「第15回全国X線CT技術サミット」が8月6日(土),福岡国際会議場で開催された(共催:全国X線CT技術サミット,九州CT研究会,第一三共株式会社,協力:インナービジョン,後援:(社)日本放射線技術学会九州部会,九州地域放射線技師会)。今回のテーマは「CT innovation−最新医療を支えるCT技術−」。さらに,3月11日の東日本大震災を受けて,スローガン「がんばろう日本! がんばろう東北!」が掲げられた。当番世話人は小川正人氏(産業医科大学病院)が務め,実行委員長の坂本 崇氏(済生会熊本病院)はじめ実行委員や九州CT研究会スタッフが万全の準備と運営を行った。当日は,台風の影響で沖縄からの参加が取りやめになったものの,全国から717名が参加し,会場となったメインホールは盛況を博した。
今回は,逐次近似法を用いた新しい画像再構成法(IR法)やdual energy,monochromatic imagingといった最新技術にスポットを当てたプログラムで,基礎講演,シンポジウム,ワークショップが実施された。そのほか,ランチョンセミナー,一般演題(ポスター展示),機器展示も企画された。
はじめに,代表世話人の辻岡勝美氏(藤田保健衛生大学)が開会の挨拶に立った。開会の辞では,7月16日に急逝した前・世話人の鈴木憲二氏(前・福島県立医科大学附属病院放射線部技師長,福島県放射線技師会会長)への哀悼の意が表され,追悼ビデオが流されて鈴木氏の業績や人柄を偲んだ。
午前中は,2題の基礎講演が行われた。最初に八町 淳氏(長野赤十字病院)を座長に,辻岡氏による「CTの管電圧特性−線質が画質や被ばくへ及ぼす影響について−」が,続いて,宮下宗治氏(耳鼻咽喉科麻生病院)を座長に,市川勝弘氏(金沢大学)による「画像再構成の基礎と将来展望−FBP法とIR法−」が講演された。
ランチョンセミナーでは,村上克彦氏(福島県立医科大学附属病院)が座長を務め,メーカー7社によるCT装置や画像再構成法,解析アプリケーションなど最新技術のプレゼンテーションが行われた。
休憩を挟んで行われたシンポジウムでは,はじめに東日本大震災の犠牲者へ黙祷が捧げられた。シンポジウムは,「CT技術のinnovation−新しい再構成法の現状と課題−」をテーマに,小川氏と大沢一彰氏(済生会中和病院)を座長として,4名の発表者が主要メーカーの新しい画像再構成法について,性能評価や臨床使用経験を報告した。シンポジウムのディスカッションでは,被ばく低減の切り札として期待される画像再構成法(IR法)の適切な性能評価のためにも,画像評価法の確立が急務であることが再確認された。最後に行われたワークショップでは,「臨床技術のinnovation−新しい技術の現状と課題−」をテーマに,CT colonography,膵臓Perfusion,肺動静脈分離撮影,Dual energy/Monochromatic imagingといったCT装置の多列化,高速化によって可能となった新技術について発表が行われた。
一般演題(ポスター発表)は,前回の倍を超える34題が寄せられ,同サミットへの関心の高さがうかがわれた。審査の結果,金賞,銀賞,銅賞,デザイン賞の4演題が選出され,表彰式でメダルが授与された。
次回の第16回全国X線CT技術サミットは,2012年8月4日(土)に愛知県産業労働センター(ウインクあいち)で開催される予定である。当番世話人を辻岡氏,実行委員長を井田義宏氏(藤田保健衛生大学病院)が務める。
*第15回全国X線CT技術サミットの講演内容は,小誌10月号の特別報告で特集します。詳しくは10月号をご覧ください。
協賛企業
アクロバイオ,AZE,アミン,エス・アール,コニカミノルタヘルスケア,ザイオソフト,サイバネットシステム,シーメンス・ジャパン,GEヘルスケア・ジャパン,テクマトリックス,東芝メディカルシステムズ,東洋メディック,日本メドラッド,根本杏林堂,日立メディコ,フィリップスエレクトロニクスジャパン,富士フイルムメディカル,横河医療ソリューション,第一三共
一般演題(ポスター展示)会場 |
協賛企業の機器展示会場 |
|