ここでは,諸外国の事例を中心に紹介する。HPでは,米国やシンガポールなどの国家的なHIE(Health Information Exchange)プロジェクトに参加している。日本の医療連携では,電子カルテやPACS,HIS,RISなど個々のシステムごとに接続させている場合が多い。しかし,諸外国における医療連携では,医療機関間でそれぞれが保有するデータに変更を加えることなく,必要な情報だけをマッピングするようなシステムを構築している。また,日本の場合,医療機関や介護事業者,自治体などがそれぞれデータベースを保有し,そのデータベース間での情報のやりとりを行うような運用にはメッシュ構造での連携が検討されることが多いが,海外の場合は,それぞれがHIEを経由して情報を共有するスター型Hub接続で連携する効率的なネットワークで検討される。
Crossflo Data Exchange(CDX)のデータ連携ソリューションがある。モンタナ州保健福祉局では,HPのNonStopサーバーとともにCDXを導入し,リアルタイムでのデータ共有,短期間でのシステム構築を実現している。CDXは,医療機関のデータベースからデータを抽出して,HL7などのXMLスキーマに合ったXMLドキュメントに変換することができる。XMLドキュメントは暗号化や電子署名付与によりセキュリティが担保されている。これにより,既存のシステムに変更を加えることなく,ベンダーに縛られない低コストで効率的な医療機関連携を可能としている。また,HPのNonStopサーバーをスター型Hub接続の中心で稼働させることで,24時間365日の稼働が約束された高い安全性を確保したデータ連携を可能にしている。 なお,HP市ヶ谷本社ではCDX稼働環境を用意しており,デモンストレーションや実データでの検証にも対応している。