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電子カルテの市場動向報告と地域医療連携システムの概要【シード・プランニングの調査研究報告】株式会社シード・プランニング エレクトロニクス・ITチーム主任研究員 加藤 鈴佳 氏
シード・プランニングの事業

シード・プランニングは,エレクトロニクス・IT,メディカル・バイオ・ヘルスケア,環境・エネルギー分野の市場調査・コンサルティング・支援業務を行っているほか,各種レポートの作成やフォーラム・研究会などを開催している。2004年からは電子カルテの市場動向調査も手がけている。今回は,2010年8〜10月に行った電子カルテ・PACSの市場動向調査の結果と地域医療連携システムについて解説する。

病院向け電子カルテ市場は2015年に1170億円規模に

病院向けの電子カルテ市場規模は,2009年で870.4億円,納入数で340件となっている。今後,順調に推移し続けて,2015年には1170.2億円,480件に上ると予測している。一方,診療所向けの電子カルテ市場は,2009年で121.2億円,3350件となっている。特にカルテ庫のスペースが狭い首都圏の診療所で,電子カルテを導入するケースが多い。また,今後は新規開業だけでなく,既存の診療所の導入が市場拡大のカギを握っている。今回の調査では,2015年に133億円,3880件となることが予想される。

PACSは,病院向けシステムの場合,2009年は475億円,1000件という市場規模であった。今後はリプレース需要が中心となり,横ばいから緩やかに減少して,2014年には460億円,950件となることが予想される。診療所向けPACSは,2009年が38億円,480件で,今後上昇を続け,2013年には頭打ちとなる。2014年の市場規模は43億円,630件となるであろう。

地域医療再生計画に合わせベンダー各社にも動き

シード・プランニングでは,「2010版 地域医療再生計画総合分析調査」も行っているので,その概要を紹介する。地域医療再生基金は,2009年の民主党への政権交代により,当初の3150億円から750億円分が執行停止とされ,2350億円となった。これをもとに5年間で地域医療再生計画が実施される。なお,今後追加で資金が投入される可能性もある。

事業別に予算額を見ると,ITに関連した事業には合計で577億円が計上されている。事業数で見ると,地域医療連携については72地域,ITを活用する事業については61地域となっている。ITを活用する事業の中で最も金額が多いのは,北海道の南檜山地域のITネットワーク整備で,10.7億円となっている。また,岩手県盛岡地域の周産期医療情報ネットワークは10.4億円,香川県高松地域のかがわ遠隔医療ネットワーク(K-MIX)は10.3億円である。

このような状況を受けて,ベンダー各社もシステム開発に力を入れている。診療情報連携システムとしては,NECの「ID-Link」,富士通の「HOPE/地域連携」などがある。また,地域連携室の業務支援システムとしては,アイシーエス「地域医療連携(紹介状作成システム)iMedic/r-Ne」,インフォコム「医療文書作成支援システムMedi-Support」などがある。このほか,画像連携システムとしては,イメージワンの「病診連携用システムPOP-Net Importer」,STNet「遠隔医療システムest」などが挙げられる。

今後,政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)が2010年5月にまとめた「新たな情報通信技術戦略」にもとづき,「『どこでもMY病院』構想の実現」「シームレスな地域連携医療の実現」といった目標に向けて施策が行われていくこととなる。その中で,2012年には診療報酬と介護報酬の同時改定が行われることになっており,このタイミングで,医療情報システムのベンダー各社にも大きな動きがあると予想される。

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●問い合わせ先
日本ヒューレット・パッカード株式会社
カスタマー・インフォメーションセンター
TEL 03-6416-6660
http://www.hp.com/jp/ws_medical

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