ITEM2018 GEヘルスケア・ジャパン ブースレポート
“Partners for Better Health”をテーマに,「SIGNA」ブランドの系譜に連なる新型MRIや“AIR Technology”コイルなどで,ITEM会場の話題をさらう
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2018-4-26
GEヘルスケア・ジャパンブース
GEヘルスケア・ジャパンは,“Partners for Better Health”をテーマに掲げて,パートナー(顧客・患者)にメリットをもたらす最新製品・技術を中心に展示。市場における同社技術の優位性を来場者にアピールした。同社を含め,ワールドワイドでのGEヘルスケアでは,北米放射線学会(RSNA)などの機器展示において,近年このテーマ用いている。医療機関をパートナーとして位置づけ,臨床や経営において最良のアウトカムをもたらすソリューションの提供をめざしており,ハード・ソフトウエアともに,そのための開発を進めている。
ITEMに先立つ2018年4月11日には,恒例となった成長戦略発表会を開催した。多田荘一郎代表取締役社長兼CEOがプレゼンテーションを行い,同社のプラットフォームと顧客とのパートナーシップを強化するとアナウンスした。同社は2017年にアカデミック本部,2018年にはパートナー営業本部,グループ病院統括部を発足させ,顧客の施設規模や運営形態にきめ細かく対応するための組織変更を行っている。特に,大学病院や研究機関などのアカデミアとの協力関係を強く推進してきた。今後は,IoTの技術などの同社の強みを生かしたプラットフォームと,アカデミアとの連携といったパートナーシップによるエコシステムの構築をめざす。さらに,プレシジョンヘルスに向けては,検査から診断,治療,予後に至るまで,人工知能(AI)技術などを用いたソリューションを提供するとしている。アカデミアとの協業に関しては,2017年から2018年にかけて,国立循環器病研究センター,慶應義塾大学,東北大学,九州大学・日本医学放射線学会との共同研究などを行っている。成長戦略発表会当日も,2017年3月に次世代病院情報システム構築とオープンイノベーション推進のパートナーシップを締結した国立循環器病研究センターの小川久雄理事長が,現状や同社への期待について講演した。
ITEMでは,このような研究を支える新製品・技術が数多く登場した。MRIでは,伝統ある「SIGNA」ブランドの1.5T装置「SIGNA Voyager G2」と「SIGNA Artist」の2台に加え,画期的なコイル技術である“AIR Technology”が紹介された。また,CTではX線管・検出器などを刷新した128スライスの「Revolution Frontier」を展示。このほか,検診施設向けのマンモグラフィ「Senographe Crystal Nova」も新製品として注目を集めた。
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●MRI:MRIコイルの白眉“AIR Technology”が注目を集めたほか,“SIGNA Works”搭載の1.5T MRI2製品を発表
●CT:新製品「Revolution Frontier」や“Gemstone Spectral Imaging”などプレシジョンヘルスを支えるCT技術をPR
●X-ray:新型マンモグラフィ「Senographe Crystal Nova」が登場したほか,血管撮影装置の治療支援技術を紹介
●US:「FibroScan」とshear wave erastographyが可能な「LOGIQ S8 FS」や,救急,在宅などPOCUS向け製品を展示
●MI:「セラノスティックス」への応用に向けた取り組みと日本でのPET1号機受注25周年の実績をアピール
●ヘルスケアデジタル:「Centricity Universal Viewer」の新バージョンや「OCDB」「Applied Intelligence」によるデータ管理・活用を提案
●サービス:線量の最適化を図れる「DoseWatch」や故障予兆サービス,モダリティの稼働率を可視化する「iCenter」を紹介
●MRI:MRIコイルの白眉“AIR Technology”が注目を集めたほか,“SIGNA Works”搭載の1.5T MRI2製品を発表
