ITEM2019 GEヘルスケア・ジャパン ブースレポート 
AI・BIのブランド「Edison」のCT画像再構成アルゴリズム“TrueFidelity”など,“ELEVATING RADIOLOGY”のための製品・サービスを披露


2019-4-24

GEヘルスケア・ジャパン


GEヘルスケア・ジャパンブース

GEヘルスケア・ジャパンブース

GEヘルスケア・ジャパンは今回,ブーステーマに“ELEVATING RADIOLOGY”を掲げた。放射線医学は,画像診断装置の技術革新とともに発展し,臨床に有用な情報をもたらしてきたが,より精密で個々の患者に最適化された医療の提供が求められる現在,その役割は重要性を増している。一方で,放射線医学は,医療従事者の負担軽減や医療機関経営への貢献,さらに日本においては国民医療費の抑制への寄与といった課題を抱えている。今回のITEMでは,このような課題を解決し,放射線医学をさらなる高みへと持ち上げる(elevate)製品・ソリューションを来場者に披露した。
また,同社はITEMに先立つ4月10日(水)に,GEジャパンのエジソンルーム(東京都港区)において,成長戦略発表会を行い,今後の事業展開を説明した。この中で代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏は,同社の強みを生かしたIoTなどのプラットフォームを構築し,さらに研究機関や大学,医療機関,企業とのパートナーシップを推進することで,一人ひとりにあった質の高い医療を効率的に提供する“Precision Health”の実現に貢献していくと述べた。この言葉どおり,2017年には国立循環器病研究センターと次世代病院システムの構築などに関してパートナーシップを締結。また,2018年9月には小倉記念病院と人工知能(AI)を用いた循環器領域の画像診断の共同研究について,11月には倉敷中央病院とブリリアント・ホスピタル構想に関すてパートナーシップの締結を発表した。さらに,企業では,2018年9月に大和ハウス工業と再生医療に関するプラットフォーム提供,2019年2月にゲティンゲグループ・ジャパンとハイブリッド手術室ソリューションについてパートナーシップを締結した。このほかにも慶應義塾大学とAIの実装に向けた研究を進めている。
AIに関するパートナーシップが複数あるように,GEでは,全世界でAIの研究開発とその製品・サービスへの実装を進めている。今回のITEMでは,同社のAI・Business Intelligence(BI)技術搭載製品・サービスのブランド「Edison」を大々的にPRした。Edison Platformで開発されるアプリケーション“Edison Applications”とスマートデバイス“Edison Smart Devices”で構成される。ITEM会場には,GE Healthcareのヘルスケアデジタル部門でマーケティング責任者を務めるDavid Seda氏が来場するなど,日本市場での力の入れ具合を感じさせた。Seda氏は,報道関係者向けにプレゼンテーションを行い,コスト削減や医療安全など,AIによってヘルスケアを変革する可能性に言及。診断,治療,観察などにAI技術を用いて,Precision Healthを実現すると訴えた。
Edison Platformの製品・サービスでは,ディープラーニングを用いたCT画像再構成アルゴリズム“TrueFidelity”を発表した。また,腹部インターベンションを支援するアプリケーション“Liver ASSIST V.I.”のデモンストレーションも行った。ヘルスケアIT関連でも,「Centricity Universal Viewer」で今後搭載する予定の“Imaging Related Clinical Context(IRCC)”を紹介していた。
一方,Edison以外では,前回のITEMに参考出品された新型コイル技術“AIR Technology”を正式に発表。ブランケットのように軽く,柔軟なコイルを多くの来場者が実際に手に取ってその感触を確かめていた。このほか,力を入れているサービスとして,線量最適化支援ソリューション「DoseWatch」のモダリティを絞り込み,容易に導入できるようにした「DoseWatch Starter」など,臨床的な有用性だけでなく,業務マネジメントや医療機関経営にも効果が期待できるサービスも来場者の関心を集めていた。

