2012年5月25日(金)〜27日(日)の3日間,日本超音波医学会第85回学術集会が開催された。会場は昨年同様グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)。会長は,東京医科大学消化器内科の森安史典氏が務めた。
森安会長が掲げた今回のテーマは,すばり“PASSION”。森安会長は,「この学術集会を通じて,参加者の超音波医学にかける“PASSION”が高まり,診療や研究,教育の一助となるようにしたい」とテーマに込めた思いについて説明している。
日本超音波医学会は,超音波医学に対する臨床家,研究者たちの“PASSION”に支えられながら,今年設立50周年を迎えた。その記念すべき年の学術集会は,50周年特別企画やこれまでの超音波医学の歩みを振り返る展示コーナーが設けられるなど,趣向を凝らした企画が用意された。グランドプリンスホテル新高輪国際館パミール3階のフロアには,50周年特別コーナーを開設。超音波医学と学会の歩みを年表にまとめたパネルが設けられたほか,携帯型超音波診断装置「SSD-2B」〔アロカ社(現・日立アロカメディカル社)製〕,1976年に発表されたリニア電子操作形超音波診断装置の世界実用第1号機(関東中央病院,東芝総合研究所)とその臨床第1例,1983年に製品化された世界初のカラードプラ装置「SSD-880」〔アロカ社(現・日立アロカメディカル社)製〕,世界初の超音波エラストグラフィ装置「EUB-6500」(日立メディコ社製)のプロトタイプが展示された。
一方,50周年特別企画としては,5月26日に教育講演「超音波医学 過去・現在・未来」が行われた。座長は昭和大学医学部産婦人科医学教室の岡井 崇氏。茨城県済生会常陸大宮済生会病院循環器科の伊東紘一氏が「過去から現在の発展,将来への期待」,京都大学大学院医学研究科人間健康科学専攻の椎名 毅氏が「現在の最新技術と今後の展望」をテーマに,それぞれ講演した。
もう1つの50周年特別企画はシンポジウム「今後の超音波医学の発展のために」。座長は香川大学総合診療部の千田彰一氏が務め,演者として国立大学財務・経営センター理事の玉上 晃氏,パネリストとして近畿大学消化器内科の工藤正俊氏,前述の椎名氏,東京大学医学部附属病院検査部の竹中 克氏が登壇した。
なお,第86回学術集会は,2013年5月24日(金)〜26日(日)の日程で,大阪国際会議場(大阪市)で開催される予定である。会長は兵庫医科大学内科学講座循環器内科の増山 理氏が務める。
世界初のカラードプラ装置SSD-880 |
超音波エラストグラフィ装置
EUB-6500のプロトタイプ |
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