MRIのコーナーでは,2016年,2017年のRSNAで話題を呼んだ最新コイル技術であるAIR Technologyが,満を持してITEM会場で披露された。今までの体幹部のコイルと言えば,ウレタン素材で体にフィットさせにくい硬さがあったが,AIR Technologyでは大幅に小型化した基盤と細いワイヤの組み合わせにより,ブランケットのように柔らかくすることができた。重量も,従来のコイルは1チャンネルあたり175gであったが,45gという軽量化を実現している。さらに,コイル素子同士がオーバーラップ,アンダーラップの状態であっても効率的に信号を収集するため,フェイズドアレイコイルよりもコイル素子の密度を高くでき,深部の感度が向上。多チャンネル化が可能となった。この技術によって,48チャンネルの頭部コイルでは,スペーサーを入れてサイズを変更でき,被検者に体格に合わせた検査が行える。また,体幹部用のコイルは,柔らかさを生かして被検者の体に密着させることができ,画質の向上にも寄与する。このAIR Technologyは,まず3T MRIから搭載される予定で,48チャンネルヘッドコイルのみ,すでに「SIGNA Architect」のオプションとして展開されている。
また,ITEMに合わせてMRIが2機種発表された。「SIGNA Voyager G2」と「SIGNA Artist」で,ともに1.5T装置である。このうち,ITEM会場内ではSIGNA Voyager G2が展示された。SIGNA Voyager G2は,2016年に11月に発売されたSIGNA Voyagerの後継機種。G2は第2世代(Generation 2)を意味する。初代は,日本の技術者が開発に携わり,国内ユーザーの声を取り入れた,まさに“Partners for Better Health”を体現した装置であった。G2は,初代同様ガントリの開口径が70cmというワイド設計。寝台の幅も56cmという広さを確保している。これにより,大きな体格の被検者でも安心・快適な検査環境を実現した。また,寝台の昇降において最低高を52cmとして,高齢者や小児でも乗り降りをしやすくした。一方で,マグネットには,静磁場均一性,傾斜磁場,RFというMRIの性能に重要な3要素に最新技術を採用。高画質を得ることができる。また,“インテリタッチ”により,テーブルサイドに触れるだけで撮像中心の設定ができるので,セッティングが容易になり,検査のスループットが向上する。
もう1台の新製品であるSIGNA Artistは,研究用途にも対応する1.5T MRIのハイエンド装置。ガントリ開口径は70cmとなっている。第2世代のデジタルRF技術である“TDI(Total・Digital・Imaging)”により,高いSNRを実現。高分解能画像が得られる。寝台は脱着式のものを採用している。
今回発表された両機種とも,画質,スピード,ワークフローを向上し,MRI検査の生産性を向上させるプラットフォーム“SIGNA Works”を搭載する。SIGNA Worksは,頭頸部用“NeuroWorks”,体幹部用の“BodyWorks”,循環器領域用の“CVWorks”といった領域別に加え,MRI検査の生産性を向上させる高速撮像のアプリケーションが用意されている。“HyperWorks”と名付けられた高速撮像のアプリケーション群のうち“HyperSense”は,圧縮センシング(compressed sensing:CS)とパラレルイメージング法の“ARC”を組み合わせたもので,体動補正技術の“PROPELLER MB”を併用した場合に30〜50%程度,3D撮像の場合に50%以上,画質を損なうことなく撮像時間の短縮が可能である。また,局所ボリューム撮像技術の“HyperCube”も,FOVを絞った高速撮像により高分解能画像が得られるアプリケーションである。さらに,“HyperBand”は,マルチバンドRF励起技術を用いたアプリケーションで,拡散強調画像の撮像において多断面を同時に隆起させることでスキャン時間を短縮する。
このほか,SIGNA Worksには,静音化撮像技術の“SilentWorks”,心臓領域向けアプリケーションとして3D心筋シネ画像を高速撮像する“Vios3D”とVios3Dに血流情報を追加した“Vios4D”,また頭部領域で複数のコントラスト画像を一度に得られる“MAGiC”やコンソール上で高度な解析を行える“READYView”などのアプリケーション群“ImageWorks”がある。
●CT:新製品「Revolution Frontier」や“Gemstone Spectral Imaging”などプレシジョンヘルスを支えるCT技術をPR