成長戦略発表会で“Precision Health”に向けた取り組みをアピールする代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏

成長戦略発表会で“Precision Health”に向けた取り組みをアピールする代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏

EdisonをPRしたGE HealthcareのDavid Seda氏

EdisonをPRしたGE HealthcareのDavid Seda氏

 

多くのパートナーシップの下,開発が進められているEdison Platform

多くのパートナーシップの下,開発が進められているEdison Platform

 

●CT:ディープラーニングを用いて開発されたEdison PlatformのCT画像再構成アルゴリズム“TrueFidelity”
●X-Ray:“Virtual Injection”により低被ばく,高精度な手技をサポートする腹部インターベンション用“Liver ASSIST V.I.”
●MRI:ブランケットのような柔軟性で高画質と快適性を両立する“AIR Technology”
●ヘルスケアデジタル・サービス:読影効率を向上する「Centricity Universal Viewer」の“IRCC”を紹介
●US:「LOGIQ」シリーズのハイエンド機「LOGIQ E10」やプライマリケアに対応する「Vscan Extend R2」,循環器領域向け「Vivid E95」など幅広いニーズに応える製品ラインアップをPR
●MI:呼吸による動きへのデジタル自動体動補正機能を搭載した半導体検出器搭載PET/CT「Discovery MI-AM edition」と研究から臨床まで幅広いニーズに応える核医学診断装置「800シリーズ」をPR

 

●CT:ディープラーニングを用いて開発されたEdison PlatformのCT画像再構成アルゴリズム“TrueFidelity”

CTの展示エリアで最も注目を浴びていたのが,Edison Platformで開発されたCT画像再構成技アルゴリズム“TrueFidelity”である。今回のITEMに合わせて発表した,GEヘルスケア・ジャパンが最も力を入れてPRした展示の一つだ。
TrueFidelityは,ディープラーニングを用いて開発されており,従来の画像再構成技術とは一線を画している。CTの画像再構成技術は,近年医療被ばくへの社会的な関心が高まる中,低線量でも高画質を得るために,各社が力を入れて開発を進めてきた。GEでは,画像再構成技術として“ASiR”や“Veo”,両者を組み合わせた“ASiR-V”をCTに搭載し,医療被ばくの低減の貢献してきた。しかしながら,従来の画像再構成技術を用いたCT画像は,画質が読影する医師にとって違和感のあるテクスチャとなってしまい,特にノイズを低減すればするほど,その傾向が強くなってしまうという課題があった。
そこで,TrueFidelityでは,1970年代からCTを市場に送り出してきたGEがこれまで培ってきた画像再構成技術と,蓄積してきた画像データが生かされている。日本のエンジニアも参加しており,日本をはじめ,世界中の医師からのフィードバックを基に,FBP法で高線量で撮影した診断に適した画像を教師画像としてディープラーニングを行った。これにより,大幅に線量を落としても,高線量で撮影を行ったような鮮明な画質を得ることができる。また,全身の撮影に適用できるのも,TrueFidelityの特長である。特に,高い密度分解能が要求される頭部や腹部領域の検査で,画質を維持しつつノイズを低減し,読影する医師の負担軽減や診断能の向上に寄与する。放射線被ばくの感受性が高い小児検査でも大幅な被ばく低減が可能となる。
TrueFidelityは,ハイエンド装置の「Revolution CT」に搭載可能である。オプションとして提供されるほか,すでにRevolution CTを導入している施設には,アップグレードで対応する。Revolution CTは,RSNA 2013で発表され,2014年のITEMでお披露目された。高画質,ワイドカバレッジ,ハイスピードをコンセプトに開発され,その後,dual energy CT技術“GSI Xtream”を搭載するなど,進化を続けている。今回のTrueFidelityへの対応も,Revolution CTの大きな進化と言えるだろう。

Edison Platformの“TrueFidelity”

Edison Platformの“TrueFidelity”

 

“TrueFidelity”(右)は大幅にノイズ低減を実現

“TrueFidelity”(右)は大幅にノイズ低減を実現

 

“TrueFidelity”が搭載可能な「Revolution CT」

“TrueFidelity”が搭載可能な「Revolution CT」

 

●X-Ray:“Virtual Injection”により低被ばく,高精度な手技をサポートする腹部インターベンション用“Liver ASSIST V.I.”

