GEヘルスケア・ジャパン（株）は2011年11月17日（木），赤坂パークビル（東京都港区）において骨粗鬆症をテーマとしたプレス向けセミナー「第4回ヘルシーマジネーション・カレッジ」を開催した。今回は，「超高齢社会ニッポンで静かに進む新たな国民病」を取り上げるシリーズセミナーの2回目となる（1回目は肝疾患がテーマ）。
セミナーでは，国内の骨粗鬆症分野の第一人者である東京都健康長寿医療センター名誉院長/（財）骨粗鬆症財団理事長の折茂 肇氏と，かみむらクリニック院長の上村幹男氏が講演し，加えて，GEヘルスケア・ジャパンの骨・関節疾患領域への取り組みについての紹介が行われた。
冒頭，代表取締役社長兼CEOの川上 潤氏が挨拶した。GEヘルスケア・ジャパンでは，超高齢化が進む日本において必要なソリューションを提供していく“Silver to Gold戦略”を展開しており，その具体的戦略の1つに，今後より一層重要になる分野へのアプローチ“Care Area Focus”を掲げている。川上氏は，「高齢での骨・関節疾患は寝たきりや要介護の原因となるため，疾患の予防・治療が重要であり，われわれは，その予防，診断，治療，フォローに必要な製品群を有している。超高齢社会において，疾患への深い理解と，それぞれ単体の製品を有機的に結びつけることにより，総合的なソリューションを提供することをめざす」と述べた。
講演1題目は，折茂氏による「高齢化社会における骨ケアの重要性～ロコモティブシンドロームと骨粗鬆症を中心に～」が行われた。折茂氏は，日本の要介護者の状況などについて概説し，介護のリスクにつながる原因の30％以上が骨・関節疾患であることを紹介した。そのような背景から，日本ではまだ馴染みの薄い“ロコモティブシンドローム（運動器症候群）”（運動器の機能低下により自立度が低下し，要介護や寝たきりになる可能性が高い状態）に注目し，その概念について説明した。また，日本では骨粗鬆症と診断されても8割が治療を受けておらず，対策が遅れていると述べた。高齢者では骨折が生存率に非常に影響することから，予防や検査，治療の重要性を説き，検査や診断の方法，最新の治療薬について説明した。
2題目は，上村氏が，「骨粗鬆症の診断と治療における骨密度測定の重要性」と題して講演した。上村氏は，高齢者の腰背部の彎曲や痛みは大部分が脊椎骨折が原因であり，加齢のためと放置されてしまう危険性を指摘。脊椎骨折には，痛みを伴う臨床骨折と痛みのない形態骨折が存在することが明らかになってきており，椎体骨折は発生の1/3～1/5程度しか診断を受けていないという研究を紹介，高齢者の腰痛の診断にも骨粗鬆症が重要であると述べた。そして，骨密度測定に有用なDXA法や，DXAによる骨粗鬆症の治療判定，また，2010年に承認された治療薬テリパラチドの治療効果について解説した。
最後に，X線営業部骨密度Lunarグループマネージャーの川島康之氏が，同社の骨・関節疾患領域への取り組みについて説明した。高齢社会で増加する骨・関節疾患領域へ提供するソリューションとして，快適性とハイスペックを追究した四肢専用MRI「Optima MR430s 1.5T」や，10月に発売した超音波踵骨測定装置「A-1000 EXP Ⅱ」のレンタルサービスについて紹介。また，今回テーマとなった骨粗鬆症をはじめ，さまざまな予防医療や在宅医療に関するコンテンツを提供する医療従事者向けオンライン教育支援サービス（年内リリース予定）についても触れ，GEヘルスケア・ジャパンが画像診断機器メーカーから，一歩進んだヘルスケアカンパニーとして事業を展開していくことが報告された。 |
