2019-12-3
製品への実装を開始するMR FingerprintingをPR
RSNA 2019 MRI
Siemens Healthineers(シーメンス)のMRI関連では,MR Fingerprinting(MRF)の製品実装が大々的にPRされた。また,実機では,前回のRSNA 2018で発表された“BioMatrix Technology”と“Turbo Suite”搭載の3T装置「MAGNETOM Lumina」と1.5T装置「MAGNETOM Sola」を展示した。
MRIの定量化技術として,シーメンスが開発を続けてきたMRF(薬機法未承認)がいよいよ実装化される。MRFは1回のスキャンでT1値,T2値などの定量値を取得する。“dictionary”と言われるデータベースにある膨大なデータからの信号変動パターンと撮像して得られた信号変動パターンを照合することが,指紋照合に似ていることから“Fingerprinting”と呼ばれる。この技術により組織の定量値を抽出して,T1 mapやT2 mapなどを再構成できるほか,グラフを作成して組織ごとの定量値をマッピングすることが可能となる。装置や操作者に依存することなく,安定して定量値が得られる技術として期待されている。また,人工知能(AI)との親和性が高いとされており,今後さらに発展していくことが予想される。製品実装については,2019年5月に行われたISMRMでもアナウンスされたが,今回RSNA会場で改めて,その方向性が示された。まずは,シーメンスの研究用プレミアムハイエンド装置「MAGNETOM Vida」に搭載され,同機種と同じソフトウエアプラットフォームを採用している3T装置で順次搭載される予定である。
実機展示されたMAGNETOM Luminaは,ハイエンド装置に位置づけられ,BioMatrix Technologyにより被検者の年齢や体格に影響されることなく,安定して高画質を得ることができる。また,高速撮像パッケージTurbo Suiteが搭載可能であり,“SMS(Simultaneous Multi-Slice TSE and DWI)”とcompressed sensing(CS),パラレルイメージングが使用できる。
また,1.5Tのプレミアムハイエンド装置に位置づけられるMAGNETOM Solaは、被検者の体動を補正するためのカメラ(薬機法未承認)をガントリ内に配置した状態で展示されていた。安定した高画質画像を得られる。心臓MRIに特化した「MAGNETOM Sola Cardiovascular Edition」(薬機法未承認)もラインアップしている。