X線撮影装置関連でもEdisonの搭載が進んでいる。今回のブースでは,Edison PlatformにおけるBI技術を用いて開発された腹部インターベンション用のアプリケーション“Liver ASSIST V.I.”のデモンストレーションが行われた。“V.I.”は“Virtual Injection”の略。肝動脈化学塞栓療法(TACE)における塞栓ポイントを仮想的にシミュレーションして,確認できるソフトウエアで,同社の「Advantage Workstation VS7」で使用できる。コーンビームCTの3D画像データから骨と血管の分離や,栄養血管の抽出を自動的に行う。従来のTACEでは,これらの作業をインターベンション医(IVR医)や診療放射線技師などが手動で行いながら,インターベンション医が塞栓ポイントを決めるために,時間をかけて検討しながら手技を進めていた。また,塞栓ポイントを確定させるための追加撮影を要することもあった。Liver ASSIST V.I.では,これらの手動で行っていた作業をワンクリックで自動的に処理する。これにより,手技の精度を高めるともに治療効果も向上。さらに,時間短縮や被ばく低減が図れる。海外からの報告では,栄養血管特定における感度が97%,肝がんの奏効率がDSAの36%に比べ68%に向上,TACEの治療時間が11%短縮したというデータもある。このほかにも,血管撮影装置で造影剤が染まらない腫瘍に対して,造影MRIの画像とフュージョンさせて栄養血管を特定することも検討されている。
血管撮影装置のアプリケーションとしては,“INTERACT Active Tracker”もPRされた。超音波装置の画面上で,コーンビームCT画像から作成した3D画像と超音波画像をフュージョンして,同期しながら肝がんのラジオ波焼灼術(RFA)における穿刺をガイドする。このアプリケーションは,まず患者の皮膚面に位置情報を測定するセンサ「omniTRAX」(製造:米国ジブコメディカルインスツルメンツ,販売:センチュリーメディカル)を配置してコーンビームCTを撮影する。そのデータから自動的に超音波画像とフュージョンしてモニタ上に並列表示する。従来は,センサがコーンビームCT画像の再構成画像領域内に収まっていなければ利用できなかったが,INTERACT Active Trackerは,センサが回転撮影範囲内にある程度カバーされていれば,そのデータから自動的に超音波画像とフュージョンしてモニタ上に並列表示できる。さらに同機能を使うことで,術前に撮影したCTやMRI,PETの画像ともフュージョンが可能になり,手技の精度を高めることができる。さらに,INTERACT Active Trackerは,術前に撮影したCTやMRI,PETの画像ともフュージョンが可能である。
なお,Liver ASSIST V.I.とINTERACT Active Trackerは,同社の血管撮影装置「Innova IGS」シリーズに対応している。
このほか,同社の血管撮影装置に関する最近のトピックとしては,2019年2月に,ハイブリッド手術向けに「Discovery IGS 7 OR」を発売したことが挙げられる。ゲティンゲグループ・ジャパンとのパートナーシップにより開発されたDiscovery IGS 7 ORは,ゲティンゲグループ・ジャパンの「マグナス手術台」を採用。Cアームと手術台,固定具などが完全に同期して稼働する。また,自走式のCアームにより,手術室天井の空調を妨げることなく清潔な室内を保つことできる。SIDは129cmで,広い開口径を実現。安全かつ術者の手技を妨げない設計となっている。
このほか,Women's Healthのコーナーでは,デジタルマンモグラフィの「Senographe Pristina」が展示された。照明や丸みを持たせたデザインで,被検者の不安や負担を軽減。術者が操作やポジショニングを行いやすい設計にもなっている。トモシンセシスにはオプションで対応。一度検査を受けた被検者から,「またこの装置で検査を受けたい」と指名を受けるなど,高評価を得ている。

TACEでの的確な塞栓ポイントを自動的に示す“Liver ASSIST V.I.”

