(株)日立メディコは,患者さんはもちろん,医師や技師にもやさしいデザインを採用し,ストレスの少ないワークフローを実現した64列マルチスライスCT装置「SCENARIA」(シナリア)を2010年7月から発売する。
X線CT装置の国内市場では,多スライス化が進み,4〜16スライスの中級機の普及と同時に64スライス以上の上級機が年間販売台数の約30%を占めるまで増えてきている。64スライス以上の装置は,大学病院,地域の基幹病院や循環器領域を専門とする医療機関,その他人間ドックを提供する健診施設などで導入が進んでおり,これらの施設では,心臓検査を含むあらゆる部位の検査が短時間に終了し,MPR像や3D像の処理能力が高く,生活習慣病予防を支援する検診アプリケーションを備えた装置が求められている。同社は,これらの病院・健診施設向けに,64列マルチスライスCT装置「SCENARIA」を発売する。
●主な特長
(1) 患者さんに安心感を与えるOpen Design
広い開口径(75cm),短い奥行き(88cm)という非常に開放的(Open)なガントリサイズに加えて,開口部のカバー形状やカラーリングに工夫を施し,患者さんに与える圧迫感が少ないデザイン。また寝台は,天板が47.5cmと幅広く,マットも患者さまの全身を包み込む幅の広いものである。これにより安定感のある固定を可能にし,患者さんへ安心感を与える。
(2) 多目的液晶モニタ「Touch Vision」
ガントリ正面上部には,検査中に様々な用途で使用することができる液晶モニタ「Touch Vision」を搭載した。検査内容について説明したガイダンス表示や,息止め練習機能などのメニューが10カ国語に対応しており,国内だけでなく海外からの患者さんが安心して検査を受けられるためのコミュニケーション(対話)をサポートする。
(3) 新設計コンソール
コンソール表示画面は24型ワイドモニタ1台にまとめ,目にやさしいカラーリングと使いやすいボタン配置を考えた新しいGUIを採用。また,操作系は使いやすさとスペース効率に配慮して撮影開始などの専用ボタンをキーボードに統合し,コンパクトな操作環境を提供している。
(4) 高速・高画質を両立
高速ビューレートにより心臓のような小さな部位だけでなく全身に対して0.35秒/回転の使用を可能にし,全身撮影においても高速化を実現。さらに,日立独自のコーンビーム再構成により高速で高画質な撮影を実現した。
(5) 被ばく低減技術
<1> 繰り返し適応型ノイズ低減処理「Intelli IP」
低線量撮影で得られたデータを繰り返し処理することでノイズ低減を図るIntelli IP(Iterative Processing )を標準搭載。
<2> 横スライド寝台+Bow-tie フィルタ
寝台天板を横方向にスライドさせる機構により,患者さんを動かすことなく,心臓撮影時に心臓を中心にポジショニングさせることができる。また,専用Bow-tieフィルタによってX線ビームを心臓周辺に絞ることが可能。これらの組合わせによりX線を照射する部位を限定することで,心臓撮影における被ばく低減を実現した。 |