第16回CTサミットが8月4日(土),ウインクあいち(愛知県産業労働センター)にて開催された(共催:CTサミット,第一三共株式会社,協力:インナービジョン)。昨年までは,全国X線CT技術サミットの名称で開催しており,CTサミットに改称した最初の開催となる。今回のテーマは「Achievements & Next Stage」とし,CT研究のこれまでの業績と,現在進められている革新的な研究についての発表などが企画された。開会の辞で挨拶に立った代表世話人/当番世話人の辻岡勝美氏(藤田保健衛生大学)は,「今後の研究の方向性のヒントとなるような企画を立てた。CTサミットを通して新しい開発者が育っていってほしい」と思いを述べた。
今回は,実行委員長の井田義宏氏(藤田保健衛生大学病院)を中心に,愛知・岐阜・三重の3県の施設から集まった合計33名の実行委員により準備と運営が行われた。基調講演,シンポジウム2題,特別講演,ランチョンセミナーのプログラムが組まれ,講演会場と別フロアに設けられたサテライト会場では,一般演題(ポスター展示),協賛企業による機器展示が行われた。参加者は525名を数え,講演会場や展示会場は活気にあふれた。
午前中最初のプログラムは,石風呂実氏(広島大学病院)を座長として,辻岡氏による基調講演「CT開発のアイデアと開発実績」が行われた。ヘリカルスキャンの開発者として知られる辻岡氏が,その着想や実験・研究の経緯,さらなる新技術の開発や挫折経験も含めて講演し,研究に対する姿勢や考え方について語った。
続いてシンポジウム1「Achievements(実績)」が行われた。小川正人氏(産業医科大学病院)と村上克彦氏(福島県立医科大学病院)を座長に,これまでにCT研究で業績を上げてきた4名のシンポジストにより,どのようなモチベーションをもって研究を行ってきたかなどについて講演が行われた。講演は発表順に,八町 淳氏(長野赤十字病院)の「CT造影理論の構築」,神谷 悟氏(宏潤会大同病院)の「ヘリカルシャトルの原型〈Go & Return法〉の発想」,宮下宗治氏(耳鼻咽喉科麻生病院)の「サブミリスライスCT,高分解能CTへの想い」,片倉俊彦氏(BBMILセンター)の「3Dワークステーションの性能評価法の考案」。
ランチョンセミナーは,丹羽正厳氏(市立四日市病院)と深田真司氏(JA愛知厚生連豊田厚生病院)が座長を務め,メーカー5社が最新の技術や装置についての発表を行った。
午後の部では,はじめにシンポジウム2「Next Stage(次世代)」が行われた。座長を井田氏と大沢一彰氏(済生会中和病院)が務め,最近の新しい研究の中からユニークな発想で研究をしている5名のシンポジストが講演した。講演は発表順に,松谷英幸氏(高瀬クリニック)の「不整脈ゲートECG撮影 逆転の発想」,筆谷 拓氏(JA愛知厚生連江南厚生病院)の「嚥下CTの発想」,瓜倉厚志氏(静岡県立静岡がんセンター)の「逐次近似再構成法の物理評価」,山口隆義氏(北海道社会保険病院)の「新しい造影テクニックTBT」,笹森大輔氏(札幌白石脳神経外科)の「Monochromatic Imageを活用した脳動脈瘤の新たな画像診断」。
次に,辻岡氏が座長を務め,平野 透氏(札幌医科大学附属病院)による特別講演「診療放射線技師による新技術開発の次世代への継承」が行われた。平野氏は,札幌医科大学附属病院における3Dラボの取り組みを紹介しながら,プロフェッショナルとして診療放射線技師が仕事に臨むときの心構えや,新しい技術開発に積極的に打ち込む姿勢の重要性などについて熱く語った。
最後に,一般演題(ポスター発表)の受賞者表彰が行われ,金賞,銀賞,銅賞,デザイン賞が選出された。
次回の第17回CTサミットは,2013年7月27日(土)に笹川記念会館(東京都港区)を会場に開催され,当番世話人を福島県立医科大学病院の村上克彦氏が務める。なお,次回以降は東京を会場にした定置開催となる予定である。
*第16回CTサミットの講演内容は,小誌2012年11月号の特別報告で特集します。詳しくは11月号をご覧ください。
協賛企業(順不同)
GEヘルスケア・ジャパン,日立メディコ,フィリップスエレクトロニクスジャパン,シーメンス・ジャパン,東芝メディカルシステムズ,ザイオソフト/アミン,AZE,日本メドラッド,根本杏林堂,テクマトリックス,クオリタ,アクロバイオ,PEZY Computing,第一三共
機器展示会場
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