TACEでの的確な塞栓ポイントを自動的に示す“Liver ASSIST V.I.”

 

ハイブリッド手術室向けの「Discovery IGS 7 OR」(2019年2月6日,ゲティンゲグループ・ジャパンとの共同記者説明会より)

ハイブリッド手術室向けの「Discovery IGS 7 OR」
(2019年2月6日,ゲティンゲグループ・ジャパンとの共同記者説明会より)

 

被検者からも高評価を得ている「Senographe Pristina」

被検者からも高評価を得ている「Senographe Pristina」

 

●MRI:ブランケットのような柔軟性で高画質と快適性を両立する“AIR Technology”

Edisonとともに,もう一つ同社のブースで注目を浴びていたのが,MRIの最新コイル技術“AIR Technology”である。歴史と実績のあるGEのMRIだが,開発陣の慧眼が,今までにない新しいコイルを創造したと言えるだろう。RSNA 2017で発表され,前回のITEMでも話題を呼んだAIR Technologyがいよいよ製品版として登場した。AIRとは,“Adaptive Imaging Receive”の略で,従来のコイルと比べて,“空気”を連想するような軽量化を実現している。開発に当たっては,素材など多くの技術を刷新。細くて柔軟性のとんだ“INCAワイヤ”や,省電力でシンプルな回路の“e-Modeプリアンプ”を採用した。
この新しいコイル設計により,従来のフェイズドアレイコイルで発生していたコイル素子間での電気的干渉を大幅に低減。腹部や四肢に対応する“AIR Anterior Arrayコイル”では,コイルを基板に固定する必要がなくなり,柔軟性を確保。折り曲げたり,畳んだりすることが可能なブランケットのようなコイルに仕上がった。これによって,身体に密着させられるようになったほか,部位によらず装着できるようになり,被検者の負担も大幅に軽減する。また,密着性が高まることで,画質も向上する。さらに,コイル素子数は増加しているものの1チャンネル当たり45gという軽量設計となっており,従来に比べて60%以上の軽量化を実現している。
このAIR Technologyは,頭部用の“48ch AIR Headコイル”もラインアップしている。被検者の頭部のサイズに応じて厚さ3cmのスペーサーを入れることができ,非磁性体の酸素マスクをした状態での撮像が可能になるなど検査の適応を広げ,被検者の負担軽減も図れる。さらに,ブース内では,技術コンセプトとして,ジャケットタイプや術中MRIで使用できるタイプ(W.I.P.)などを展示。今後のバリエーション拡大の可能性を示した。AIR Technologyは,現在,3T MRI「SIGNA Architect」と「SIGNA Pioneer」に対応している。
このほか,MRIのコーナーでは,歪みの低減・補正を行うDWIのアプリケーション“MUSE”と“PROGRES”を紹介した。MUSEは,ショットごとの位相ズレを補正することで,歪みを抑えた高分解能画像を得ることが可能である。一方,PROGRESは,B0の不均一などが原因で生じる画像の歪みを補正する。これらのアプリケーションは,今後リリースを予定しているソフトウエアの最新バージョン“DV27”に搭載される。

“INCAワイヤ”など“AIR Technology”の革新的な技術を展示

“INCAワイヤ”など“AIR Technology”の革新的な技術を展示

 

軽量かつ柔軟性に富み,画質向上も期待できる“AIR Anterior Arrayコイル”

軽量かつ柔軟性に富み,画質向上も期待できる“AIR Anterior Arrayコイル”

 

スペーサーにより被検者の適応を広げる“48ch AIR Headコイル”

スペーサーにより被検者の適応を広げる“48ch AIR Headコイル”

 