CTコーナーでは,「最新テクノロジーでCTにおける“個別化医療”を支えます」というテーマを掲げて,高分解能,高画質,dual energy CTの技術でプレシジョンヘルスをサポートしていく姿勢を示した。最新装置「Revolution Frontier」が展示されたほか,新サービス「e.Box(Smart Subscription)」,dual energy CT技術の“Gemstone Spectral Imaging(GSI)”などをPRし,来場者の関心を集めた。
2017年のRSNAで発表されたRevolution Frontierは,「Revolution」ファミリーでは,トップエンドの「Revolution CT」に続くハイエンド級の装置。X線管,検出器,再構成エンジンなどを刷新した。128列,幅40mmの検出器“Gemstone Clarity Detector”は,従来のものより小型になり,フルデジタル技術によりノイズを抑えたほか,個々の検出器モジュールを斜めにレイアウトすることで散乱線を低減し,高画質化が図られている。また,新開発のX線管“Performix HD Plus”は,ボールベアリングに代わるベアリング技術として,軸に細かなスリットを入れ,そこに液体金属を流す仕組みにして熱耐性を高めた。これにより,X線管の耐久性が従来の2倍となり,寿命を延ばすことができる。信頼性も向上し,長期間にわたって安定稼働する。さらに,Revolution Frontierは高精細モードの撮影が可能であり,空間分解能0.23mmの超高精細画像を得られる。
今回紹介されたe.Box(Smart Subscription)は,高価なCTを陳腐化させず長期間使用するための新サービス。CT本体と同時に導入されるコンソールを貸与形式にすることで,常に最新のアプリケーションが利用できるよう,自動的にソフトウエアが更新される。オプションのアプリケーションも導入後に変更可能なほか,CT本体を更新した後も使用することができる。また,コンソールPCが新しいアプリケーションに対応していない場合は,PCも更新する。まずは,国内で300台以上が稼働している「Optima CT660」を対象に,5月末からサービスを開始する。これにより,Optima CT660でも,逐次近似応用再構成法“ASiR-V”や金属アーチファクトを低減する“Smart MAR”などが使用できるようになる。近年,国内の医療機関におけるCTのライフサイクルの平均が10年を超えて長期化しており,このe.Box(Smart Subscription)によって常に最新の装置と同等の機能を使用できるようになるため,臨床,経営の両面で大きなメリットがあると言える。
また,dual energy CT技術のGSIも,ユーザーからの症例画像を紹介するなど,大々的にPRが行われた。dual energy CTは臨床現場に普及しつつあり,その適応も広がっている。今回は,「Advantage Workstation」に搭載された肝臓の脂肪占有率測定用のアプリケーション“GSI Live Fat”のデモンストレーションも行われた。
このほか,CTコーナーでは,ユーザーのインターネット投票によるイメージコンテストの作品がディスプレイで紹介されていた。
●X-ray:新型マンモグラフィ「Senographe Crystal Nova」が登場したほか,血管撮影装置の治療支援技術を紹介
X線撮影装置関連では,ITEM直前に発表されたマンモグラフィの新製品「Senographe Crystal Nova」がお披露目された。Senographe Crystal Novaは,高スループットがセールスポイントの検診施設向け装置。上位機種である「Senographe Pristina」で採用された角に丸みを持たせたブッキーなど,被検者が感じる痛みや不快感を軽減するデザインを踏襲しているほか,高い検出量子効率を持つ検出器,パラメータの自動最適化による線量低減などの技術を受け継いでいる。さらに,Senographe Crystal Novaは,撮影件数の多い検診施設での使用を考慮した設計となっている。ガントリの駆動を見直し,従来装置から横幅40%,奥行き20%の省スペース化を実現。従来装置で2m確保する必要のあった幅を1mに抑えた。また,ガントリの横に設けられた“ネクストボタン”によってコンソールと装置を往復する手間を省くことができ,被検者と向き合いながら自動的にポジショニングを行える。これにより,検査時間が今までの2/3に短縮できる。従来の装置では1時間の検査数が最大12件であったが,Senographe Crystal Novaでは18人まで増やせるという。検査数の増加にもつながり,経営面でも効果が得られる。
