ITEM2017 島津製作所 / 島津メディカルシステムズ ブースレポート
ライフタイムヘルスケアサポートをコンセプトに,人生のさまざまなステージを支える製品群を紹介
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2017-5-9
島津製作所 / 島津メディカルシステムズブース
島津製作所 / 島津メディカルシステムズは,RSNA2016で発表した展示テーマ“With Your Stories”の下,新生児から高齢期まで人生全体の健康・医療を支える,ライフタイムヘルスケアサポートをコンセプトとした展示を行った。長年,島津が強みとしてきたX線システムだけでなく,島津グループが持つ技術や製品を,医療分野に応用する取り組みが進められている。
血管撮影システムでは,低侵襲をコンセプトとする「Trinias MiX」シリーズ用に開発を進めている新しい機能や,X線テレビシステム「SONIALVISION G4」に透視の被ばく線量を大幅に低減させる新しい画像処理技術が搭載されることがアピールされた。また,クリニック向けには,1台でワイヤレスFPDによる撮影を可能にしたX線テレビシステム「FLEXAVISION I.I./Wireless FPD Hybrid System」などを紹介した。X線システム以外では,乳房専用PET装置「Elmammo」の新製品(薬機法未承認,W.I.P.)の模型や,質量分析装置「LCMS-8060CL」などを展示した。
また,ブースでは4月21日から稼働開始の「カスタマーサポートセンター」も紹介。電話での問い合わせを受けるスタッフに,製品や技術に関する知識を持った専門スタッフを配することで,一次対応の高度化や,詳細なヒアリングにより適切かつ迅速な対応が可能となる。対象の製品は血管撮影システムなどのX線システムのみだが,24時間365日受け付ける※ことで,製品のダウンタイムを短縮し,ユーザーが安心して製品を使用できるようにサポートする。※対象地域は国内の一部地域を除く
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●血管撮影装置:「Trinias MiX」シリーズに手技を支援する新機能
血管撮影システムは,FPDを搭載したTrinias MiXシリーズの床置き式「F12」システムの実機を展示した。Trinias MiXシリーズは,被ばくと造影剤量の低減,検査時間の短縮により,低侵襲な検査・治療を支援することをコンセプトに開発されたシステムで,今回は,新開発の技術・ソフトウエアを中心に展示した。
新開発の“SCORE StentShot”※は,経皮的冠動脈形成術(PCI)においてリアルタイムにステント形状確認を支援するソフトウエア。近年,ステントグラフトの細径化が進み,血管内で拡張したステントが視認しにくいことが課題となっている。そこで,新しいリアルタイム画像処理技術を開発し,X線照射量を従来と変えずに,画像ノイズを約50%低減することを可能にした。視認性が向上し,ステントの形状を確認しやすくなることで,安全性の向上と検査時間短縮による被ばく低減に貢献する。
同じく新開発の“Flex-APS”(Flexible Active Pixel Shift)※は,DSA画像のアーチファクトをリアルタイムに自動補正する技術である。造影剤が頭部や下肢に流入すると,被検者が違和感を感じて動いてしまうことがあり,造影前後の位置ズレによりサブトラクション画像にアーチファクトが発生する。Flex-APSでは,動いた方向や移動量をピクセル単位でとらえることで,画像全体を線形補正する方法と比べ,精度の高い補正が可能になる。位置ズレが画像の一部だけであれば,その部分のみを補正し,また,ねじれのような三次元的な動きであっても,非線形に補正することができ,頭部や下肢の明瞭な血管画像を得ることができる。
拍動で動くステントをリアルタイムに固定表示し,ステントポジショニングの確認を支援する“SCORE StentView”には,ステントの視認性をより向上させる改良が加えられた※。従来,SCORE StentViewの画面は,リアルタイム画像,ステント強調画像,ステント検出画像に3分割されていたが,手技で最も重要なステント強調画像の1画面表示に変更し,ステントの視認性をいっそう向上させた。※いずれもW.I.P.
