ITEM2017 コニカミノルタジャパン ブースレポート
第三世代「AeroDR fine」など,限界,領域,想像を超える新製品・新技術を来場者に披露
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2017-4-28
コニカミノルタジャパンブース
「Imaging Beyond Imagination 限界を超える,領域を超える,そして想像を超える」をテーマに掲げたコニカミノルタジャパンは,X線撮影装置(DR),ヘルスケアIT,超音波診断装置という,ヘルスケア事業の主要3分野を中心に展示を構成した。ブース内は,製品分野ごとに分けられ,各コーナーのディスプレイ上部には番号が割り振られ,来場者にわかりやすくした。
2017年の展示テーマは,X線画像処理など,コニカミノルタのコア技術をベースとした技術力で限界を超えて新しい価値をつくり,検査・診断だけにとどまらず治療分野へと領域を超えて価値を提供するという姿勢を表している。前回のITEMでは,「ミライ,ミセル,コニカミノルタ」をテーマにした展示を行ったが,今回はその“ミライ”が,“想像を超える”現実となり,新製品・技術が来場者に披露された。
現実となった“ミライ”として,最も来場者の関心を集めたのが,2016年のRSNAでも話題を呼んだワイヤレスタイプの可搬型DR「AeroDR fine」である。ブース内では,最も広い面積を用意して,AeroDR fineに合わせて開発された画像処理エンジン“REALISM”などの最新技術が紹介された。また,X線画像処理としては,胸部X線画像診断を支援する“経時差分処理”と“Bone Suppression処理”のデモンストレーションが行われた。一方,ヘルスケアITのコーナーでは,病院向けのソリューションとして「NEOVISTA I-PACS CS」による医用画像の統合管理,「NEOVISTA I-PACS CX」の高機能ビューワをPR。診療所向けのソリューションでは,「infomity」の新サービスを紹介した。超音波診断装置では,2016年に新バージョン機がリリースされた「SONIMAGE HS1」や「SNiBLE」,ハイエンドクラス「Aixplorer」が展示された。
このほか,ブース内には女性医療のコーナーを設置。画像診断ワークステーション「NEOVISTA I-PACS MAMMO SERIES」のCAD機能を用いた乳がん診断のソリューションのデモンストレーションを行った。
●DR:世界最高レベルの解像度を実現したワイヤレスタイプの可搬型DRのAeroDR fineが登場
ブース内で注目を集めたのが,ワイヤレスタイプの可搬型DRのAeroDR fineである。日本国内で2011年4月に発表され,1万台以上出荷しているAeroDRの第三世代に位置づけられる。半切サイズ(14インチ×17インチ)FPDで,画素サイズ100μmとし,世界最高レベルの解像度を実現。従来のFPDよりもさらに高精細な画像を撮影できるようになった。これにより,整形領域の手指骨画像などで微細な病変を描出し,精度の高い診断を行える。高精細画像を必要としない検査では,データ量を増やさないように200μmに切り替えて撮影もできる。また,低被ばくでの撮影が可能なのもAeroDR fineの特長である。従来のAeroDRもX線光子検出効率と広いダイナミックレンジにより,フィルムやCRの約半分のX線照射量で高画質画像を得られていたが,AeroDR fineではCRと比べX線照射量を約62%低減。さらに低被ばく撮影が可能になった。
また,AeroDR fineは筐体デザインも刷新している。女性の診療放射線技師でも容易に持ち運びができるよう背面パネルに凹凸を設けて指がかかりやすくした。これにより,力を入れずに持てるようになった。耐荷重は,点荷重が180kg,面荷重が400kgと,加重や落下,衝撃に強い堅牢性を確保。防水性能は強い噴流水の水圧にも影響を受けないIPX6を実現している。また,バッテリには劣化しにくく,リチウムイオンのように発火の危険性がないリチウムイオンキャパシタを採用。救急や手術,災害医療といった医療現場でも信頼性が高く,安全に使用することができる。
ブース内では,コンソール「CS-7」と組み合わせたワークフローも紹介された。CS-7には,ジェイマックシステム社のRIS「ACTRIS」が組み込まれており,被検者や検査情報の取得から検査実施,画像確認までがシームレスに行われる。特にワイヤレスの特長を生かした病棟での撮影において,ノートPC型のCS-7 Portableを一緒に持ち運ぶことで,より効率的に検査を施行できる。
