2019-12-4
創業以来のX線撮影装置の歴史を紹介
RSNA 2019 X-ray
Shimadzu Medical Systems(島津製作所)のブースでは,今回の展示に合わせて米国で発売された新製品をはじめ,幅広い製品ラインアップが紹介された。
RSNA2019開催直前の11月に米国で発売された「FLUOROspeed X1 edition」(北米向け輸出専用製品)は,島津社初のFPD搭載近接操作型透視撮影システム。米国では,基本的に医師が撮影や透視を行うため,検査室内で患者の様子を見ながら操作を行う近接操作型の需要が高く,それに応えたシステムとなっている。また,同社独自のパワーアシスト技術“GLIDE ASSISTテクノロジー”を搭載し,患者をケアしながら容易に操作できることが紹介された。
また,FLUOROspeed X1 editionには画像処理技術“SCORE PRO Advance”を搭載し,低被ばくと高画質の両立を実現した。近接操作型は被ばく線量の増加が懸念されるが,FLUOROspeed X1 editionではSCORE PRO Advanceにより透視線量を従来の標準で1/4,最大1/10(何れも同社比)に低減できることがアピールされた。なお,透視台の最大耐荷重は静止時301kg(665ポンド),動作時226kg(500ポンド)で設計され,体格の大きな患者でも安心して検査が行えるほか,天板の上下動範囲が広く,患者がスムーズに乗降できるようになっている。
一般撮影装置「RADspeed Pro style edition EDGE package」は,リモコン操作で天井走行式X線管懸垂器が自在に移動し,あらかじめ登録した位置に自動設定されるオートポジショニング機能が搭載されている。さらに今回,新たにマニュアル操作時のスムーズな操作が可能なアシスト機能“POWER GLIDE(W.I.P.,薬機法未承認)”が搭載された。この機能は,操作する感覚を読み取り,その方向に向かって移動をアシストすることで,操作者の負担をより軽減する機能がアピールされた。
回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution MX8 Version」は,伸縮式支柱構造を採用したことで走行時に広い視野を確保でき,また,X線管球のハンドルがさほど力をかけずに操作できるなど,操作者の側に立った改良が行われている。島津社では,これらの特徴を併せて“GLIDE VIEW”と総称し,“GLIDEファミリー”の一つとしてアピールしている。また,MobileDaRt Evolution MX8 Versionは,複数社からDRシステムを選択できるDR NEUTRAL対応装置で,米国では,キヤノン社製,コニカミノルタ社製,富士フイルム社製のDRシステムに対応している。
血管撮影システム「Trinias」シリーズの最新型「Trinias C16 unity edition」も展示され,来場者の注目を集めた。ITEM2019では,SCORE RSMや長尺DSAとロードマップ機能を融合させた“SCORE Chase”機能(オプション)を中心に紹介されたが,下肢インターベンションを外来(out-patient)で行うことが多い米国でも市場の拡大が見込まれる。また,高度な画像処理技術により,下肢・心臓領域を中心に全身のインターベンションでの優れた有用性がアピールされた。
X線テレビ装置「SONIALVISION G4 LX edition」は,FLUOROspeed X1 editionと同様にデジタル透視画像処理技術“SCORE PRO Advance”(標準搭載)により,透視線量を従来の標準で1/4,最大1/10(何れも同社比)に低減しているほか,逐次近似法を用いたトモシンセシス画像処理“T-smart”(オプション)や長尺撮影機能などにより,肥満や高齢化で増加し社会問題となっている骨の疾病を低侵襲で的確に診断する機能を搭載,幅広い検査に対応可能なことがポイントの一つである。また,米国では検査の効率化のため1つの検査室に透視撮影システムと一般撮影システムを組み合わせて設置するケースが多い。SONIALVISION G4 LX editionは,SID(焦点〜FPD間)が180㎝まで拡大でき,胸部撮影などの一般撮影も可能なことから,米国での普及が期待される。なお,日本では2019年8月に発売された。