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●X線透視装置:被ばく線量を大幅に低減可能な新画像処理技術“SUREengine FAST”を紹介
1台で多様な検査に対応するFPD搭載X線テレビシステム「SONIALVISION G4」に,新しい画像処理技術“SUREengine FAST”が実装されたことをアピールした。SUREengine FASTは,高速な演算処理により照射線量を落としても画像がぼけず,残像が残らない画像処理が可能で,ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)検査などにおける被ばく線量を大幅に低減する。パルスレート15fpsでは,従来と画質やリアルタイム性を変えずに被ばく線量を約60%低減でき,さらにパルスレート7.5fpsでは従来と比べ約80%の低減が可能となる。膵液採取時など,細やかなカテーテル操作が求められる場合には15fps,それ以外には7.5fpsと使い分けることで,検査全体で被検者や術者の被ばくを大幅に抑えることができる。透視モードは,テーブルサイドのコンソールでワンタッチに切り替え可能となっている。
多目的に使用できるSONIALVISION G4は,高機能アプリケーションにより多彩な検査が可能で,“Smart BMD”による骨密度測定機能,トモシンセシス“T-smart”による金属アーチファクト低減断層撮影,“SLOT Advance”による長尺撮影を,1台で行えることが大きな特長だ。整形外科や内科,婦人科では薬の処方において骨密度測定が行われることもあるが,SONIALVISION G4により骨密度測定の専用機や専用の検査室を用意する必要がなく,コストを抑制でき経営面にも貢献する。また,SLOT Advanceは被検者に対して垂直にX線を入射し,画像再構成するため,人工関節置換術の全下肢計測などにおいて,精度の高い計測を行える。
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●クリニックのデジタル化・省力化を実現するソリューションを提案
ブースには,クリニック向け装置・ソリューションを展示するエリアが設けられ,ワイヤレスFPDの組み合わせにより1台で単純X線撮影も可能なX線テレビシステム「FLEXAVISION I.I./Wireless FPD Hybrid System」や,シームレスな画像診断を実現するソリューション「SMS-Link」が展示された。
島津では従来,一般撮影システムにおいて,ユーザーの要望に合わせてDRシステムを組み合わせられるDR“NEUTRAL”を提案してきたが,回診用システムとX線テレビシステムにも拡張し,DR“NEUTRAL”2.0へと進化させた。これに対応したFLEXAVISION I.I./Wireless FPD Hybrid Systemは,I.I.搭載のX線テレビシステムに各社半切サイズの撮影用ワイヤレスFPDを組み合わせることができる。これにより,別の検査室で使用しているFPDを兼用することもでき,FPDの用途が広がる。クリニック向けの価格の抑えたX線テレビシステムでクリニックのデジタル化を推進する,コストパフォーマンスに優れたソリューションだ。
また,一般撮影システム「X’sy Pro EFX Version」とキヤノンのFPDシステム「CXDI-701C wireless」,診療所向け電子カルテシステム「SimCLINIC T3α」を連携し,検査のカルテオーダから画像診断まで抜群のワークフローを実現するのがSMS-Linkである。医師が電子カルテから検査オーダを出すと,患者情報や撮影部位などの情報をFPDコンソールに転送,自動で撮影条件がセットされ,撮影後には画像が電子カルテに送信されて読影できる,シンプルなワークフローの画像診断が可能となる。従来は必要だった指示せんの印刷やFPDコンソールへの患者登録,撮影条件の設定が不要で,クリニックにおいても快適な画像診断環境を,コストを抑えて構築することができる。
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●乳房専用PET装置「Elmammo」の新製品を発表
乳房専用PET装置「Elmammo」は現行装置の実機や臨床データを展示するとともに,新製品(薬機法未承認,W.I.P.)を模型で紹介した。新製品では,乳房を入れる検出器ホール部のマットの厚さを改良することで,撮像範囲を広げてブラインドエリアを小さくした。また,顔をのせるマット部の段差を下げ,くぼみを深くすることで,検査中の頸部の負担を軽減し,被検者がより楽に検査を受けられるようにしている。
Elmammoは国内では9施設で稼働しており,臨床データも増えてきた。ブースでは,化学療法前後や放射線治療の効果判定など,さまざまな症例の画像を来場者に供覧した。化学療法では,がんの種類によって治療薬が異なることから,投与開始後できるだけ早期に効果判定を行い,治療薬を変更するか判断する必要がある。化学療法により全身用PETでは腫瘍が消失しているように見える症例でも,全身用PETと比べて圧倒的に感度・解像度が高いElmammoでは,わずかな残存を確認できるといった臨床的メリットが紹介された。
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●「SyncTraX」にIGRTの位置決め支援機能“Smart Aligner”を追加
