(株)日立メディコは,12月14日,証券アナリストやプレスに向けた工場見学会を千葉県柏市の柏事業場で開催した。当日は,同社のショールームである日立メディカルフォーラム柏,サービス員トレーニングおよびサポート施設が入る日立メディカルテクニカルアカデミー,CTやMRIなどの生産現場などを公開した。
冒頭に挨拶した三木一克執行役社長は,最近のトピックスとして9月(大阪)と11月(東京)に開催した“MEDICONNECTION”と,11月末の北米放射線学会(RSNA 2011)の展示概要と成果を紹介した。MEDICONNECTIONは東京会場では511名が来場し,ユーザーがハイエンドの機器に直接触れる機会として大きな収穫があったとして,今後もこういったイベントを続けていきたいと述べた。また,RSNA 2011では,1.5T MRIで新しい製品を発表し(ECHELON OVAL:日本国内薬事未承認),特に北米市場では超伝導オープンMRIの「OASIS」,64列CTの「SCENARIA」とあわせて相乗効果に期待しているとし,今後3T MRIの投入も含めて力を入れていくとした。
続いて,柏事業場代表者の手嶋俊明執行役専務が柏事業場の概要を説明し,柏事業場は従業員数1500人,CTやMRIなど同社の医療機器の約8割を生産する,開発と生産の中心施設であると述べた。事業場では,2006年からJITによる生産改革を進めており,生産能力50%アップ,生産棚卸手持日数30日化をめざし,レイアウトの最適化,工程の同期化や進捗の見える化を図っている。医療機器は,市場の特殊性から期末(9月,3月)に受注が集中するが,生産のリードタイムの短縮の成果が得られているという。
また,日立メディコが中国・蘇州に建設中の新工場についても紹介した。新工場は,13万3000m2の敷地に,3つの生産工場とサービス部門やショールーム,教育施設などを建設する。第1期の工場は2011年10月に着工,2012年8月に完成し10月から生産を開始する予定だ。蘇州工場は,普及機を中心に中国市場および新興国向けの製品の設計,生産の拠点となり,今後の中国における販売戦略の中心となる施設として期待されている。
メディカルフォーラムでは,展示されているオープンMRIの「AIRIS Vento」「OASIS」,超音波診断装置の「HI VISION Ascendus」「Prosound α7」など,X線撮影装置の「VersiFlex VISTA」など,PACSの「ImageConcier」などの特長を解説したほか,同施設の特長でもある実際の撮影室に設置された1.5T MRIの「ECHELON Vega」,64列CTの「SCENARIA」などを紹介した。
三木社長は,最後に「日立グループとして,グローバルでの競争力の強化として中国の新工場建設には大きな期待をしているが,柏事業場は先端の技術開発やハイエンド機器の生産拠点として,日本の“ものづくり”の魂をしっかりと残していきたい」と述べた。 |