DWIにおける画像の歪みを補正し高画質する“PROGRES”

DWIにおける画像の歪みを補正し高画質する“PROGRES”

 

●ヘルスケアデジタル・サービス:読影効率を向上する「Centricity Universal Viewer」の“IRCC”を紹介

ヘルスケアデジタル製品でもEdison Platformによる技術開発が進んでいる。今回のITEMでは,今後「Centricity Universal Viewer」への搭載を予定しているEdison Applicationsの“Imaging Related Clinical Context(IRCC)”を紹介した。
ピッツバーグ大学と共同開発したIRCCは,RSNA 2018でも紹介され,大いに注目を浴びた。その最大の特長は,読影に必要となる診療情報をレポート画面上に自動的に表示することである。通常の読影業務では,電子カルテや病理検査レポートなどの各種の診療情報を,読影医が必要に応じて各システムにアクセスしていた。そのため,情報を参照するまでに時間を要し,非効率となっていた。一方,IRCCは,ディープラーニングなどのAIを用いて,読影リスト上にある被検者の診療情報を各システムから自動的に収集してレポート画面上に展開できるようにした。これにより,煩雑だった読影業務の効率化が図れる。さらに,電子カルテなどの文字情報を解析して,被検者の重症度や読影の緊急性に応じ,優先順位づけをしてリストに表示する。Centricity Universal Viewerには,以前からAIにより,読影医ごとに目的や好みに応じたレイアウトを作成する“Smart Reading Protocol(SRP)”を搭載し,読影業務の効率化に寄与してきた。IRCCは,さらに業務効率を向上するだけでなく,診断の質やレポートの記載内容の充実などのメリットも期待される。
このほか,ヘルスケアデジタル関連では,同社が推進している「OCDB(Open Connect Database)」をPRした。OCDBは,VNAの発想を一歩前に進めたもので,医療機関内の画像データを基幹システムで一元管理し,複数の異なるベンダーのシステムやワークステーションに公開。各ビューワやワークステーションに高速配信するものである。画像配信に時間を要するDICOM通信よりも速やかに画像を表示できるだけでなく,システムやワークステーションの更新においても,データ移行作業などが原則発生せず,長期間にわたり,画像データを医療機関の資産として運用できる。また,医師は,目的や自分の好みにあったビューワを使用することも可能になる。ブース内では,京都プロメド,ファインデックスの協力を得て,両社のビューワでも画像を高速表示できるベンダーフリーのソリューションであることをPRしていた。
一方,サービスのコーナーでは,2020年4月からの線量管理・記録の義務化に向けて,「DoseWatch」を紹介した。今回のITEMでは,線量管理システムに対する来場者の関心が高かったが,同社では早期から線量最適化支援ソリューションのDoseWatchを展開し,全世界で900施設の稼働実績を持っている。今回は新たに提供が始まった「DoseWatch Starter」を来場者にアピールした。DoseWatchはCT,血管撮影装置,SPECT,PET,マンモグラフィ,外科用CアームX線撮影装置,X線透視撮影装置に対応していたが,DoseWatch Starterはモダリティを絞り込み,2020年4月に線量管理が義務化されるCT,血管撮影装置,SPECT,PETを対象とした。DICOM RDSR,DICOM tag,DICOM MPPSのデータをPACS経由または直接DoseWatchのサーバに収集してモニタリングする。被検者ごとの線量管理や,閾値を超えた場合のアラート機能,各種の分析が行える。また,オプションとして,SSDE,臓器線量,CT撮影品質評価,血管撮影装置の皮膚線量マップ作成機能が提供される。
このほかにも,同社が推し進める「ブリリアント・ホスピタル構想」において提供されるコンサルティングサービス「アセット・パフォーマンス・マネジメント(APM)」と「クリニカル・パフォーマンス・マネジメント(CPM)」のPRも行われた。さらに,独自のデジタルツイン技術でCTのX線管の故障を事前に予測し,ダウンタイムを最小限に抑える「X線管故障予兆サービス」,また,それら故障予兆の内容と効果,およびモダリティの稼働履歴やメンテナンス情報をベンチマークと共に可視化する「iCenter」など,放射線部門のマネジメントや医療機関経営に資するソリューションも紹介された。

