2019-5-2
横河医療ソリューションブース
横河医療ソリューションズは,展示テーマとして「(Shade)Quest5.0」を掲げて展示を構成した。QuestはQuality(医療の質),Utility(利便性),Efficiency(効率性),Safety(安全性),Transparency(データの透明性)の頭文字を取ったもので,それに政府が提唱する未来社会のコンセプトである“Society5.0”の超スマート社会を示す“5.0”を組み合わせたもの。Society5.0が示す未来像の中で,医療ITの領域において横河医療ソリューションズがどのように貢献できるかを含めて掲げられたテーマである。
ブースでは,特別展示としてAIを組み込んだ画像診断ワークフロー,高速SSDを採用した読影環境,曲面ディスプレイなどを紹介し,新世代の読影環境,放射線診療に向けた提案を行った。PACS,RIS,レポートシステムなどの“ShadeQuest”シリーズでは,富士通とのアライアンスによる電子カルテとの連携の深化,レポートのチェック機能や診療科へのアラート機能の充実など,医療安全や業務効率化といった要望に応える新機能を中心に来場者にアピールした。また,診療報酬改定や2020年の義務化の流れで急速に注目を集めている線量管理システムについて,PACSやRISで多くの実績のある横河医療ソリューションズのアドバンテージを生かして開発した「ShadeQuest/DoseMonitor」を初出展した。
●マルチベンダーのAI環境や曲面ディスプレイなど“インテリジェントPACS”を参考展示
今回のブースでは特別展示として,次世代のテクノロジーを生かした読影環境を提案する“インテリジェントPACS”のコンセプトを参考出展した。インテリジェントPACSは,インテル社製の最新の“Optane SSD”を採用した高速化,マルチベンダーのAIエンジンを組み込んだワークフロー,読影用モニタとしての曲面型ワイドディスプレイなどを採用した,新しいPACS環境を提案するものだ。高速化では,インテル社製の“Optane SSD”をサーバやクライアントに採用し,ビューワなどの最適化を行うことでOptaneの性能を生かした読影システムを紹介した。Optaneは従来のSSDのボトルネックとなっていたSATAに変わりNVMeを使うことで高速化し,従来の3〜4倍のデータの読み書き速度を得ることができる。ビューワなどソフトウエア側の最適化とあわせて,従来CT画像500枚で30秒かかっていた転送時間が20秒まで短縮された。これによって読影の効率化やスピードアップにも貢献できる。
マルチベンダーのAIエンジンを用いた読影ワークフローの構築では,マルチベンダーのAIエンジンと連携して,従来の読影(画像診断)のワークフローにAIを組み込んで,AIによる処理の結果をいかに最適化して臨床に提供するかを提案した。横河医療ソリューションズは,2018年のITEM2018でエルピクセルのAI(医療診断支援技術「EIRL」)との連携をアナウンスしたが,そのほかのサードパーティとも連携を進めており,マルチベンダーのAIエンジンによる処理結果の提供方法やタイミングなどの検討を進めている。展示では,その成果を基に最適な読影支援の方法を提案し来場者から意見を求めていた。
また,曲面型ディスプレイは複数のモニタで業務を行う金融や証券業界向けに提供されている製品で,展示では“49インチデュアルQHD曲面モニタ”を読影モニタとして紹介した。モニタを横に並べて設置する環境では,顔の動きを含めて目線の移動が大きくなり,肩や首に負担がかかるが,湾曲することで目線の移動が小さくなり身体的な負担の軽減が期待できる。
●所見確認依頼やレポートの重要度フラグなど医療安全や効率化を重視した機能を紹介
横河医療ソリューションズは,PACS,レポートシステムにおいて,電子カルテシステムベンダーの富士通と2014年からアライアンスを組み共同開発を行っている。今回の展示では,電子カルテシステムとの連携の深化として,所見レポート作成システム「ShadeQuest/Report」で,病理検査や手術のレポートが参照可能になったことを紹介した。従来のような連携ボタンで電子カルテが起動するといったフローではなく,レポートシステムのフレーム内に病理や手術のレポートのリストが組み込まれ,クリックすることでレポートの内容がポップアップして簡単に内容を確認できるようになっている。
また,新しく追加された機能として,所見の確認依頼機能を紹介した。研修医が作成したレポートを指導医に確認依頼する場合,従来はメールを使用していた。しかし,メールではアプリケーションの起動が必要で,到着に気がつかない,確認後のステータスがすぐに反映されないなどの不都合があった。今回の確認機能では,研修医はレポートの一次確定時に確認依頼のダイアログが表示され,指導医を選択することで依頼が終了する。受け取る指導医側の端末には依頼を受信した際に通知が表示され,確認依頼は一覧から選択して連続して作業できるようになった。
また,医療安全のためのシステムとして,レポートの確定時に重要度(緊急や他科依頼など)を付与することができる。コメントつけて所見を配信することが可能で,診療科医師への注意喚起や見逃しの防止などの効果が期待される。フラグの設定は病院ごとにカスタマイズできる。
●自社製品との連携可能な線量管理システム「ShadeQuest/DoseMonitor」
医用被ばく線量管理システムとして「ShadeQuest/DoseMonitor」を展示した。2018年度の診療報酬改定における画像診断管理加算3などの施設基準として,線量の記録・管理が要件となったことから,医療機関からの線量管理システムへ注目が集まっている。すでに各社から線量管理システムが登場しているが,PACS,RISなどの放射線システムで多くの導入実績を持つ横河医療ソリューションズとして,既設ユーザーからの要望に応えて開発したのがShadeQuest/DoseMonitorである。データは,RDSR(Radiation Dose Structured Report)やDICOMのタグ情報から取得するが,これらはPACSやRISのサーバのバージョンアップで対応できる。また,身長,体重,撮影部位情報などはRISから取得するなど,既存のシステムと連携して新たな接続工程を発生させることなく線量管理システムが構築できるのがポイントだ。収集したデータを基に,診断参考レベル(DRLs 2015)との比較を行い,自施設の線量の最適化が可能になる。グラフ表示などによるデータ参照が可能で,閾値を超えた検査については詳細データが表示されるほか,PACS/RISと連携して元データを容易に参照することができるのもメリットだ。
●お問い合わせ先
社名:横河医療ソリューションズ株式会社
住所:〒167-0051 東京都杉並区荻窪4-30-16 藤澤ビルディング
TEL:03-6383-6272
URL:http://www.yokogawa.com/jp-mis/