このほか,マンモグラフィ関連では,「Senographe Pristina」にオプションで追加できる自己圧迫機能“Self-Compression”も関心を呼んだ。Self-Compressionは,被検者自身がコントローラで圧迫を調整できる機能である。これにより,検査者だけが圧迫を行うよりも,強く圧をかけることができ,画質が向上する。また,被検者の満足度も高くなるという結果が出ている。
一方,また,血管撮影装置に関しては,Interventionalのコーナーにおいて,肝動脈化学塞栓療法(TACE)などのインターベンションを支援する技術などが紹介された。その1つである“myIQ”は,2D画像を術者にとって最適な画質にカスタマイズできる技術である。新開発の画像処理技術により,血管やデバイスのコントラスト・鮮鋭度の調整,オートピクセルシフトの設定をテーブルサイドで手技中に行える。また,“Liver Care”ソリューションとして,コーンビームCTでの呼吸性体動によるアーチファクトをワンクリニックで抑制し,微細な栄養血管を高精度で描出する“Motion Freeze”が紹介された。栄養血管の同定が容易になり,再撮影を減少させ,造影剤の低減にもつながる,高齢化に伴い息止めが困難な患者にTACEを施行する場合などに有用なアプリケーションである。さらに,このMotion Freezeを用いたコーンビームCTのMIP画像やVR画像から栄養血管を自動抽出し緑色に色づけして表示する“Flight Plan for Liver(FPFL)”も紹介された。Motion FreezeとFPFLの組み合わせで栄養血管を抽出する精度が向上し,TACEの手技に寄与する。また,ワンクリックで金属アーチファクトを低減する“MAR(Metal Artifact Reduction)”もPRされた。MARを適用することで簡単な操作で10mm以上の金属でもアーチファクトを抑制した明瞭な画像を得られる。
このほか,Interventionalのコーナーでは,「Innova IGS ASSIST」シリーズに搭載される“ASSIST”アプリケーションを体験できるコーナーが設けられた。
●US:「FibroScan」とshear wave erastographyが可能な「LOGIQ S8 FS」や,救急,在宅などPOCUS向け製品を展示
USのコーナーでは,フランスEchosens社製「FibroScan」を搭載した「LOGIQ S8 FS」と,POCUSの製品として,ポケットタイプ超音波診断装置「Vscan Extend」,救急領域向けの「Venue」を展示した。
2017年11月に発表されたLOGIQ S8 FSは,LOGIQ S8にFibroScanを組み合わせた装置で,1台でFibroScanによる肝硬度測定とshear wave elastographyによる肝臓の硬さの評価が可能である。わが国では近年,生活習慣の変化などにより脂肪肝が増加しているが,脂肪肝から線維化が進み,肝硬変,肝臓がんとなることから,早期の肝硬度測定は重要である。このような背景から,2016年度診療報酬改定では,超音波エラストグラフィによる肝硬度の測定に200点の加算が新設された。LOGIQ S8 FSでは,FibroScanでの数値の測定結果に加え,超音波エラストグラフィ画像を1回の検査で取得でき,検査を効率化できるほか,FibroScanの設置スペースが不要となる。また,CTやMR画像とフュージョンし,リアルタイムで同期させながら穿刺などの手技を支援する“Volume Navigation”機能,心エコー検査おいて新機能の定量解析を行える“AFI(Automated Function Imaging)”を搭載している。さらに,「LOGIQ 7」と比べ重量が65%軽量化,メインキャビネットのボリュームが80%小型化されており,バッテリー駆動も可能なモバイルハイエンド装置に仕上がっている。
