ITEM2021 富士フイルム医療ソリューションズ ブースレポート
富士フイルムグループとしての連携を強化しAI技術を取り入れた治療や放射線業務システムを提供
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2021-5-10
富士フイルム医療ソリューションズブース
富士フイルム医療ソリューションズは,2019年に旧横河医療ソリューションズの株式買収で富士フイルムの100%子会社として誕生した。昨年はコロナ禍によってパシフィコ横浜での展示会が行われなかったため,ITEM2021が富士フイルム医療ソリューションズとしての初展示となった。
展示では,2021年2月に発表された富士フイルムが開発し同社が販売する放射線治療計画支援ソフトウエア「SYNAPSE Radiotherapy」を初展示。そのほか,富士フイルム医療ソリューションズの画像診断ワークステーション「ShadeQuest/ViewR-DG」,所見レポート作成システム「ShadeQuest/Report」などについて,富士フイルムの人工知能(AI)技術を搭載したAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」や3D解析アプリケーション「SYNAPSE VINCENT」との連携強化を進めたことをアピール。また,被ばく線量管理システム「ShadeQuest/DoseMonitor」の新機能についても紹介した。
●富士フイルムグループとしての連携を高めたPACS,レポート,RISの機能をPR
ShadeQuest/ViewR-DG(ViewR)は,これまでも読影ビューアとしてShadeQuest/Report(Report)や放射線部門業務システム「ShadeQuest/RIS」(RIS)との連携はもちろん,各社の電子カルテシステムとも連携して,より効率的な所見作成や情報連携,データの2次利用が可能な環境を構築してきた。
今回の展示では,富士フイルムのグループ会社として,富士フイルムのAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」(SAI viewer)や3D解析アプリケーション「SYNAPSE VINCENT」(VINCENT)との連携機能の強化をアピールした。例えば,ViewRでは,画像表示画面での右クリックメニューからSAI viewerやSYNAPSE VINCENTが起動できる。起動したSAI viewerの“肺結節検出機能”や“肺結節性状分析機能”の解析結果は,ワンクリックでReportへ貼り付けが可能になるなど,システムを一体化した利用が可能になり,より高度な読影支援の機能をシームレスに運用できることを紹介した。
Reportでは,液晶モニタを縦置きにした表示(ポートレートモード)を推奨しているが,新たな表示レイアウト(バーティカルモード)として,前回と今回の所見を上下に分割して並べて,検査リストやキー画像の表示エリアを広げるなどの機能を強化している。今回の展示では,そのバーティカルモードのすべての機能が,液晶ワイドモニタ横置きスタイルでも利用できるようになった。働き方改革やCOVID-19感染対策でリモート業務が求められる中で,自宅などの端末から利用することが増えたことから,一般的なモニタの設置スタイル(横置き)でもバーティカルモードの機能を利用したいという要望に対応したものだ。
さらに,読影中に他検査の読影依頼(コンサルト)があった際に,ViewRを別ウインドウで開く機能も搭載された。ウインドウを違う色にしたり,キー画像貼り付けができないようにするなど患者間違えのリスクにも対応している。また,レポートの所見入力ウインドウだけをViewRの画像表示エリアに表示する機能も搭載された。フローティングウインドウのように読影中の画像の横に表示させて,画像から目線を動かすことなく所見入力が可能になる。このウインドウで入力したテキストはReport側の所見入力欄にも反映されるほか,ウインドウのボタンからはSAI viewerなども起動できるようになっており,極力カーソルの移動などを省略しレポートを書く業務に集中できるように工夫されている。
富士フイルム医療ソリューションズでは,ShadeQuestシリーズの各製品についてユーザーからのフィードバックを取り入れ,常に機能の向上を進めている。ViewRとReportでは,1検査の読影にかかった時間を自動で記録し管理できる機能などを紹介した。ShadeQuest/RISでは,液晶モニタ画面のワイド化(16:9や16:10)によって表示領域が広がったことから,従来はタブで分けられていた連絡メモや患者コメントを常時表示にすることで,安全管理の面で視認性を向上したことなどをPRした。
●AI技術を応用した放射線治療計画を可能にする「SYNAPSE Radiotherapy」
SYNAPSE Radiotherapyは,富士フイルムのAI技術ブランドである“REiLI”の技術を放射線治療部門のシステムに生かして開発されたソフトウェアである。REiLIでは,“臓器セグメンテーション”“コンピュータ支援診断(CAD)”“ワークフロー効率化”の3つを技術アプローチとして開発されているが,SYNAPSE Radiotherapyではこのうちを臓器セグメンテーションを応用して放射線治療計画の際のリスク臓器の輪郭の囲い込みを支援する“臓器輪郭作成支援機能”を提供する。
治療計画において,手間と時間がかかる作業として,リスク臓器の抽出(臓器の輪郭作成)があり,各社からそれらを支援するソフトウェアが提供されているが,SYNAPSE Radiotherapyでは,ディープラーニング技術を利用することで,輪郭の抽出精度と速度を向上し,作業負荷の軽減と治療計画業務の効率化が期待できる。
富士フイルム医療ソリューションズは,治療RISの「ShadeQuest/TheraRIS」を提供しているが,今後,SYNAPSE Radiotherapyとの連携を強化し,治療計画支援の領域での展開を強化していくこともアピールした。
●PACSやRISとの密な連携で精度の高い線量管理を行う「ShadeQuest/DoseMonitor」
富士フイルム医療ソリューションズのShadeQuest/DoseMonitor(DoseMonitor)は,同社のPACS,RISとの密接な連携によって適正な撮影と最適な線量での撮影を支援する被ばく線量管理システムである。CT,血管撮影装置,核医学に加え,新たに一般撮影装置,マンモグラフィ装置,X線透視装置を管理対象に加えた。線量情報の取り込みは,PACS(ShadeQuest/Serv)を介したRDSR情報やDICOM画像タグ情報からの取り込み,RISとの連携による各種情報の取り込みなど,施設の装置の対応状況やシステム環境に合わせた構築が可能になっている。また,線量管理の支援機能では,患者単位,検査プロトコール単位の画面で,患者プロファイル情報や検査プロトコール名称などで検索して情報を確認できる。撮影プロトコールごとの線量を診断参考レベル(DRLs 2020)とのグラフによる比較や,アラート,箱ひげ図などでの表示が可能になっている。
DoseMonitorはRISやPACSとの連携が特徴だが,特にCT撮影時に,RISと連携するプロトコル登録機能を活用することで,撮影単位から撮影シーケンス単位にまで細分化した線量管理を精度高く実施することができるようになるため,常に最適な線量での撮影を推進し,より質の高い被ばく線量管理を支援している。
●お問い合わせ先
社名:富士フイルム医療ソリューションズ株式会社
住所:〒167-0051東京都杉並区荻窪4-30-16 藤澤ビルディング
TEL:03-6383-6272
URL:https://www.fujifilm.com/ffms/ja