AeroDR fineの登場に合わせて開発されたのが,新画像処理エンジンのREALISMである。REALISMは,周波数強調処理における空間フィルタ処理の改良により微細な構造物を高い鮮鋭度で描出し,ダイナミックレンジの圧縮周波数の最適化したことで立体的な構造物を立体感のある画像で表現する。さらに,複雑なエッジパターンも選択的平滑化できるようにして,粒状性に優れた画像を提供するAeroDR fineの能力を最大限に生かす画像処理となっている。
画像処理アプリケーションとして紹介された経時差分処理は,胸部X線画像の過去と今回データを自動的に位置合わせして,その変化を強調して表示する。これにより,病変部が検出しやすくなるなど,診断を支援する。比較する2つの画像の装置が異なっていても処理が可能である。また,Bone Suppression処理は,胸部の鎖骨や肋骨の信号の減弱処理を行い,目立たなくすることで,骨に隠れていた異常陰影などの見やすくした。両アプリケーションともに,病院向けPACSのNEOVISTA I-PACSシリーズに搭載できるほか,診療所向けのサービスであるinfomityでオプションとして提供される。
このほか,DR関連では,胸部動態解析技術(薬機法未承認)について紹介を行っていた。
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●ヘルスケアIT:医療情報の統合管理するNEOVISTA I-PACS CSやNEOVISTA I-PACS CXの多機能ビューワで診断を強力に支援
ヘルスケアITのコーナーでは,病院向けPACSのNEOVISTA I-PACSシリーズのデモンストレーションが行われた。NEOVISTA I-PACS CSは,被検者ごとに,放射線科をはじめとした各種検査の画像やPDFなどの文書類を時系列にマトリックス表示する。また,リスト表示やカレンダー表示も可能である。医療機関内にある各種情報を統合管理し,NEOVISTA I-PACS CS画面上のサムネイルから,参照画像の表示や,別のシステムを連携して起動できる。ビューワはWebベースで開発されており,Webブラウザがインストール端末ならば利用することが可能。NEOVISTA I-PACS CSのサーバに接続できる環境ならば,施設外からの参照も可能というメリットもある。
NEOVISTA I-PACS CXは,施設内だけでなく,連携先の施設の画像も集中管理できるデータ共有ソリューションが用意されている。NEOVISTA I-PACS CXのサーバと連携先施設のキャッシュサーバをVPNで結び,両施設で画像データの参照が可能である。これにより,低コストで情報共有が行え,また画像やレポートなどのデータをNEOVISTA I-PACS CXで一元管理でき,効率的な運用につながる。連携先施設は自施設のPACSを運用しながら,利用できるのも特長である。
さらに,NEOVISTA I-PACS CXの高機能ビューワは,通常の2D画像に加え,VR画像の作成やトモシンセシスなどのマンモグラフィの読影も可能。歯科画像や心電計の波形データの表示・計測にも対応する。データセンターを使った外部保管サービスとして,「データバンクアーカイビング」もあり,コストを抑えて医用画像管理を行える。
一方,診療所向けサービスであるinfomityは,コンソール・ビューワ・画像ファイリングの一体型システム「Unitea」のデータをリアルタイムでバックアップする「データバンクサービス」,患者紹介や検査依頼・結果,読影依頼・レポートなど,診療所と病院間の連携をサポートする「連携BOXサービス」,外出先から画像を参照できる「連携BOXモバイルサービス」など,豊富なサービスがある。「骨密度測定サービス」や経時差分処理,Bone Suppression処理といった,医師の診断を支援する機能も充実。ブース内では,連携BOXサービスとデータ出入力システム「ID-680HM」を用いた検診ソリューションなどを紹介していた。
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●US:POC超音波,プライマリケアで実績を伸ばすSONIMAGE HS1やSNiBLE
コニカミノルタジャパンは近年,超音波診断装置のラインナップを充実させるなど,事業を強化している。2013年にはパナソニックヘルスケアから超音波診断装置事業が譲渡され,2015年からはフランスのスーパーソニックイマジン社のAixplorerの国内独占販売を行っている。