ポケットタイプのVscan Extendは,2017年7月に発売が開始された。前機種は国内の販売実績が5000台を超えるヒット装置で,在宅医療や救急医療,ベッドサイドなど,POCUSで好評を得てきた。Vscan ExtendもPOCUSでの使用を想定しており,待機状態からの起動時間が1秒という高速化を実現。撮像データをWi-Fiでサーバに送信できるようにした。また,タッチパネル操作に対応した液晶モニタは,前機種の3.5インチから大型化を図って5インチとなり,より画像を観察しやすくなった。寸法は168mm(縦)x76mm(横)x 22mm(奥行き)で,プローブを含めた重量は441gとなっている。
もう1台展示された「Venue」は,救急領域での使用に特化した装置。デザインも検査者が立ったまま行うことを想定した作り込みがなされている。フラットな9インチのタッチパネルモニタを採用。モニタの可動域も広く,救急において複数のスタッフが同時に画像を観察しやすくした。このモニタは前面に凹凸がないため,清掃がしやすいのもメリットである。さらに,モニタ上部にプローブホルダを配置。立ったままで取り出しやすく,プローブのケーブルが床に接地せず,踏んだり,ほかの医療機器のキャスターに巻き込まれたりして断線することがないよう配慮されている。また,バッテリーで4時間動作する。アプリケーションとしては,心エコーにおける時間速度積分値(VTI)を自動計測する“Automated VTI”や下静脈(IVC)径をリアルタイムで表示する“Automated IVC”,肺病変の診断においてB-lineの自動カウントを行う“Automated B-line”を搭載している。
●MI:「セラノスティックス」への応用に向けた取り組みと日本でのPET1号機受注25周年の実績をアピール
モレキュラーイメージング(核医学)のコーナーでは,“Seeking True Discovery”をテーマに掲げて展示を構成した。近年,核医学の分野では,治療と診断を融合する「セラノスティックス(Theranostics:therapyとdiagnosticsを組み合わせた造語)」 が注目を集めている。例えば,がんの治療薬に放射性核種を標識して,治療薬の集積や治療効果をPET/CT,SPECT/CTで観察するといった研究が行われている。GEヘルスケアでも,前立腺がんに対する177Lu-PSMA,神経内分泌腫瘍に対する68Ga-DOTA-TOCなどの研究を進めている。セラノスティックスでは,治療効果を判定するために定量精度や信頼性,再現性,安定性が重要であるが,それに応える技術として,半導体技術やPET/CTの画像再構成技術“Q.Clear”,SPECT/CTの画像再構成技術“Q.Metrix”が紹介された。
ブースに展示された半導体検出器搭載のPET/CT「Discovery MI」は,2016年8月に発売された。半導体検出器“LightBurst Digital Detector”を搭載し,高時間分解能による撮像時間の短縮と高画質,低被ばくを実現している。また,Discovery MIにも搭載されているQ.Clearは,逐次近似画像再構成法を用いたもので,ノイズを抑えて画質を向上させつつ,高精度かつ再現性のある安定したSUV値を算出。治療効果の判定が使用できる。一方,“Q.Metrixは,SPECTとCTのそれぞれのデータから臓器を立体的にセグメンテーションして,定量解析を行える。
このほか,2018年は同社が日本国内でのPET1号機を福井大学から受注して25周年となることがPRされた。以降,2003年には国内初のPET/CT「Discovery LS」,2016年には初の半導体検出器搭載PET/CTのDiscovery MIを発売し,この分野を牽引してきた。また,サイクロトロンから薬剤合成装置,診断装置(PET/CT,SPECT/CT,PET/MR),解析装置に至るまで自社と関連企業ですべてカバーできる体制がある。今回は,そうした強みもアピールされた。
●ヘルスケアデジタル:「Centricity Universal Viewer」の新バージョンや「OCDB」「Applied Intelligence」によるデータ管理・活用を提案
ヘルスケアデジタルのコーナーでは,画像ビューワの「Centricity Universal Viewer」の新バージョンや従来のVNAを進化させ,オープンな環境でのデータ管理を行う「OCDB(Open Connect Database)」,データ分析サービスの「Applied Intelligence」のデモンストレーションが行われ,効率的な診断環境や新しいデータ管理・活用方法が提案された。
