GEヘルスケア・ジャパン(株)は,2011年6月24日(金),赤坂パークビル(東京都港区)において,医療被ばくをテーマにしたプレス向けセミナー「第2回ヘルシーマジネーション・カレッジ」を開催した。GEでは,全世界的にヘルシーマジネーションという戦略を掲げ,2015年までにヘルスケア事業に60億ドルを投じることにしている。この戦略に基づいて,日本でもヘルスケア事業を強化しており,2010年11月には,在宅医療をテーマにした「第1回ヘルシーマジネーション・カレッジ」が行われた。第2回目となる今回は,東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以降,国民の関心を集めている被ばくをキーワードに,「医療被ばく最前線〜放射線の臨床メリットと被ばく低減に向けた最新動向」をテーマとした講演が行われた。
まず,6月1日に就任したばかりの川上 潤代表取締役社長兼CEOが挨拶に立ち,ヘルシーマジネーション戦略について説明。GEは世界中で一番困難な問題に取り組む企業であると述べて,ヘルスケア事業にかける思いを述べた。この挨拶に続き,東京大学医学部附属病院放射線部副部長/准教授の赤羽正章氏が「医療被ばくの現状と展望」をテーマに講演した。赤羽氏は,まず医療被ばくが診断や治療を目的に放射線を利用した医療行為によって患者が受ける被ばくのことであると定義を説明。その上で,放射線防護体系の三原則について紹介した。また,等価線量と実効線量に用語の誤解といった問題を指摘した。さらに,CT検査による国民の被ばくが増加していると述べ,その管理が重要だと説明。診断のための必要最小限の被ばくにするためのAuto mAや画像再構成法などの技術について解説した。赤羽氏は講演のまとめとして,医療被ばくの最適化とは「必要最小限」をめざすことであり,それには現場の努力に加え,技術革新が重要であるとし,被ばくの少ない装置を買うことが技術革新につながると述べた。
この後,グローバルCT事業推進本部長の佐藤和彦氏が,「CT設計の理念について」をテーマに,同社のCTの被ばく低減技術について解説した。この解説の中では,昨年のRSNA(北米放射線学会)で紹介され,国内では5月に発表されたCT用画像再構成技術「Veo」が紹介された。Veoは一般X線撮影並みの低被ばくと従来機を上回る高画質を両立させるものとして「Discovery CT750 HD」に搭載可能である。 |