日立メディコグループ3社による
フルモダリティ展示となった会場
クリニックのためのITソリューション
特設コーナー“Digital Clinic”
クリニック向け電子カルテシステム「Hi-SEED」(右,「べてらん君コラボ」を搭載)とマルチスタイル画像システム「NV-Light」(左)
コンパクト化により前方確認が容易になった「Sirius Ubiquitas 2」
片手での操作が可能な
「Radnext PLUS」
「ImageConcier」左画面上部が
診療データコックピット
操作性を追求した
1.5T MRI「ECHELON RX」
64列マルチスライスCT
「SCENARIA」
2D・3Dの画像を同時収集可能な
「SELENIA Dimensions」
超音波診断装置の最上位機種
「HI VISION Ascendus」と
「prosound α7」
セミナー会場
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(株)日立メディコ,日立メディカルコンピュータ(株),日立アロカメディカル(株)の日立メディコグループ3社が,2011年11月12日(土)にベルサール秋葉原(東京都千代田区)にて「MEDICONNECTION in 秋葉原」を開催した。
「MEDICONNECTION」は,同社の最新製品や最新医療ソリューションを紹介するプライベートショーで,9月の大阪での開催に続き2回目となる。今回は3社共同開催となったことから,CTやMRI,X線装置,PACSに加え,超音波装置や電子カルテなどを加えたフルモダリティ展示が実現し,実機によるデモンストレーションが行われた。また,展示会場の隣では,主にクリニックを対象とした「日立メディカルITセミナー」も行われ,会場は多くの来場者でにぎわった。
今回注目を集めていたのが,3社の最先端技術を結集させたクリニックのためのITソリューション特設コーナー“Digital Clinic”である。
同コーナーでは,電子カルテシステム「Hi-SEED」「Doctor-SEEDi」,レセプトチェック「べてらん君コラボ」(以上,日立メディカルコンピュータ社),マルチスタイル画像システム「NV-Light」(日立メディコ社),超音波診断装置「HI VISION Avius」,「prosound α6」,骨塩量測定装置「DCS-600EXV」(以上,日立アロカメディカル社)を展示。クリニックに最適なソリューションを集め,今後ますますニーズが高まるクリニックのIT化を提案した。
また,新製品としてモバイルX線撮影装置「Sirius Ubiquitas 2」が展示された。コンパクトなFCR読み取り装置を搭載し,従来機と比べコンソールの画面が大きくなり,X線最大出力も32kWと倍増し,据え置き機に近い高出力を有している。さらに,移動時の前方確認を容易にするためのコンパクト設計や,アームをパンタアームから直線的に動くテレスコピックアームに変更し,操作性の向上を図っている。また,“やさしさ”を表す同社のデザインコンセプト“スマイルイエロー”を採用している。国内での発売は,年内を予定している。
X線管支持器を一新したFPDデジタル一般撮影装置「Radnext PLUS」は,片手で操作可能な"ワンハンドコントローラー"を特長とする。コントローラー部分は,大阪会場でも披露されていたが,今回は装置全体の展示を行い,支持器の駆動部分をすべて見直すことで,軽量でスムーズな操作を可能にしたことをアピールした。操作ボタンを押しやすくし,片手での操作が可能であるため,ポジショニング時には被検者を注視しサポートすることが可能である。また,X線管支持器を低い位置まで移動することで,膝関節などの撮影が容易となり,今後ますます増加する高齢の被検者にやさしい設計となっている。国内では,年内発売を予定している。
次世代PACS「ImageConcier」は,3台でデモンストレーションが行われた。2011年度のグッドデザイン賞を受賞しており,評価のポイントとなった新機能“診療データコックピット”は,モダリティごとの検査画像の視覚的な時系列表示を可能にしている。また,読影レポート機能を標準搭載し,(株)ドクターネットとの協業により,レポート画面から直接オンラインで読影依頼を行うことができる。さらに,同社のモダリティとの親和性を確保し,CT画像などの解析処理をビューワ上で可能にしている。
MRIは,高磁場による高精細画像とワークフローの向上をコンセプトにした1.5T MRI「ECHELON RX」が展示された。操作性を追究し,テーブル組み込み型の脊椎用コイルやスライドで着脱可能なヘッドコイルなどのコイルシステム「Workflow Coil System」を採用し,操作者の負担軽減とスループット向上を図っている。また,アクティブシムシステム“HOSS”による高い磁場均一性や,Radial Scan技術RADARによるアーチファクトの低減を実現している。さらに,機械室が不要なコンパクト設計であることから,オープンMRIからのリプレイスにも対応可能となっている。
CTは,64列マルチスライスCT「SCENARIA」を展示した。ガントリは,75cmの広い開口径や流線形デザインの採用により圧迫感を軽減した。また,検査ガイダンスや息止め表示などを多言語で表示可能な「Touch Vision」を搭載するなど,被検者へのやさしさにこだわっている。0.35秒/回転の高いViewレートは,高速・高画質な撮影を実現し,逐次近似法を応用したIntelli IPや線量を最適化するIntelliECにより被ばく低減を追究している。心臓CTでは,左右8cmの寝台横スライド機構と心臓専用のBow-tie Filterによる"IntelliCenter"で,高画質と低被ばくの両立を可能にしていることも特長だ。
ほかにも,乳房トモシンセシスに対応したデジタルマンモグラフィ「SELENIA Dimensions」や,超音波診断装置のハイエンド装置「HI VISION Ascendus」,「prosound α7」(日立アロカメディカル社)が展示され,日立メディコグループの最先端技術・装置が一同に会した形となった。
午後には,展示会場に隣接した会場で「日立メディカルITセミナー 2011秋」が行われ,主にクリニックを対象にした3題の講演が行われた。
第1部では,(株)リチェルカーレの代表取締役・高橋邦光氏が,「増患につながる空間プロデュースとリフォームの施工事例」と題し,クリニック開設やリニューアルにあたっての設計面からのポイントについて講演した。
第2部では,おとわ内科・脳神経外科クリニック院長の川又達朗氏が,「快適な医療環境を生み出すIT技術の活用」を講演。2008年に新規に開院した同院を事例に,設備・機器選定のポイントから,ITシステムの構築・運用について紹介。川又氏は,クリニックの電子化について,省スペースだけでなく,作業の効率化や時間節約を図ることができ,ランニングコストを差し引いても,クリニック経営に有効であると述べた。
第3部は,こうづ整形外科・八千代画像センター理事長の神津教倫氏が,「遠隔読影のクリニックにおける利用価値」を講演した。神津氏は,画像センターの健全な運営のために,近隣の病院・クリニックの他科の画像検査も積極的に受け入れる必要性を強調。同時に,(株)ドクターネットの遠隔読影サービスを利用することにより,精度が高く,短期間での読影を実現していることが紹介された。 |