RSNA2019　富士フイルム - ワークフローAI　ポジショニングや病変のアシストなど検査や診療のワークフローを支援するAI技術をアピール

2019-12-5

ワークフローに貢献するAIを提案。
“ポジショニングナビゲーションAI”の項目。

RSNA 2019 ワークフローAI

FUJIFILM Medical Systems（富士フイルム）は，画像認識技術をベースとして画像診断領域での人工知能（AI）の製品への適用や開発をいち早く進めてきた。同社では，画像診断を支援するAIとして「REiLI」のブランド名で展開しており，その成果は2019年7月に日本の薬機法の承認を経て発売されたAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」として結実している。
今年のRSNA2019の富士フイルムの展示では，そのAI技術をさらに進めて，PACSなどのITからモダリティに直接AI技術を用いた機能を搭載し，放射線検査業務や手術室，救急部門など医療機関の業務をサポートする“ワークフローAI”を提案し，ブース内でそのコンセプトや実際の運用を紹介した（以下の機能はすべてW.I.P.）。
放射線部門のワークフローをサポートするAIとして展示したのが，“ポジショニングナビゲーションAI”である。一般撮影装置の管球部分に装着したカメラの画像から，AIが患者のポジショニングを認識して設定した撮影オーダと合っているかを自動で判断し，違っている場合にはアラートを出すことができる。例えば，左右の違いだけでなく，両足か片足のみかなどの判別を含めた判断が可能だ。アラートによって曝射前に修正できることから被ばく低減も期待できる。部位としては頭部，胸部，下肢で提供を開始し，今後対象部位を増やしていく予定となっている。
そのほか，体格などから最適な撮影条件を判断する“Exposure”，撮影後の画像をチェックし写損を防ぐ“Preview”，撮影した画像から異常所見の検出をサポートする“Diagnosis”を提供する予定で順次開発を進めているとのことだ。
富士フイルムでは，これまで一般撮影装置については「FUJIFILM DR BENEO」シリーズなどフラッグシップ機を販売してきたが，今後，中小規模病院などに向けAI機能を一体化したX線撮影装置を展開していくことを予定している。

また，手術室や救急部門などに向けて，「FUJIFILM DR CALNEO AQRO」「FUJIFILM DR CALNEO Go」といった回診用X線撮影装置やポータブル撮影装置に搭載するAI技術を用いた機能として，“ガーゼ認識機能（W.I.P.）” “胸部単純X線画像の異常所見検出サポート機能（W.I.P.）”を紹介した。それぞれ装置に組み込んで提供することで，術後の確認のための撮影時や救急搬送時の画像撮影での異常所見検出アラートなど，臨床医に対してAIの判断を即時に提供することで診療のワークフローをサポートする機能となっている。
ガーゼ認識機能は，術後の体内に異物がないかどうかを確認するため，術後にポータブル撮影装置などで撮影するが，その際にAI技術を使ってガーゼを認識できる。術後にはガーゼの数を確認するが，本当は体内に残っているにもかかわらずガーゼの数が合っているとカウントした場合にはX線撮影をしても見逃す（24/34例）ことが多いというデータが出ており，医療安全の面からもAIが認識する意義は大きいと言える。

胸部単純X線画像からの異常所見の自動検出では，結節，気胸，浸潤影，縦隔肥大，胸水などほとんどの所見を検出の対象としている。胸部単純X線画像については，撮影件数が多いにもかかわらずほとんど読影されていない現状があり，AIによるスクリーニングによって新たな価値が生まれることが期待される。富士フイルムでは胸部画像の異常所見検出技術については，海外のAIパートナーとの共同開発を進めているが，日本においては日本の画像データを用いて検証を進めており，薬機法承認を得て製品化を進めていく予定とのことだ。