ホーム 取材報告 RSNA2011スペシャル 取材レポート RSNA2011: Siemens - 検出器一体型MR-PET:海外で20台以上を受注
RSNA2011 |
RSNA2011 [第5日目:12月1日(木)] |
昨年のRSNA2010で話題をさらった3T MRIとPETの検出器一体型装置「Biograph mMR」(日本国内薬事未承認)が,欧米やアジアにおいて稼働を始めている。2011年6月に米国FDAとヨーロッパのCEマークを取得,最近になって韓国での承認も受け,市場規模の大きい国としては,日本での薬事承認を待っている状況だ。受注実績は20台を超え,すでに10台が稼働,年末までに15台の稼働を予定している。
Biograph mMRは,MRガントリのオープンボア(径70cm)の内側に,磁場の影響を受けないPETの半導体検出器(APD:avalanche photodiode)を配置し,従来の開口径60cmを保っている。また,FOVは,MRIは従来と同じ45cm,PETは26cmまで広くなっており,PETのSNRも向上している。なお,撮像時間はPETの収集と同等であり,ベッド移動などが不要な分だけ,スループットの向上が期待される。
今回は,肺野,縦隔の腫瘍や,肝臓,骨髄内の病変といった臨床例も紹介された。MR-PETは,PET・CTと比べて被ばくが少ない,コントラスト(特に軟部組織)が良好,同時収集によりズレが生じない,MRの呼吸同期をPETの収集・再構成に利用可能といったベネフィットが挙げられる。また,PETとMRIの撮像を両立するために,Timコイルの使い勝手はそのままに素材や電子部品の配置を一新した同時収集専用コイル“mMRコイル”(ヘッドネックコイル,ボディコイル,スパインコイル)が搭載されたことで,3T MRI,もしくはPETとして使用した場合にも,専用機と同等の画質クオリティが得られる。大学病院や研究機関から導入を希望する声は多く,日本で薬事承認されれば,研究利用からスタートし,検診や臨床での利用に展開していく予定だという。
Biograph mMRは,世界的な放射線画像診断の情報サイト「AuntMinnie」から,2011年で最も革新的な診断機器であるとして表彰された。
Biograph mMR専用コイル 1回の撮像でMRIとPETのデータ収集を完全に同時に行うことができる。 |
同時にMRとPETの画像を収集可能 |
MR-PETとPET・CTの骨髄内の集積の比較 (上:PET・CT,下:MR-PET) 骨髄内の病変は,CTよりもMRIの方がコントラストが良好であり,T1強調,T2強調,拡散強調など,さまざまなコントラストの撮像も可能。 |
AuntMinnieの"Best New Radiology Device"を受賞 |
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