2019-12-3
拡充するAI-Rad CompanionのAIアルゴリズム
(薬機法未承認)
RSNA 2019 AI
Siemens healthineers(シーメンス)は人工知能(AI)の研究開発を加速し,製品・サービスへの実装を進めている。前回のRSNA 2018では,クラウドサービス「teamplay」で提供する2つのAIサービス“AI-Rad Companion”と“AI-Pathway Companion”を発表し,来場者の関心を集めた。今回のRSNA 2019では,この2つのAIサービスがさらに進化していることを来場者に向けてアピールした。
まず,AI-Rad Companionについては,前回は胸部CTのAIアルゴリズムを発表したが,今回は新たなアルゴリズムとして,前立腺がん生検のためのMR画像セグメンテーション,頭部MR画像の体積計測,胸部単純X線写真の病変検出の3つを発表した(いずれも薬機法未承認)。前回発表した胸部CT画像のAIアルゴリズムは,心臓と肺,大動脈をセグメンテーションし,肺における肺気腫率(LAA%)の計測,肺結節の検出と大きさの計測,心体積の計測,冠動脈の石灰化検出と石灰化の定量化,大動脈直径の計測を行う。今回発表された前立腺がん生検のためのMR画像セグメンテーションは,MR画像から前立腺のセグメンテーションを行い,さらに,腫瘍をセグメンテーションする。針生検では,このセグメンテーション画像を基に,超音波画像とフュージョンして針生検の精度向上を図る。
また,頭部MR画像のAIアルゴリズムは,脳の各部位をセグメンテーションした後に,部位ごとに体積を計測。さらに,得られた数値データからデータベースにある通常の体積データを比較して,脳の萎縮などを確認する。これによって,アルツハイマー型認知症やパーキンソン病の診断支援を行う。
胸部単純X線写真の病変検出は,画像から肺結節などを検出して,5つの疾患の可能性をパーセンテージで示す。
シーメンスでは今後も,AI-Rad Companionのモダリティや部位ごとのAIアルゴリズムを拡充していくこととしている。
一方,AI-Pathway Companionは,診断から治療までの意思決定をAIで支援する。放射線部門の検査画像や電子カルテシステムなどのデータをAIが解析。学習ずみの治療ガイドラインなどを参照して,最適な治療方針を示し,医師に提示する。
このほか,AIサービスを提供するteamplayも機能を強化している。従来提供していた被ばく線量管理“teamplay Dose”やモダリティの利用状況分析“teamplay Usage”の機能を,ユーザーがカスタマイズできるようにした。ユーザーが設定した指標に基づいて,必要な情報だけを収集し,詳細な分析を行うことが可能となる。これにより,病院経営の改善やワークフローの効率化などに役立てられる。