「Centricity Universal Viewer」への搭載を予定している“Imaging Related Clinical Context(IRCC)”

「Centricity Universal Viewer」への搭載を予定している“Imaging Related Clinical Context(IRCC)”

 

京都プロメドなど他社のビューワを展示しOCDBのオープン性をアピール

京都プロメドなど他社のビューワを展示しOCDBのオープン性をアピール

 

導入・運用コストを抑えた線量最適化支援ソリューション「DoseWatch Starter」

導入・運用コストを抑えた線量最適化支援ソリューション「DoseWatch Starter」

 

「ブリリアント・ホスピタル構想」において提供される「アセット・パフォーマンス・マネジメント(APM)」と「クリニカル・パフォーマンス・マネジメント(CPM)」

「ブリリアント・ホスピタル構想」において提供される「アセット・パフォーマンス・マネジメント(APM)」と「クリニカル・パフォーマンス・マネジメント(CPM)」

 

「iCenter」でモダリティの運用状況を見える化

「iCenter」でモダリティの運用状況を見える化

 

●US:「LOGIQ」シリーズのハイエンド機「LOGIQ E10」やプライマリケアに対応する「Vscan Extend R2」,循環器領域向け「Vivid E95」など幅広いニーズに応える製品ラインアップをPR

超音波診断装置では,2018年6月に発表された汎用装置のハイエンド機「LOGIQ E10」,11月にリリースされたポケットタイプ「Vscan Extend R2」がITEMで初披露された。さらに,新開発のプローブ「4Vc-D」が搭載された循環器領域向けの「Vivid E95 R3」を展示。ユーザーニーズに応える幅広い製品ラインアップを有することをアピールした。
LOGIQ E10は,エヌビディアのGPUを搭載。従来ハードウエアに依存していた画像処理をソフトウエア上で行えるイメージフォーマー技術“cSound”を採用した。これにより,多方向の超音波データから画像処理を行い,ピクセルレベルでフルフォーカスの画像が得られるようになった。高性能GPUの搭載は,データ処理の高速化や分解能の向上にも寄与する。さらに,組み合わされる「XDclear」プローブによって深部の感度が良くなり,浅部から深部まで均一な高分解能画像を得られる。これらの技術的特徴によって,従来困難だった膵がんの検出能の改善などが期待される。また,フルフォーカスのため,微小な病変の検出が容易になり,医師のストレスを軽減するとともに,検査時間の短縮や業務の効率化を図れる。cSoundは,血流表示のアプリケーションである“B-Flow”の性能向上にもメリットをもたらすほか,“Shear Wave Elastography”の高速化にも貢献する。
「Vscan Extend R2」は,プライマリケアのニーズに応える装置である。2010年に登場した初代「Vscan」は,日本国内でも6500台以上が販売されるなどヒット作となり,2017年にはスマートフォン型の「Vscan Extend」が登場。本体にはタッチ操作が可能な5インチのディスプレイを採用し,450gという軽量化を実現している。リニア・セクタのプローブを1本にまとめるなど,利便性の高さが臨床現場からは評価されている。その新バージョンのVscan Extend R2は,自動画像最適化機能(Auto Optimize)など多くのアプリケーションを搭載している。
もう1台展示された「Vivid E95」は,従来製品からブラッシュアップが図られ,小型化されたプローブ「4Vc-D」を採用した。この4Vc-Dは日野工場で製造されている。循環器領域では,構造的心疾患(SHD)治療が増加しているが,それを踏まえて,新たにCTとのフュージョン機能を搭載した。さらに,左心室の機能を解析するアプリケーション“AFI 2.0”などが使用できる。

