2019-12-4
RSNA初展示となった「Incisive CT」
RSNA 2019 CT
Philips(フィリップス)のCTエリアでは,ITEM 2019で先駆けて発表,販売を開始した128スライスCT「Incisive CT」がRSNA初展示となり,モックアップをブース正面に配置して大きくPRした。
Incisive CT は,専用に開発した高耐久のX線管球“vMRC管球”と10年間の保証(要保守契約)が特長の装置。検査をストップさせず,継続して使用し続けることが可能になり,コスト抑制に貢献するとともに,装置トラブルによる検査キャンセルがなくなることで,患者体験の向上や医療従事者の負担軽減につながる装置と言える。
新開発のvMRC管球は,回転摩擦の軽減,熱で膨張しても破損しない新設計の陽極,ICチップ“Smart Card”の内蔵による遠隔モニタリングなどの技術により,高い耐久性を実現している。サービスセンターでの遠隔モニタリングは,装置に対しては従来から行われているが,管球自体をモニタリングする取り組みはIncisive CTが初である。また。ガントリ前面左右に搭載された“OnPlanタッチスクリーン”でのタブレット操作感覚での容易なセッティングや自動位置決め機能“iPlanning”などにより,従来比で約19%のワークフロー改善が図られた。
すでに,全世界で100台以上を受注し,日本国内でも導入が始まっている。Incisive CT は,フロスト&サリバン社から2019年CT部門「Customer Value Leadership Award」を受賞。モックアップの隣に,RSNA会期中にフロスト&サリバン社から贈られた楯を飾り,来場者に紹介した。また,モニタを使って,患者体験の向上を図る環境演出のソリューション“Ambient Experience”との組み合わせも提案した。
最上位機種の二層検出器搭載「IQon Elite Spectral CT」については,ワークステーション「IntelliSpace Portal」を使ったアプリケーションや臨床画像の紹介を中心に展示を行った。全世界で臨床実績が積み重ねられ,従来のDual Energy CTでは難しかった体格の大きな患者への対応や,使用造影剤の半減といったエビデンスが報告されている。
また,“Calcium Suppression”と“Electron Density”をはじめとした多数のアプリケーションを臨床画像とともに紹介した。Calcium Suppressionは,カルシウムの抑制により,骨折箇所の血液や水を描出することができ,急性期骨折と陳旧性骨折の鑑別が可能になる。サプレッションの程度は,スライダーバー操作で簡単に調整でき,疾患や部位に合わせて良好なカルシウム抑制画像を得ることができる。このほか,Electron Densityによる脳梗塞の明瞭化,口腔がんや前立腺がんにおけるMonoE(仮想単色X線画像)やZ Effective(実効原子番号)の有用性などについて,臨床画像を示してアピールした。
なお,CTの新製品としては今回,「Philips CT 6000 iCT」と「Philips CT 5000 Ingenuity」も発表された(国内未発売)。それぞれ現行モデルからデザインを一新し,画像再構成の高速化やサイバーセキュリティの向上が図られている。
また,CTエリアでは,CT画像から脳出血を自動検出するAIを開発しているイスラエルのMaxQ AI社とのパートナーシップ締結もアナウンスされた。今後のフィリップス製品とのインテグレーションが期待される。