導入され,医師の業務を支援するだけでなく最適な診療をいち早く受けたいという患者のニーズにも応えられるソリューションになっている。もう1つは人工知能(AI)を用いた診療支援にも取り組んでおり,こちらもアメリカではPACSに組み込んで病変の認識や計測などを行うサービスをスタートしている。日本でも今回,ユーザーの医師からAIへの期待の声を多く聞いた。ケアストリームヘルスのアドバンテージは,グローバル企業として日本だけでなく世界各国の多くのユーザーから情報を収集して製品やソリューションの機能の向上に継続的に取り組めることだ。AIについても,そのネットワークと開発リソースを生かして開発を進めて,ユーザーに真に役立つものを提供できると確信しているので期待してほしい」
●お問い合わせ先
ケアストリームヘルス株式会社
住所:〒135-0041 東京都江東区冬木11-17イシマビル
TEL:03-5646-2500
URL:http://www.carestream.jp