放射線治療装置「TrueBeam」(バリアンメディカルシステムズ)と組み合わせて,高精度の肺がん治療を支援する放射線治療装置用動体追跡システム「SyncTraX」は,固定された4つのFPDシステムで透視を行うFX4 versionにバージョンアップした。ガントリヘッドを避ける最適方向の2枚のFPDに自動で切り替えて透視を行うことで,高精度な動体追跡を可能にする。天井と床を透視システムが走行する前バージョンと比べて,治療室への設置工事も容易となる。FX4 versionは,国内では6台のシステムのバリデーションが完了しており,4月から臨床稼働が開始される。
また,このバージョンアップにより,ひずみのないFPDを利用してIGRT(画像誘導放射線治療)の位置決めを支援する新機能“Smart Aligner”も追加可能となった。これは,2方向の撮影画像と治療計画CT画像から作成したDRR画像(デジタル再構成シミュレーション画像)を比較し,治療計画からのズレを算出して治療装置に送信することで,テーブルの軸調整を行い,適切な治療実施を支援する。Smart Alignerを追加搭載することで,肺がん治療だけでなく,頭部など他部位の治療にも活用することが可能となる。
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●近赤外光カメラシステム:血管やリンパ管を可視化する術中支援システム「LIGHTVISION」
新分野の術中支援システム「LIGHTVISION」はITEM2016で発表したシステムだが,前回と比べ説明を聞く来場者が増え,関心の高まりがうかがえた。LIGHTVISIONは,薬剤インドシアニングリーン(ICG)を血管やリンパ管に投与し,近赤外励起光により励起されたICGの近赤外蛍光を画像化するシステムである。通常の視野画像に重ねてモニタ表示することで,血管やリンパ管を容易に確認することができる。ICGは現在,乳がんセンチネルリンパ節切除の手技において保険適用となっている。LIGHTVISIONは,ICGの近赤外蛍光を白色だけでなく緑色にすることもでき,ハイビジョンモニタ搭載により高精細な映像で観察できるといった特徴を有する。また,モニタには,ICGの近赤外蛍光の画像,通常の視野画像,2つの重ね合わせ画像の3画像を同時に表示でき,大きな枠に表示する画像を必要に応じて切り替えることができる。
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●質量分析装置:薬機法での登録をした「LCMS-8060CL」
ライフタイムヘルスケアサポートの一角を担う製品として,予防や先制医療,予後などでの活用を提案する質量分析装置「LCMS-8060CL」が展示された。血液中の標的成分を一度に精細に分析可能な質量分析装置は,新生児先天性代謝異常マススクリーニング,適正な薬物療法を行うための治療薬物モニタリングなどに用いられている。今後は,がん検査や予後管理などの用途にも貢献することが期待される。
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●一般撮影装置「RADspeed Pro EDGE package」は新しいカラーデザインを展示
一般撮影装置「RADspeed Pro EDGE package」は,トモシンセシス,長尺撮影,デュアルエナジーサブトラクションのアプリケーションを使用できる最上位機種である。1回の断層撮影で任意の高さの断層画像を得ることができるトモシンセシスは,次の撮影操作と同時進行で画像再構成が可能なため,検査のスループットを妨げず高度な検査が可能だ。また,整形外科手術後の金属が固定された被検者の検査でも,金属アーチファクトを抑えた良好な画像を得ることができる。長尺撮影は,X線管球とFPDが自動で動いて3枚の画像を約9秒で撮影し,直後に再構成された長尺画像が表示される。臥位撮影では最長120cm,立位撮影では最長160cmの撮影が可能だ。アクセサリ類の改良も随時行われており,立位スタンドの握り棒は設置角度の変更が容易になっている。
ブースでは,RSNA2016で発表されたハイエンドシステム向けの新しいカラーデザインの実機を展示した。新しいデザインを施したシステムの国内での発売は,2017年上期後半を予定している。
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●回診用X線撮影装置:DR“NEUTRAL”2.0に対応した「MobileDaRt Evolution MX7 Version」
第7世代の回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution MX7 Version」は,高い視認性で快適な操作性を実現する17インチの大型タッチパネルモニタや,新しい電源管理機能の搭載を特徴としている。また,小物収納スペースや,FPDへのカバー着脱を容易にするためFPDを立てかけられるスロットを設けるなど,使い勝手を高める工夫が施されている。撮影後,約2秒で画像を確認でき,救急や小児医療の現場での画像診断を強力に支援する。
なお,施設のニーズに合わせてDRを組み合わせられるDR“NEUTRAL”2.0に対応しており,島津社製DR,キヤノン社製DR,富士フイルム社製DRでの提供が可能となっている。
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●お問い合わせ先
株式会社島津製作所
住所:京都市中京区西ノ京桑原町1
TEL:075-823-1271
URL:http://www.med.shimadzu.co.jp/