その中でも,整形領域をはじめ,POC超音波やプライマリケアにおいて高い評価を得ているのが,SONIMAGE HS1である。2014年に発表されたSONIMAGE HS1は,X線撮影装置の開発で培われた画像処理技術とパナソニックヘルスケアの超音波診断装置技術をベースに,両方の技術的特長を組み合わせて開発された。独自開発の音響素材を用い,高感度化・広帯域化を図ったプローブによる“広帯域ハーモニックイメージング”や,高分解能を実現する“HS処理”を採用。HS処理は微小な筋束や神経束,線維構造を描出することが可能である。2014年のグッドデザイン賞受賞にもつながった操作性の良さも特長で,テーブルに配置されたキーは8個だけにして,そのほかはタッチパネル操作としたことにより,被検者から目を離さず操作できるようにした。2016年には新バージョンが発表され,浅部から深部までに対応したリニアプローブ「L11-3」のほか,アクセスしにくい部位なども走査しやすいリニアプローブ「HL18-4」,コンベックスプローブ「MC10-3」,体腔内プローブ「EC-9」など4種類のプローブがラインアップに加わった。また,画面レイアウトなど50項目以上の改良を行い,操作性を向上している。ほかにも,精度の高い穿刺を支援する“穿刺針強調表示”も搭載している。
SONIMAGE HS1をベースに,各領域に特化した製品もラインアップしている。整形領域向けには,SNiBLEを用意。内科向けには機能を絞り込んだ「SONIMAGE HS1 PRO」がある。
また,Aixplorerは,ハイエンドクラスの超音波診断装置。最大の特長は,剪断波の伝播速度を測定して,組織の硬さをカラーマップ表示するエラストグラフィ機能“ShearWave Elastography”である。肝臓のエラストグラフィではStability Index表示ができ,精度の高い測定が可能。硬度は800kPaまで対応し,筋肉や腱といった硬い組織でもエラストグラフィが行え,整形領域での有用性も高い。このほか,同一断面でのBモードとエラストグラフィ,血流表示が可能な“TriVu Imaging”,低速血流を描出できる“Angio PL.U.S.”といった,ハイエンド装置にふさわしい機能を搭載している。
超音波診断装置のコーナーでは,ポケットタイプの「SONIMAGE P3」も展示された。本体(ディスプレイユニット)は縦11.5cm,横6.8cmで,重量は392g。救急医療や在宅医療などでも使用しやすいサイズが特長である。
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●女性医療:NEOVISTA I-PACS MAMMO SERIESや小線源治療アプリケーター「SAVI」など検診から治療までのソリューションを紹介
女性医療のコーナーでは,乳がん検診から精査,治療までの流れの中で同社が提供する製品の紹介を行った。「I-PACS CX マンモビューワライセンス」と「I-PACS EX マンモオプション」をラインアップするNEOVISTA I-PACS MAMMO SERIESは,高速表示を特長とするワークステーション。超高精細画像でもスピーディに表示し,ストレスを感じさせない。読影者に併せて画面レイアウトを設定するハンギングプロトコールを採用したほか,微小石灰化クラスタと腫瘤陰影を検出するCADシステム「NEOVISTA I-PACS CAD typeM」と組み合わせて運用できる。ブース内では,超音波併用乳がん検診におけるCADの活用について,武部晃司氏(たけべ乳腺外科クリニック)が取り組んでいる“CAD navigated US screening”のビデオが上映された。
また,SAVIは,乳房温存療法後の小線源治療に使用される。通常,全乳房照射は5〜6週間の治療期間が必要となるが,小線源治療では1日2回の照射を5日間,合計10回実施するだけでよく,患者の早期社会復帰につながる。手術でがんを切除した腔にSAVIを留置し,カテーテルを介して線源を入れて照射を行う。患者への負担も少なくQOLの向上につながる製品である。
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●周辺機器:MRI対応生体情報モニタリングシステムやジェネリック造影剤など,検査環境の安全性や経済性に貢献する製品も展示
周辺機器としては,フィリップス社製のMRI対応生体情報モニタリングシステム「Expression MR200」が展示された。3T MRIに対応しており,ガウス制限は1500ガウス。SpO2,ECG,血圧が測定でき,オプションでEtCO2も可能となる。タッチパネルを採用しており,直感的な操作が行える。
このほか,ジェネリック造影剤,高精度な放射線治療のための位置合わせ用「Gold Anchorマーカ」も展示した。
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●お問い合わせ先
コニカミノルタジャパン株式会社
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TEL:03-6324-1080
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