Q(佐々木): 放医研では,従来からマルチベンダーによるさまざまなシステムが混在しており,今回はそうした中での電子カルテシステムやPACSの導入だったということですが,その際に,なぜIHEが有用なのでしょうか。
A(安藤): さまざまなシステムをうまく連携させるためには,情報がスムーズにやり取りできなければなりませんが,そのためにIHEが最適だったということです。電子カルテやオーダエントリシステムで重要なのは,シームレスな情報のやり取りができるということです。なかでもSWFでは,例えば予約を伴った検査の場合,オーダした医師がその進捗状況をきちんと把握できるよう,業務フローが検討されています。従来の放医研のシステムでは,そういった点が十分検討されていなかったので,新システムの導入の際にはまず,SWFの実装が鍵となりました。また,SWFに密接に関連するのがPIR(患者情報の整合性確保)です。これにより,すべてのシステム間でスムーズな情報連携が可能になりました。例えば,電子カルテシステムのみが稼働しており,そこに新たなシステムを追加するような施設には,SWFとPIRの2つをぜひ要求仕様書に盛り込むことをお勧めします。
Q(佐々木): 放射線部門の統合プロファイルだけでもいくつもあって,資料を読んでもよくわからない部分が多いのですが,例えば,KIN(キー画像への注釈の統合プロファイル)とSINR(画像・数値を含む報告書の統合プロファイル)の関係性はどうなっているのでしょうか。
A(安藤): KINは,キー画像に付箋をつけておき,あとで参照するときに一目でわかるようにできます。また,SINRは,レポートの中に画像や数値データを埋め込むためのものです。ただ,SINRでは進捗管理は十分できませんので,読影やレポート作成の進捗状況が管理できるRWFが必要だと思います。
Q(佐々木): 岩手県立中央病院でも,マルチモダリティによるシステム構築が行われており,さまざまなモニタが混在しています。そうした状況の中でもっとも面倒なのは,画像を参照する際に,モニタごとにいちいち表示条件を変えなければならないということです。また,一部フィルム運用も行っているため,フィルムと読影用モニタとの表示条件がぴたりと一致しないこともあり,それをどうにかしたいと考えています。
A(安藤): 放医研では実装していませんが,IHEには,CPI(画像表示の一貫性確保)という統合プロファイルがあります。これは,液晶モニタ,ブラウン管,あるいはフィルム出力をする画像であっても,見た目はすべて同じになるというものです。ただ,CPIを実装する際は,グレイスケール・スタンダード・ディスプレイ・ファンクションをサポートするようなモニタを導入する必要があります。
ページトップへ
|