医療技術産業戦略コンソーシアム(METIS)は9月27日(火),KKRホテル東京(東京・千代田区)において,「第5回医療テクノロジー推進会議」を開催し,同日,その内容を報告する記者会見を開催した。なお,第4回会議は3月11日(金)に開催され,会議途中で東日本大震災に見舞われ中止となったという経緯がある。冒頭,METIS共同議長の荻野和郎氏〔日本医療機器産業連合会会長,日本光電工業(株)代表取締役会長〕は,これまで医療機器業界をあげて被災地の復旧・復興のための支援に取り組んできたが,まだその道のりは遠く,今後もできるだけの支援を続けていきたいと述べた。
第5回目となった本会議では,これまで同様,戦略会議の4つのワーキンググループ(WG)である,1)革新的医療機器とレギュラトリーサイエンス(主査:佐久間一郎・東京大学大学院教授),2)未承認医療機器による臨床研究(主査:川上浩司・京都大学大学院教授),3)医療機器の適正評価(主査:楠岡英雄・独立行政法人国立病院機構大阪医療センター院長),4)アジアとの連携・交流(主査:下條文武・新潟大学学長)から,これまでの活動状況が報告された。
1)については,佐久間主査が,世界的に新しい医療機器の承認のための科学的手法が重要視されており,そのための道標となるレギュラトリーサイエンスを基礎研究者にもわかりやすく伝えるためのガイドブックを作成中と報告した。2)については,同WG副主査の中里 適氏〔オリンパス(株)医療品質保証部部長〕が,前々回に必要性が示された「未承認医療機器を用いた臨床研究実施の手引き」策定の経緯,ならびに今年5,6月に募集した手引きに対するパブリックコメントの内容について報告した。パブリックコメントは,企業・業界団体,アカデミア,行政機関に分けてまとめられ,手引きに反映させた修正点なども報告した。3)については,楠岡主査が,医療機器・医療技術の適正な評価のためには,誰にでもわかりやすい共通のキーワードを定義し活用した方がよいとし,機器・技術の向上をより享受できる価値を立場により,患者享受価値,医療者享受価値,社会的価値の3つに分けられると報告した。4)については,同WG副主査の城風淳一氏〔旭化成(株)社長付部長〕が,成長著しいアジア市場への進出を重要視し,行政からの協力も得たオールジャパン体制での攻勢が必要とした。そのためMETISでは,コンソーシアムとしての特性を生かした行政機関への政策提言を積極的に行っていくと述べた。そのほか,日本医療機器産業連合会(医機連)と日本貿易振興機構(JETRO)が連携した海外市場展開活動の状況についても報告した。
質疑応答では,アジアにおける薬事相互認証のあり方など戦略会議の取り組みに関する質問以外にも,医機連が7月6日に厚生労働大臣等に提出した2012年の薬事法改正に向けた要望書(PDF)の回答についてどうなったのか,また,期限を区切った公開質問として見えるカタチをとるべきなのではないかなどの声が会場から上がり,薬事法改正への関心の高さと医機連としてさらなる積極的な働きかけを期待する動きもうかがえる記者会見となった。 |