エヌビディアのGPU搭載によりフルフォーカスを実現した「LOGIQ E10」

エヌビディアのGPU搭載によりフルフォーカスを実現した「LOGIQ E10」

 

「LOGIQ E10」に組み合わせる「XDclear」の新型プローブ「L2-9VN」

「LOGIQ E10」に組み合わせる「XDclear」の新型プローブ「L2-9VN」

 

アプリケーションが強化された「Vscan Extend R2」

アプリケーションが強化された「Vscan Extend R2」

 

「Vivid E95」には,CT画像とのフュージョン機能を搭載

「Vivid E95」には,CT画像とのフュージョン機能を搭載

 

4Dイメージングが可能なプローブ「4Vc-D」

4Dイメージングが可能なプローブ「4Vc-D」

 

●MI:呼吸による動きへのデジタル自動体動補正機能を搭載した半導体検出器搭載PET/CT「Discovery MI-AM edition」と研究から臨床まで幅広いニーズに応える核医学診断装置「800シリーズ」をPR

核医学コーナーでは,2018年11月に発表された最新のPET/CT「Discovery MI-AM edition」が展示された。GEヘルスケア・ジャパンでは,2016年に国内で初めて半導体検出器を搭載したPET/CT「Discovery MI」を発表した。半導体検出器“LightBurst Digital Detector”は,TOF時間分解能を従来検出器から大幅に向上させて,解像度を2倍に引き上げた。また,新開発の“コンプトン散乱リカバリー”によって,感度と雑音等価計数率(NECR)が約20%上昇。これまでの約半分の時間での検査を可能にした。加えて,独自の画像再構成技術である“Q.Clear”を搭載し,高い定量精度とSNRを実現している。さらに,今回展示された,Discovery MI-AM editionでは,呼吸性の体動を自動補正する“Advanced MotionFree”を搭載し,さらなる画質の向上を図っている。Advanced MotionFreeは,PETのraw dataから呼吸性の動きを抽出し補正することが可能で,外部呼吸監視システムが不要となる。定量精度が約30%向上し,呼吸性移動による空間分解能の劣化が約67%改善するなど,診断に寄与するほか,検査を行うスタッフの業務負担が軽減し,被検者にとっても外部呼吸監視システムのマーカーが不要となり自然な体位で検査を受けられるというメリットがある。さらに,検査時間を約20%短縮することも可能である。
一方,SPECTでは,2018年8月に発表された「800シリーズ」が紹介された。感度と分解能を向上する“SwiftScan”を搭載したことでSPECT収集時間を約25%短縮でき,さらに感度を約20%引き上げることが可能である。研究から臨床までの幅広いニーズに対応できるよう,5製品をラインアップ。最上位クラスのSPECT/CT「NM/CT 870 CZT」は,CZT(テルル化亜鉛カドミウム)検出器したSPECTと16/32スライスCTを搭載した。CZT検出器は高エネルギー分解能によりノイズを押さえたコントラスト分解能を実現。臨床だけではなくセラノスティクスに向けた研究に適した装置である。また,「NM/CT 870」と「NM/CT 860」はSPECT/CTで,それぞれ診断用の16/32スライスCTと8/16スライスCTを搭載。NM/CT 870はCZT検出器へのアップグレードが可能である。さらに,8スライスの吸収補正用CTを搭載する「NM/CT 850」,SPECT「NM 830」が用意されている。

“Advanced MotionFree”搭載のPET/CT「Discovery MI-AM edition」

“Advanced MotionFree”搭載のPET/CT「Discovery MI-AM edition」

 

「NM/CT 870 CZT」に搭載されるCZT半導体検出器

「NM/CT 870 CZT」に搭載されるCZT半導体検出器

 

●お問い合わせ先
社名:GEヘルスケア・ジャパン株式会社
住所:東京都日野市旭が丘4-7-127
TEL:0120-202-021
URL:http://www3.gehealthcare.co.jp/ja-JP

GEヘルスケア・ジャパン


TOP