ITEM2017 ザイオソフト / アミン ブースレポート
新たな三次元医用画像認識技術“RealiZe”を搭載したZiostation2の新バージョンの先進機能を紹介
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2017-4-28
ザイオソフト/アミンブース
ザイオソフト/アミンは,3D医用画像処理ワークステーションである「Ziostation2」について,近くリリース予定の新バージョンのアプリケーションや機能を中心に展示を行った。多くの実機による説明のほか,ブース内のステージでのプレゼンテーションなどで来場者にアピールした。同社は,毎年ブースデザインにもさまざまな意匠と工夫を凝らしているが,今年は例年のブラック基調から木目調を取り入れ,天井も吹き抜けにするなど,落ち着いた雰囲気と開放感を演出していた。
Ziostation2の新バージョンでは,同社の独自技術であるPhyZiodynamicsに加え,新たな三次元医用画像認識技術である“RealiZe”によって,血管や臓器の認識精度を高め,再構成や解析の効率化,さらに検査のワークフローを向上する新機能やアプリケーションを搭載している。そのほか,次世代の画像表示コンセプトモデルとして,最新のヘッドマウントディスプレイ(HoloLens)を使った3D画像の観察法を参考展示として提案した。
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●血管や器官の高精度の自動認識を可能にする画像認識技術“RealiZe”
Ziostation2に新たに搭載された三次元医用画像認識技術RealiZeは,“解剖学的認識アルゴリズム”と“血管連続性アルゴリズム”によって血管や臓器,骨などの精度の高い抽出を可能にする。従来のCT値を利用したセグメンテーションだけでは,臓器の複雑な形状や隣り合った血管走行の分離や認識には限界があった。RealiZeでは,解剖学的認識アルゴリズムによって,血管や臓器などの解剖学的な認識をもとに分離する器官を正確に判断する。さらに,血管連続性アルゴリズムでは,血管を特定しさらに血液の流れを認識して,起始部から末梢血管まで連続性を正確に追跡することができる。
Ziostation2の新バージョンでは,さまざまなプロトコールにRealiZeの技術が反映されており,さらに精度が向上し,画質だけでなくワークフローの向上にも貢献することをアピールした。
〈肺動静脈分離〉
Ziostation2の標準搭載機能である「CT肺動静脈分離」で,RealiZeによって複数時相の撮影データではなく,1相撮影のデータから動静脈分離を可能にする。これによって,造影剤量の低減や撮影時間の短縮など患者負担の低減やワークフローの改善などが期待できる。CT肺動静脈分離では,肺野,気管支,肺動脈,肺静脈を抽出したVR表示や腫瘍などのフュージョンが可能だが,RealiZeによって動静脈を自動分離し,血管マスクの入れ替え機能などによって画像修正なども少ないステップで短時間で可能になっている。
〈大腰筋抽出〉
標準搭載機能「3D解析/4D解析」では,RealiZeによって非造影の組織や筋肉,骨などの高精度な抽出が可能になった。椎骨の任意の骨をワンクリックで分離・抽出したり,大腰筋の非造影での抽出も可能になる。運動能力の判定に使われる大腰筋のボリューム計測も容易に行える。そのほか,腎臓や肝臓などでも精度の高い抽出が可能になることを紹介した。
〈肺葉分割〉
RealiZeでは,新たに肺葉を認識して五葉分割が可能になった。肺がん手術などで,術前に必要な肺葉の容積把握や切除後の肺機能などの正確な把握が可能になる。「CT肺野・気管支測定」は,肺野領域のデータから気管支,肺,肺気腫を自動で抽出し,気管支のパス抽出やLAVなどもワンクリックで自動表示できるが,RealiZeによって肺葉分割機能が搭載された。
〈頭部MRA解析〉
標準搭載の「頭部MRA解析」では,RealiZeによって頭部MRAのデータから携帯を認識し,血管のMIP画像観察に適したマスクの自動生成,前方と後方の血管の分離などを自動で行う。これまで手動で行われてきたMRA画像作成を自動化し,作業時間を大きく短縮する。
また,PhyZiodynamicsは,これまではCT画像に対する適用だったが,新たにMRIのシネ撮像にも対応した。「MRマルチフェーズ3D」では,PhyZiodynamicsにより位相間を細かく再構成することで,より自然な動態画像の観察が行える。また,画質を低下させずにノイズを低減することも可能になる。
●Ziostation2:最新バージョンに搭載される最新のプロトコールを紹介
近く登場予定のZiostation2の最新バージョンで利用可能になるアプリケーションについても,実機で紹介した。上記のRealiZeの搭載のほか,さまざまな機能強化やユーザーのニーズに対応した新しいプロトコールが追加されている。
〈CT気管支ナビゲーション〉
