2019-12-4
「IntelliSpace Portal」と旧ケアストリームのPACSとの
連携をデモンストレーション
RSNA 2019 ヘルスケアIT
Philips(フィリップス)は,2019年3月にCarestream Health(ケアストリーム)のヘルスケアITシステム(HCIS)事業を買収するなど,ITプラットフォームの強化に注力している。旧ケアストリームの製品は現在,フィリップスがサポートしており,今後,本格的なインテグレーションが進められる。製品ポートフォリオはまだ決まっていないが,概要としては,旧ケアストリームの診断用ビューワや診療データの統合アーカイブ(VNA)などが一体的に提供される医用画像情報システム(PACS)プラットフォームと,フィリップスのネットワーク型マルチモダリティワークステーション「IntelliSpace Portal」などのAdvanced Visualization,さらには両者だけでなくサードパーティも含めたAIエンジンを統合していくイメージで,新しいブランドとして提供することを予定している。
RSNA 2019のヘルスケアITの展示では,ブースに20台以上のワークステーションを配置。IntelliSpace Portalと旧ケアストリームのPACSの連携を紹介するとともに,旧ケアストリームで開発してきたAIを活用した機能(すべて薬機法未承認)も来場者にアピールした。部位を自動でセグメンテーションするDiagnostic Aide(診断補助)では,高精度に臓器を認識することができる。さらに,スライスを変えて肺や肝臓など任意の部位にマウスポインタを合わせて右クリックすると,その領域に合わせた測定ツールが表示される。また,Lesion Management(病変管理機能)は,肺と肝臓を対象に病変候補を自動検索する。AIを用いた椎体の自動ラベリングも開発しており,椎体に応じたメニューの表示も可能である。
併せて,イスラエルのゼブラ・メディカル・ビジョン(ゼブラ)社のAIエンジンも展示された。ゼブラ社のAIは,CT画像から脳出血の検出や,正中線の位置ズレへのアラート表示などができるもので,これらサードパーティも含めたAIを活用した支援で,診断の質や効率の向上をめざしていく。
また,PACSは,DICOM画像だけでなく非DICOMデータを扱うことができる点も特徴である。フィリップスは病理ホールスライド画像診断補助装置「フィリップス インテリサイトパソロジーソリューション」を有していることから,ブースではPACSから病理画像を呼び出して,パソロジービューワで表示するデモンストレーションも行い,一人の患者の一連の検査結果を統合し,俯瞰することで診断に役立てることを提案した。
さらに,ITを活用したプラットフォームとして,オンコロジーを対象にした“Intellispace Oncology”(日本未展開)をアピールした。診断からカンファレンス(治療方針の決定),治療,フォローアップまで,ITで患者のあらゆる診療情報をつなぎ,がん診療をトータルに支援するものである。その一部を構成する“Intellispace Precision Medicine-MDT”は,カンファレンスに活用するツールで,院内システムから対象とする患者の画像や病理結果,血液検査結果,診療情報などを集約し,ダッシュボードに表示することで,治療方針の決定に貢献する。患者がそれまでに受けた検査が時系列で表示され,それぞれをクリックすることで検査結果を参照することができる。米国では,ボストンのDana-Farber Cancer Instituteなどでの運用が始まっていることが紹介された。