Centricity Universal Viewerの新バージョンとなる「6.0/SP8」では,乳腺領域の診断のためのアプリケーション“Native Breast Imaging”が追加された。Native Breast Imagingは,2Dマンモグラフィ画像に加え,トモシンセシス画像やMR画像,超音波画像を1画面上に同時に表示することが可能である。従来,マンモグラフィは専用のビューワで読影することが多かった。しかし,高濃度乳房では超音波診断装置,遺伝性乳がんではMRIの有用性が高いことから,近年,複数のモダリティを組み合わせて診断するようになってきた。そこで,Native Breast Imagingでは,複数のモダリティの画像をワンストップで読影できるようにした。Centricity Universal Viewerでは,このほかにも比較読影時にスライス位置を自動的に位置合わせする“Image Registration”,表示レイアウトを学習する“Smart Reading Protocol”といった特徴的な機能を搭載している。
同社が推進する新しいデータ管理の手法であるOCDBも注目を集めた。近年,医用画像データの管理として,システムごとのサーバではなく,ベンダーに依存しない共有のサーバで統合的に保管するvendor neutral Archive(VNA)の導入が進んでいる。しかし,DICOM規格では,交換規約が多いためデータ取得に時間がかかるという課題があった。そこで,OCDBでは,DICOM規格を用いずにデータを取得できるようした。これにより,医師のニーズに合わせて,ベンダーを問わずビューワや画像処理ワークステーションに医用画像を高速表示する。また,特定のベンダーのシステムからデータを移行できないベンダーロックインを防ぎ,医用画像という資産を長期にわたり管理していくことが可能となる。OCDBは,筑波大学附属病院や大阪国際がんセンターでも構築され,2018年4月にはコンソーシアム(http://www.ocdb-consortium.jp
)が設立されたおり,今後さらに普及していくと予想される。
2017年8月に発表したApplied Intelligenceは,すでに,4施設で導入されている。RISやモダリティから検査のプロトコールや待ち時間,稼働率,入院・外来比率,紹介検査などの情報を収集して,“ダッシュボード”と呼ばれる画面上で,グラフなどによりわかりやすく業務を可視化する。医療機関はこのデータを基に,モダリティの有効活用や待ち時間解消などの改善策を講じることができる。放射線部門の分析については,“Radiology Analytics”と銘打ったパッケージソリューションとして提供される。
●サービス:線量の最適化を図れる「DoseWatch」や故障予兆サービス,モダリティの稼働率を可視化する「iCenter」を紹介
サービスでは,オンラインで得られたモダリティのデータを用いて,放射線部門の安全管理や効率的な運用を支援するソリューションが紹介された。
線量最適化ソリューションとして紹介されたDoseWatchは,CT,X線撮影装置から線量データを取得し,患者別や検査種別などのデータを表示する。医療機関内で定めた閾値を超えた検査の場合はアラートを出して知らせる。他社のモダリティのデータも同じように取得できるので,放射線部門全体での線量管理が可能となる。2018年度の診療報酬改定で新設された画像診断管理加算3では,線量管理が施設基準の一つとなっており,今後線量管理はますます重要になると予想され,DoseWatchのようなソリューションの普及が進むだろう。
また,故障予兆サービスは,装置から得られるデータを解析して,故障が起きる前に部品の交換などを行うものである。これにより,システムダウンを防ぎ,検査の遅延や延期をなくせる。
iCenterは,モダリティから取得した患者や診療科,プロトコールなどの検査データをグラフ表示する。このデータを基に効率的な検査体制に改善し,モダリティの稼働率を向上させることができる。現在は,CTとMRIに対応している。
このほか,同社MRIの最新プラットフォームを継続的に使用できる「Continuity」も紹介された。コンソールのPCを契約期間中に1回更新することができる。MRI本体をリプレースせずに最新のアプリケーションを使用でき,コストを抑えつつ,ワークフローや生産性を向上できる。
●お問い合わせ先
社名:GEヘルスケア・ジャパン株式会社
住所:〒191-8503 東京都日野市旭が丘4-7-127
TEL:0120-202-021
URL:http://www3.gehealthcare.co.jp/ja-jp/forms/inquiry