CT気管支ナビゲーションは,肺野領域のCTデータから気管支を自動抽出,病変などターゲットまでのパスをワンクリックで作成し,MPR像と合成した仮想内視鏡画像での観察を可能にする。気管支内視鏡の術前シミュレーションや術中におけるルート確認などをサポートする。RealiZeによって気管支を亜区域枝領域まで認識し,ラベリングまで可能にする。
〈VAL-MAPプラニング〉
VAL-MAP(Virtual Assisted Lung Mapping)は,微小肺病変に対する外科的手術の際に切除領域を示す“印”をつける手法として東京大学医学部附属病院呼吸器外科の佐藤雅昭氏が開発した。肺のCT画像から作成したバーチャル気管支鏡画像をガイドとして,気管支鏡を用いて切除範囲を示すマーキング(インジゴカルミンという染料を使用)を複数箇所に行う。肺の表面に複数のマーカーがつくことで角度や相対的距離といった位置情報を与えることができ,正確で迅速な切除が行える。「VAL-MAPプラニング」では,気管支の自動抽出,パスの作成,仮想気管支鏡画像などによって,マーキングのシミュレーションを可能にする。
〈CT心筋ECV解析〉
Ziostation2では,心臓MRIのT1値の計測,マッピングからECV(心筋組織細胞外液分画)の定量評価が可能な「MR心筋T1マッピング」が提供されているが,CTの遅延造影データからECV解析を行うのが「CT心筋ECV解析」である。CT心筋ECV解析では,遅延造影データを利用して,左室心筋の軸と内膜・外膜を自動抽出し,遅延造影と単純フェーズのデータを非剛体位置合わせによってレジストレーションし,遅延造影効果を算出する。複数フェーズの画像を非剛体位置合わせを行うことで位置ズレのないデータで計算することが可能で,正確なECVの算出が可能になる。
〈マルチステーション結合〉
マルチステーション結合は,whole body diffusion(WB-DWI,全身拡散強調画像)などの作成の際に,数回に分けて撮像された複数の画像をつなぎ合わせて全身画像を作成するアプリケーションである。2つ以上のステーションの画像を読み込み,自動位置合わせを行い,同一コントラストへの自動調整を行う。結合後の画像に対してMIP画像の作成や任意のスライス厚でのシネ画像の作成も可能になる。自動前処理機能によって,データ受信から結合,DICOMデータとしての出力まで自動作成が行える。
このほか,肺葉分割機能の搭載,肺区域切除・部分切除の術前シミュレーションをサポートする「CT肺切除解析2」,「CT心筋遅延造影解析」「IVRプランニング」「4Dサブトラクション」などが新アプリケーションとして紹介された。
●マイクロソフトのHoloLensを利用した“Real Navigator typeⅡ”を参考展示(W.I.P.)
ブース内では,参考展示としてマイクロソフト社の“Mixed Reality”を可能にするヘッドマウントディスプレイであるHoloLensを使った“Real Navigator typeⅡ”を披露した。複数のモダリティをフュージョンするZiostation2の「マルチデータフュージョン」で作成した画像を,HoloLensを使って現実空間に投影する“AR(Augmented Reality,拡張現実技術)”によって,3D画像表示の可能性を示すことがねらい。展示では,脳動静脈分離された3D画像が,脳の模型上に重なって表示されるデモを行っていた。
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●呼吸器領域におけるPhyZiodynamicsの臨床応用のランチョンセミナーを開催
JRC2日目の4月15日(土)には,学会共催ランチョンセミナー16「New Horizon of 4D Imaging」を開催した。森谷浩史氏(大原綜合病院)を座長として,さいたま赤十字病院放射線治療科の塚本信宏氏が「4Dモーション解析を利用した呼吸追尾放射線治療計画」を,琉球大学大学院医学研究科放射線診断治療学講座の山城恒雄氏が「閉塞性肺疾患の呼吸生理イメージング:PhyZiodynamicsを用いた呼吸ダイナミックCTの解析」を講演した。Ziostation2の新バージョンでは,CT気管支ナビゲーションやCT肺切除解析2など呼吸器領域のアプリケーションが数多くラインアップされているが,ランチョンセミナーでも呼吸器領域でのPhyZiodynamicsを用いた4D解析の臨床応用について,満員の参加者が熱心に耳を傾けていた(講演の詳細については,インナービジョン誌2017年7月号目次裏企画『Front Vision』およびインナビネットのザイオソフトスペシャル に掲載予定)。
●お問い合わせ先
ザイオソフト株式会社/アミン株式会社
TEL:03‐5427-1921
URL:http://www.zio.co.jp/
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